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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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もはや引き返すことはできない。



昭和34年。海に閉ざされた炭坑の島で満月の夜に
一人の少女が不審死を遂げた。
殺人事件を疑う若き警察官・荒巻の“許されざる捜査"は、
しきたりや掟に支配された島に波紋を広げていく。
暴かれていく人びとの過去、突きつけられる「警察官不適格」の烙印。
いま警察の正義は守られるのか。
次の満月、殺人者はふたたび動き出す――。

***

500P超の長編なのに、会話文が主体であることと
読みやすい文章のためにすいすい読める。
そして主人公の荒巻が犯人探しに奔走する様にリーダビリティがあり
読み手を引き付けて離さない。
荒巻が軍艦島に派出所の巡査として赴任してきてからの
彼の島でのごく何気ない暮らしの中に重要な伏線が張られていたことが
終盤でわかったときはさすがベテラン作家と膝を打った。
犯人の正体には納得がいったけれど、その人物の犯行動機は
中途半端で凡庸なものだったのでそれだけが残念。
ラストももっと読者の不安を煽る終わり方でもよかったんじゃないかと思う。
(たとえるなら浦沢直樹氏の「モンスター」みたいに)

まあ面白かったですが。

それにしてもこれだけ長い荒巻の話、
皆よく宴会の席で最後まで聞いてたな笑
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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