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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「もう少しなんだ、もう少し……。言葉にならないだけなんだ」

 

神山高校で噂される怪談話、
放課後の教室に流れてきた奇妙な校内放送、
魔耶花が里志のために作ったチョコの消失事件――
〈省エネ少年〉折木奉太郎たち古典部のメンバーが遭遇する数々の謎。
入部直後から春休みまで、古典部を過ぎゆく一年間を描いた短編集、待望の刊行!

★収録作品★

 やるべきことなら手短に
 大罪を犯す
 正体見たり
 心あたりのある者は
 あきましておめでとう
 手作りチョコレート事件
 遠まわりする雛

***

この著者はほんとお嬢様が好きだよなあ。。。
そして脱力系主人公が好きだよなあ。。。

としみじみ独り言言うのはまああとにして(笑)、
〝古典部シリーズ〟、第四弾です。

事件が地味過ぎてたまに読み進めるのがつらくなったり、
登場人物たちのモノローグが軽過ぎて淡々とした地の文からたまに浮いていたり、
なんてことを除けば非常に良質のミステリ。
私が教師ならまず真っ先に学校の図書室に置く本として推します。
いきなり何を言い出すのかとお思いでしょうが、
筆力の確かさ、読むものの想像力を喚起するいい意味で曖昧なストーリーは、
本に興味のない今どきの子供(というか年齢関係なく、ケータイ小説や山田○介を
文学と思い込んでるやばめの人たち)に勧めるにふさわしいといった意味でも良質なのです。

個人的に一番面白かったのは〝心あたりのある者は〟。
タイトルも秀逸、ストーリーも冒頭から金城一紀ばりの個性と軽妙さで読み手を惹き込んでくるし、
最初から最後まで舞台が放課後の教室に固定されているにも関わらず
主人公がヒロインに語り聞かせる謎解きだけでもう十分に面白くまったく飽きない。
本格ミステリの真髄ここにあり、といった感じでかなり楽しませてもらいました。

ただそれ以外の短編はというと、事件の謎そのものよりも
その事件を起こした人間の心理を解き明かすことに主眼が置かれていて、
正当なミステリとはちょっと言い難い。
そもそも〝古典部シリーズ〟未読の人は
それが解き明かされたところでいまいちピンと来ないと思うので、
本作を手に取るのであればシリーズ前作を読んでからにしたほうがいいです。

〝心あたりのある者は〟だけは、これ単品で読んでも面白いけど
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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