もう一度、そこへ戻ってきたい、と願うだろう。
空で、地上で、海で…。望み、求め、諦め、憧れながらそれぞれの場所で生き続ける
「彼ら」が「スカイ・クロラ」の世界を語る。シリーズの番外短篇集。
★収録作品★
gyroscope ジャイロスコープ
nine lives ナイン・ライブス
waning moon ワニング・ムーン
spit fire スピッツ・ファイア
heart drain ハート・ドレイン
earth born アース・ボーン
doll of grory ドール・グローリィ
ash of the sky スカイ・アッシュ
***
これ絶対〝スカイ・クロラ〟シリーズのファンの人じゃなきゃ楽しくないだろうなあ。。。
ファンの私ですらあまり楽しめなかったぐらいだし。
ここ最近の森氏の著作からは「読者を楽しませよう」という気持ちが伝わってこない。
ただ思うままに自分の書きたいように書いている、そんな感じ。
本編では語られなかった特定のキャラの心情とかを知ることができたのは嬉しかったですが。
(いつもレストランの階段に座ってるじいさんが何を思ってあんなところで呆けてるのか、
普段いつも沈着冷静なカイが心の奥底には何を秘めているのか、
そしてあの〝ティーチャ〟はその後どうしているのか、そしてその最期は、etc.。。。)
ただ、本シリーズ自体元々ポエムと小説の中間みたいな作品なのに、本作では
それがなおさら顕著になっていて、そのあまりの抽象性に著者が結局何を言いたいのか
わからない点が多々あったりして、理解に多少(いやかなり)苦労を要した。
最終話〝スカイ・アッシュ〟なんてその最たるもの。如何様にも捉えられる、
アバウト極まりない描き方をされているので、自分なりに納得のいく解釈で補ってはみたものの、
そこはやっぱり著者本人に明確なひとつの答えを打ち出してほしかった。
本シリーズは後半に進むにつれて著者が中身の解釈を読者に委ねがちになっていったけど、
最後の最後でそのすべての曖昧な部分をびしっと結論づけてくれるものだと仄かに期待して
いたので、結局終わりまでこれかよ、と不服に思ってしまった。
個人的には〝ドール・グローリィ〟が一番好きです。
一作目の主人公、カンナミ・ユーヒチのどこか悲しげな魅力にやっぱり惹かれる。
出てきてくれるとほっとするような嬉しさがこみ上げてくる。それは本編の主人公である
少女と同じ心情でしょう、たぶん。
はじめに「楽しめなかった」とは書いたけれどやっぱり、
これまでシリーズ全作を通して読んできて登場人物たちの全てに思い入れがあったこともあり、
もうこの世に存在しない、もしくは二度と会えない遠い場所に行ってしまった人たちの写った写真を
見るような、もしくはそんな彼らを撮ったビデオを眺めるような、切ない気持ちにさせられたことは
確かです。
ああそうだな、この短編集は、物語世界に入り込むというよりは
あくまで傍観者の視点で彼らの何気ない(私たちの常識から見れば全然何気なくはないのですが)
日常を垣間見ている、そういう感覚に近いかもしれない。
空を飛ぶ、ただそのことだけに価値を見出す、
地上ではなく、遥か空中の高みでのみ自らの感情を解放できる。
そんな特殊な価値観を持つ〝キルドレ〟という存在を創り出した森氏はやはりすごいと思う。
新しい概念を生み出すというのはそうそう簡単にできることじゃないから。
シリーズ全作、本当に楽しませてもらいました。
ありがとう森博嗣さん。
もうこのシリーズが読めなくなるのは予想していた以上に寂しい。
本作の最終章を読み終えたとき、そう思いました。
空で、地上で、海で…。望み、求め、諦め、憧れながらそれぞれの場所で生き続ける
「彼ら」が「スカイ・クロラ」の世界を語る。シリーズの番外短篇集。
★収録作品★
gyroscope ジャイロスコープ
nine lives ナイン・ライブス
waning moon ワニング・ムーン
spit fire スピッツ・ファイア
heart drain ハート・ドレイン
earth born アース・ボーン
doll of grory ドール・グローリィ
ash of the sky スカイ・アッシュ
***
これ絶対〝スカイ・クロラ〟シリーズのファンの人じゃなきゃ楽しくないだろうなあ。。。
ファンの私ですらあまり楽しめなかったぐらいだし。
ここ最近の森氏の著作からは「読者を楽しませよう」という気持ちが伝わってこない。
ただ思うままに自分の書きたいように書いている、そんな感じ。
本編では語られなかった特定のキャラの心情とかを知ることができたのは嬉しかったですが。
(いつもレストランの階段に座ってるじいさんが何を思ってあんなところで呆けてるのか、
普段いつも沈着冷静なカイが心の奥底には何を秘めているのか、
そしてあの〝ティーチャ〟はその後どうしているのか、そしてその最期は、etc.。。。)
ただ、本シリーズ自体元々ポエムと小説の中間みたいな作品なのに、本作では
それがなおさら顕著になっていて、そのあまりの抽象性に著者が結局何を言いたいのか
わからない点が多々あったりして、理解に多少(いやかなり)苦労を要した。
最終話〝スカイ・アッシュ〟なんてその最たるもの。如何様にも捉えられる、
アバウト極まりない描き方をされているので、自分なりに納得のいく解釈で補ってはみたものの、
そこはやっぱり著者本人に明確なひとつの答えを打ち出してほしかった。
本シリーズは後半に進むにつれて著者が中身の解釈を読者に委ねがちになっていったけど、
最後の最後でそのすべての曖昧な部分をびしっと結論づけてくれるものだと仄かに期待して
いたので、結局終わりまでこれかよ、と不服に思ってしまった。
個人的には〝ドール・グローリィ〟が一番好きです。
一作目の主人公、カンナミ・ユーヒチのどこか悲しげな魅力にやっぱり惹かれる。
出てきてくれるとほっとするような嬉しさがこみ上げてくる。それは本編の主人公である
少女と同じ心情でしょう、たぶん。
はじめに「楽しめなかった」とは書いたけれどやっぱり、
これまでシリーズ全作を通して読んできて登場人物たちの全てに思い入れがあったこともあり、
もうこの世に存在しない、もしくは二度と会えない遠い場所に行ってしまった人たちの写った写真を
見るような、もしくはそんな彼らを撮ったビデオを眺めるような、切ない気持ちにさせられたことは
確かです。
ああそうだな、この短編集は、物語世界に入り込むというよりは
あくまで傍観者の視点で彼らの何気ない(私たちの常識から見れば全然何気なくはないのですが)
日常を垣間見ている、そういう感覚に近いかもしれない。
空を飛ぶ、ただそのことだけに価値を見出す、
地上ではなく、遥か空中の高みでのみ自らの感情を解放できる。
そんな特殊な価値観を持つ〝キルドレ〟という存在を創り出した森氏はやはりすごいと思う。
新しい概念を生み出すというのはそうそう簡単にできることじゃないから。
シリーズ全作、本当に楽しませてもらいました。
ありがとう森博嗣さん。
もうこのシリーズが読めなくなるのは予想していた以上に寂しい。
本作の最終章を読み終えたとき、そう思いました。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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