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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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あんたは、もう動けない。



42歳の青山は、再婚相手を探すため「オーディション」を行う。
4000人の応募者の中で青山の目をひいたのは、24歳の山崎麻美だった。
不思議な魅力に惹かれる青山と、素直に心を開く麻美。青山は麻美にのめりこんでゆくが、
彼女が求めたのは完璧な愛だった。
愛と愛の凶器が嵐のクライマックスを呼び起こす、迫真のサイコホラー・ラブストーリー。

***

ハリウッドのホラー映画にありそう、とか思っていたら、既に映画化されてるんですね。
でも小説じゃなく映画が媒体だと、せっかくの繊細な心理描写も全部はしょられてしまっている
だろうから、あまり観る気にはなりませんが。

単なる娯楽小説として読むぶんには面白いですが、細かい部分まで見ていくと
瑕疵が多い印象。
主人公・青山の元妻の良子の回想も、やたら出てはくるけれど最後までその回想が活かされる
展開がなくて拍子抜けだし、10年前の小説なのでしょうがないのかもしれないけれど
ヒロイン(といっていいのかどうか。。。)・山崎麻美のトラウマも「え? その程度?」という感じで、
それだけであそこまで壊れたキャラになるのはどうも納得がいかない。
(まあ、人間はどんな些細な理由でも人格が破綻する生き物ですが)

基本的にはホラーの本作、でも実のところ一番怖かったのは、ほかの誰でもない
青山だったのでは、と思う。
だってラストであれほど大事に思っていた息子に「そいつを殺せ」とか命令するし。。。
いくら切羽詰った状態だからって息子を殺人者しちゃだめだろ。お父さんしっかりしてよ。

苦しみを抱えた人間の心理描写はひどくリアルで、さすが純文作家だなあと
感銘は受けましたが。ホラーものとしては、私的には及第点。

世の男性にはぜひ読んでほしいと思った一作。
限りなく透明に近い、でもよーく眼を凝らすと見えてきますよ、女の黒い部分が薄っすらと。。。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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