――ここよりも彼方へ。
両親を事故で亡くし、母方の実家に引き取られた中学1年生の如月タクマ。
が、そこではかつて魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死した事件が起きていた。
さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人を襲った斬首事件。
二つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔の仕業だと囁かれていた。
そんな呪われた町で、タクマは「月へ行きたい」と呟く少女、江留美麗に惹かれた。
残虐な斬首事件が再び起こるとも知らず……。
***
面白かったー!
長編二段組なのにあっという間に読めてしまった。
各章のはじまりがほぼポエム調なのには閉口しましたが、基本はあくまで現実に即した
フェアな本格ミステリでした。所々に挟み込まれる笑いも、全体のおどろおどろしさを
ほどよく中和していていい感じ。
読んでいる間中、物語の向こうにいる著者と知恵比べをしているようで、
「よっしゃここは読みのとおり! 勝った!」と得意になったり
「えっ、この伏線フェイクだったの? やられた。。。」と(いい意味で)腹を立てたり
最後までとても楽しかった。
悪魔をモチーフにしたストーリーも、無理なく現実と溶け合って違和感なく描かれていたし
ファンタジーやホラーが苦手なミステリ読みの人でも楽しく読むことができるはず。
ただ、主人公をはじめとする登場人物たちが皆、爬虫類的というか感情に起伏がなさすぎて
物語を動かすためのコマor記号に成り下がりがちなのが残念だったかな。
何でそこでそんな感情の動き方をするんだよ? と訝りたくなること少なからずだったので。
逆に本作中で一番人間的であってはならない、人間味がないからこそ魅力的である某人物が、
最後の最後で思い切り人間くささを出してしまったので
「ああ、この人もしょせん人間か。。。」とがっくりきてしまった。
人間味を出すべきところとそうじゃないところのポイントがズレていてちょっとバランス悪い感じ。
ほんと、あのエピローグは私的には要らなかったなあ。。。
あとは主人公にとって都合の悪い人物がうまい具合にバタバタ死にすぎ。
ご都合主義だな。。。と苦笑してしまいましたが、もしかして飛鳥部氏、物語をそう運ぶことで
暗に〝悪魔〟は実在することを仄めかしている?(やっぱ私の考えすぎかな。。。)
そして殺人のトリック。
可能なのかあ?! と突っ込みたかったですが、著者が前もって突っ込み逃れの逃げ道を
ちゃっかり用意してあるので、黙って納得するしかなかった。
これだけの長編であのトリックは正直どうかと思うんだけど。。。
あと、あのアナグラム! あれはどう考えてもアンフェアだろー。
あれをトリックを解く鍵にするなら、せめて序盤で振り仮名ふっといてほしかった。
アナグラムの謎が解明されるまでずっと違う読み方してたのに。。。私が無知なだけ??
いや、あれは普通読めないはず。。。(意味は本作を読めばわかります)
個人的に大好きなのは、不二男という少年が作った〝オススメモダンホラー〟という
近年のおすすめホラー小説を解説文と一緒に羅列したリスト。
これだけで一章使ってますからね。著者の小説というものに対する熱意がひしひしと
伝わってきます笑
なんだかんだ言って、近年出版されたものの中では〝オススメミステリ〟でした。
両親を事故で亡くし、母方の実家に引き取られた中学1年生の如月タクマ。
が、そこではかつて魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死した事件が起きていた。
さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人を襲った斬首事件。
二つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔の仕業だと囁かれていた。
そんな呪われた町で、タクマは「月へ行きたい」と呟く少女、江留美麗に惹かれた。
残虐な斬首事件が再び起こるとも知らず……。
***
面白かったー!
長編二段組なのにあっという間に読めてしまった。
各章のはじまりがほぼポエム調なのには閉口しましたが、基本はあくまで現実に即した
フェアな本格ミステリでした。所々に挟み込まれる笑いも、全体のおどろおどろしさを
ほどよく中和していていい感じ。
読んでいる間中、物語の向こうにいる著者と知恵比べをしているようで、
「よっしゃここは読みのとおり! 勝った!」と得意になったり
「えっ、この伏線フェイクだったの? やられた。。。」と(いい意味で)腹を立てたり
最後までとても楽しかった。
悪魔をモチーフにしたストーリーも、無理なく現実と溶け合って違和感なく描かれていたし
ファンタジーやホラーが苦手なミステリ読みの人でも楽しく読むことができるはず。
ただ、主人公をはじめとする登場人物たちが皆、爬虫類的というか感情に起伏がなさすぎて
物語を動かすためのコマor記号に成り下がりがちなのが残念だったかな。
何でそこでそんな感情の動き方をするんだよ? と訝りたくなること少なからずだったので。
逆に本作中で一番人間的であってはならない、人間味がないからこそ魅力的である某人物が、
最後の最後で思い切り人間くささを出してしまったので
「ああ、この人もしょせん人間か。。。」とがっくりきてしまった。
人間味を出すべきところとそうじゃないところのポイントがズレていてちょっとバランス悪い感じ。
ほんと、あのエピローグは私的には要らなかったなあ。。。
あとは主人公にとって都合の悪い人物がうまい具合にバタバタ死にすぎ。
ご都合主義だな。。。と苦笑してしまいましたが、もしかして飛鳥部氏、物語をそう運ぶことで
暗に〝悪魔〟は実在することを仄めかしている?(やっぱ私の考えすぎかな。。。)
そして殺人のトリック。
可能なのかあ?! と突っ込みたかったですが、著者が前もって突っ込み逃れの逃げ道を
ちゃっかり用意してあるので、黙って納得するしかなかった。
これだけの長編であのトリックは正直どうかと思うんだけど。。。
あと、あのアナグラム! あれはどう考えてもアンフェアだろー。
あれをトリックを解く鍵にするなら、せめて序盤で振り仮名ふっといてほしかった。
アナグラムの謎が解明されるまでずっと違う読み方してたのに。。。私が無知なだけ??
いや、あれは普通読めないはず。。。(意味は本作を読めばわかります)
個人的に大好きなのは、不二男という少年が作った〝オススメモダンホラー〟という
近年のおすすめホラー小説を解説文と一緒に羅列したリスト。
これだけで一章使ってますからね。著者の小説というものに対する熱意がひしひしと
伝わってきます笑
なんだかんだ言って、近年出版されたものの中では〝オススメミステリ〟でした。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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