目には目を、殺意には殺意を。
幼時に父を亡くしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護られてきた。
彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、彼女の危険を回避するためだけに発動する。
突発的な事故ならバリアーとして。悪意をもった攻撃には、より激しく。では、
彼女に殺意をもった相手は? ガーディアンに、殺されるのだろうか。
特別な能力は、様々な思惑と、予想もしない事件を呼び寄せる。
石持浅海流奇想ミステリー、開幕。
***
(ものすごい偉そうであることを十分に自覚した上で言いますが)石持氏、成長したなあー!
一皮剥けたというか、既存のどの著作にも見られた欠点が本作では改善されてた。
たとえばこれまでは探偵役を異様に持ち上げすぎだったのが今回はちゃんと等身大に
描かれていたし、第二章ではじめ天才格として描写されていた人物が
話が進むにつれボロボロメッキが剥がれ人間的粗を無様に晒していく様は
石持作品では(自分が知る限り)初だったので意表をつかれた。
なんだかんだで好きな作家さんなので「これさえなければ。。。」といつも苛々させられていた
欠点が払拭されていたのは予想外でかなり嬉しかった。
このクオリティが続いてくれれば、今後の氏の作品をもっと楽しく気持ちよく読めるし。
ただ人間描写に関してひとつだけ突っ込むなら、第二章の主人公の友人の
「美人は得だな」というひと言。え? そのせいで敵に要らない観察されて、
バレてほしくない特殊能力がバレて窮地に立たされてるんですけどあんたたち。。。
やはり〝価値観が普通と若干ズレている〟という欠点までは直っていなかったようです。
物語としては、第一章はそれなりにトリックもしっかりしていて面白かったのですが
(主人公の友人がつまらないことを大げさなトラウマとして抱えているのには閉口しましたが。
もとから精神を病みがちだった人間ならともかく、そうじゃない人があの程度のことを
いちいちトラウマにしてたら到底生きていけません。ていうかこの友達、こんな脆すぎる精神で
よくここまで普通に生きてこられたな。普通入院するか自宅に引きこもるよ?)
第二章は冗長極まりなく、展開も同じことが淡々と続くだけでほとんど変化がない。
ミステリ的要素もほとんど皆無。出来の悪いB級ホラーを観ている気分がして正直読むのが
苦痛だった。
ヒロインの〝特殊能力を持つが故に物事に動じない、賢くて常に沈着冷静〟ってキャラは
何だか〝20世紀少年〟の遠藤カンナの焼き直しといった感じだし。
銀行強盗の甲田というキャラなんか彼女のことカリスマ視して崇拝しちゃって、そんなところも
仄かに20世紀少年。まあ、何故彼が崇拝すべき相手を常に求めているのか、その理由には
ちょっと切なくなりましたが。。。
個人的には本作の登場人物の中では甲田が一番よかった。石持作品には珍しく人間臭い、
そして残虐なのにどこか憎みきれない性格。そして石持作品恒例の〝天才キャラ〟の
ショボさを見抜き、そいつに一発ブチかましてくれたときは、
「何でみんなこいつのこと崇拝してんの。全然大したことないじゃん」と憤っていた気持ちを
彼が引き受けてくれたようでものすごくスカっとした。
多少詰めの甘いところはあったけど、それなりに楽しめる作品でした。
あーところでどうでもいいけど、私は精神のガーディアンがほしい。
幼時に父を亡くしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護られてきた。
彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、彼女の危険を回避するためだけに発動する。
突発的な事故ならバリアーとして。悪意をもった攻撃には、より激しく。では、
彼女に殺意をもった相手は? ガーディアンに、殺されるのだろうか。
特別な能力は、様々な思惑と、予想もしない事件を呼び寄せる。
石持浅海流奇想ミステリー、開幕。
***
(ものすごい偉そうであることを十分に自覚した上で言いますが)石持氏、成長したなあー!
一皮剥けたというか、既存のどの著作にも見られた欠点が本作では改善されてた。
たとえばこれまでは探偵役を異様に持ち上げすぎだったのが今回はちゃんと等身大に
描かれていたし、第二章ではじめ天才格として描写されていた人物が
話が進むにつれボロボロメッキが剥がれ人間的粗を無様に晒していく様は
石持作品では(自分が知る限り)初だったので意表をつかれた。
なんだかんだで好きな作家さんなので「これさえなければ。。。」といつも苛々させられていた
欠点が払拭されていたのは予想外でかなり嬉しかった。
このクオリティが続いてくれれば、今後の氏の作品をもっと楽しく気持ちよく読めるし。
ただ人間描写に関してひとつだけ突っ込むなら、第二章の主人公の友人の
「美人は得だな」というひと言。え? そのせいで敵に要らない観察されて、
バレてほしくない特殊能力がバレて窮地に立たされてるんですけどあんたたち。。。
やはり〝価値観が普通と若干ズレている〟という欠点までは直っていなかったようです。
物語としては、第一章はそれなりにトリックもしっかりしていて面白かったのですが
(主人公の友人がつまらないことを大げさなトラウマとして抱えているのには閉口しましたが。
もとから精神を病みがちだった人間ならともかく、そうじゃない人があの程度のことを
いちいちトラウマにしてたら到底生きていけません。ていうかこの友達、こんな脆すぎる精神で
よくここまで普通に生きてこられたな。普通入院するか自宅に引きこもるよ?)
第二章は冗長極まりなく、展開も同じことが淡々と続くだけでほとんど変化がない。
ミステリ的要素もほとんど皆無。出来の悪いB級ホラーを観ている気分がして正直読むのが
苦痛だった。
ヒロインの〝特殊能力を持つが故に物事に動じない、賢くて常に沈着冷静〟ってキャラは
何だか〝20世紀少年〟の遠藤カンナの焼き直しといった感じだし。
銀行強盗の甲田というキャラなんか彼女のことカリスマ視して崇拝しちゃって、そんなところも
仄かに20世紀少年。まあ、何故彼が崇拝すべき相手を常に求めているのか、その理由には
ちょっと切なくなりましたが。。。
個人的には本作の登場人物の中では甲田が一番よかった。石持作品には珍しく人間臭い、
そして残虐なのにどこか憎みきれない性格。そして石持作品恒例の〝天才キャラ〟の
ショボさを見抜き、そいつに一発ブチかましてくれたときは、
「何でみんなこいつのこと崇拝してんの。全然大したことないじゃん」と憤っていた気持ちを
彼が引き受けてくれたようでものすごくスカっとした。
多少詰めの甘いところはあったけど、それなりに楽しめる作品でした。
あーところでどうでもいいけど、私は精神のガーディアンがほしい。
PR
この記事へのコメント
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
[11/21 LaraGonzalez]
[02/24 kovo]
[02/24 稀乃]
[01/10 kovo]
[01/10 ゆうこ]
最新トラックバック
最新記事
(02/13)
(01/15)
(01/07)
(12/26)
(12/17)
ブログ内検索
最古記事
(09/14)
(09/14)
(09/15)
(09/25)
(09/29)