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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「どこにいるのかは問題ではありません。
会いたいか、会いたくないか、それが距離を決めるのよ」




孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る
天才工学博士・真賀田四季。
彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。
偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、
この不可思議な密室殺人に挑む。
新しい形の本格ミステリィ登場。

***

何を今さら。。。というぐらい、森作品(いや、ミステリ小説)の中では有名な作品ですが、
氏の作品をさんざん読み倒してきた今、原点にかえって読み返してみたら
どんな風に感じられるのかなーと思い再読に至った一冊。

いやーまさに〝原点〟でした。
理論的ながらもちょっとキザな台詞回し、
個性は強いけどどこかイラつく女性キャラ(森先生ごめんなさい)、
たまに地の文に表れるやたらポエティックな表現、
死ぬときは自分に近しい他者の手によって殺されたい、という登場人物のスタンス(当時から
これには共感している。←ヤバいかな)
やっぱり人間の本質っていうのは変わらないものなんだなーと。
現在の森作品は上に書いた特徴が全部(悪い意味で)パワーアップしてしまっているので、
デビュー作である本作はとてもすんなりと読めて気持ちがよかった。
いかにも理系の人間が書いた臭みのないミステリ、といった感じで。

もちろん12年前の作品なので、パソコンやインターネットの描写には
相当古めかしいものを感じますが(〝チャット〟の名前が〝トーク〟だし、電話回線だし)、
逆に言えば12年も前、まだネットというものがまったく世間に浸透していなかった時代に
ここまでのものを書ける著者がすごいってことなんだよな(まあ、森氏は現役の大学講師
ですが。。。)。

それに初めて読んだときは「人を殺すのにこんな動機があっていいんかい」と
子供ながらにびびったものです。
こんな理由で人を殺す犯人を見たのは初めてだった気がする。

ただ改めて読み直してみて疑問に思うのは、
たとえ腕を切り落として指紋を隠しても、DNA検査で正体はバレてしまうんじゃないのか?
ということ。当時の科学捜査ってそこまで進んでなかったっけ? そんなことないと
思うのですが。。。

まあ、何度読んでも楽しめる作品でした。
やっぱりメフィスト作家は好きだなあ、突拍子もなくて。。。

今さらですがおすすめです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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