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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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夢の中でまた夢を見よう。



団地の奥から用水路をたどると、そこは見たこともない野原だった。
「美奥」の町のどこかでは、異界への扉がひっそりと開く――。
消えたクラスメイトを探す雄也、衝撃的な過去から逃げる加奈江…
異界に触れた人びとの記憶に、奇蹟の物語が刻まれる。
圧倒的なファンタジー性で魅了する鬼才、恒川光太郎の最高到達点。

★収録作品★

 けものはら
 屋根猩猩
 くさのゆめがたり
 天化の宿
 朝の朧町

***

圧倒的な想像力で創り上げた異世界を文章で描写する手腕は相変わらず、しかも
デビュー当時に比べ文章も圧倒的に上達している恒川氏ですが。。。

。。。何て言うんだろう、これまでは、荒い雑草が生い茂っていて景観は悪くても
その中にぽつ、ぽつとこちらの胸を衝いてくる言葉が小石のように散らばっていたのが、
雑草が全部刈られて全体的に洗練されても、その土地がアスファルトで均されてしまったせいで
宝石の原石みたいだった無骨だけれど魅力に溢れた〝小石〟までなくなってしまった、
本作にはそういう印象を受けた。

これだったらどんなに文章が拙くても〝夜市〟のほうがずっとよかった。
あの物語は未だに私の中にしっかりと残っているし、思い出すたびに心を締め付けてくるほど
なのに、今回のこの短編集は読み終えたばかりなのにもう既に内容が朧になってる。
〝天化の宿〟は、大人が読めば静かな勇気が胸の内に満ちてくるような秀作だと思うけど、
全体的には恒川氏独特の個性というのが今回はあまり感じられなかった。

同じ短編集なら、〝秋の牢獄〟のほうが圧倒的によかった。
今回はただ文章が整っていてきれいだというだけで、静謐さの中に垣間見える
荒々しく野性味溢れた表現が魅力の恒川作品から逸脱してしまっている印象。
これまでの彼の作品を読んでいなければこんな風には思わないのでしょうが。
。。。まあこれまでの氏の著作のレベルが高すぎたってことでしょう。こういうときもあるよな。
と、偉そうながらに思っておきます。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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