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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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人生最後の大仕掛け。



“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。
ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。
やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。
失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、
彼らが企てた大計画とは。

***

出だしは非常に面白いのですが、中盤でダレてきて読むのがつらくなってくる。
同じコミカルタッチの同氏の著作



と比べると、キャラの個性もスピード感もサプライズ感もとうてい及ばない印象だった。
主人公たちが敵に仕掛ける詐欺作戦も大したものじゃないし(これはマンガ
〝クロサギ〟を読んでしまっている弊害かもしれませんが)、
「実は○○が××であることを誰々は既に知ってた」ってネタが多すぎるのもアンフェア。
序盤で主人公のタケさんが新しい携帯で相方のテツさんに電話をかけようとして
番号を登録していないことに気づき、結局まだ持っていた古い携帯でテツさんに電話を
かけなおすシーンがあるのですが、この時点で古い携帯の電波を入れると敵に場所を
察知される危険があるっていうのに何してんの? と突っ込みたくなったし。
古い携帯の番号を新しいほうに移し変えてからかけりゃいいじゃん、と。
でもわざわざこういう描写にするってことはこのミスが後々の伏線になるのか? と
思いきや結局最後まで何もないし。一体何のための描写だったんだろう。。。

だいたいネコのトサカのことも、普通死体が捨てられてたら弔ってやるなりなんなり
するだろうに、どうしてそのとき誰も(特にまひろ)死体がぬいぐるみだって気づかないわけ?
(ネタバレにつき薄字で)
違和感ありすぎ。

今回は道尾氏、妙に文章やストーリー展開がヘタだなーと思っていたら
それこそが最大の伏線になっていたことには驚かされましたが、
全体的にはしょぼい連ドラによくあるような、ただ次週も視聴者に観させるためだけに
用意された、伏線というよりハッタリに近い描写のオンパレードで
道尾作品にしてはレベル低いな、と感じてしまった。

あとどうでもいいけど、〝大ガラス〟なら最終章のタイトルは〝Raven〟のほうが
格好よかったのでは? と個人的には思う。それまでのタイトルも皆馴染みのない
鳥の英語名だったし。

トリックそのもののセンスはいいだけに、それをもうちょっとうまく味付けしてくれていたら
もっと傑作になっただろうになあ、というのが率直な感想。



蛇足:
①第一刷のみ(だと思いますがたぶん)、作中にとんでもない誤植があります。
ちょっと驚いたあと笑いました。担当さんと写植の人、しっかりしろよ。
②〝片眼の猿〟を読んだことがある人には、ちょっとしたサプライズが本作には
用意されています。ヒント:もやし
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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