「……あたしは暴力を、否定も、肯定も、しない。
ただ、利用はする。あたしなりのやり方で、暴力をコントロールする」
木を見て森を見ず――。細部に注意しすぎ、肝心の全体を見失うことのたとえで、
事件捜査において、最も避けなければならないことである。
この小説に登場する刑事は皆、これを徹底し犯人を逮捕していく。
だが、彼らは気づかなかった。その森が想像以上に大きく深いということに……。
5つの殺人事件。果たして刑事は真実を見たのか? 果たして女は幸せだったのか?
今、注目を浴びる著者の連作警察小説。
★収録作品★
闇一重(やみひとえ)
蛍蜘蛛(ほたるぐも)
腐屍蝶(ふしちょう)
罪時雨(つみしぐれ)
死舞盃(しまいさかずき)
独静加(ひとりしずか)
***
〝ソウルケイジ〟はいまいち入り込めず序盤で投げ出し、
〝月光〟はあまりのつまらなさに読後ぶん投げ、
けれど最低三作その作家の著作を読まない限りは容易に見限ってはいけない、という
自分なりのモットーに準じて手にとった誉田作品の三作目である本作。
。。。見限らなくてよかった。
面白かった。(失礼だけど)同じ作家が書いたものとは思えなかった。
本作に収録されている物語は、最終章を抜かしてそれぞれが
独立したミステリ短編になっているので普通に連作短編集として楽しむこともできますが、
そのどの話にもある一人の人物が関わっており、その人物の正体や背景が
物語と物語を繋ぎながら徐々に明らかになっていく過程は手に汗握るものがあり、
一粒で二度おいしい構成になっています。
ただ。。。その人物があまりに陰に隠れすぎているというか、
本作で一番のキーパーソンの割りにその存在を印象付けるエピソードがほぼ皆無なので
あまり入れ込むことができず、衝撃的な(はずの)ラストもあまりインパクトがなかった。
マンネリな二時間サスペンスドラマを観ているような気持ちで、「あらあらお気の毒に」
と感じただけ。
そもそも、一章&二章はいかにも「これから何かが始まるぞ」的な期待を抱かせるに十分な
クオリティなのに三章以降からそれも徐々に失速し、最終章に至ってはあまりに話が
突飛な方向にすっ飛んでいってしまったので(というかそこに至るまでの過程がはしょられすぎ)、
「え? 何だったの?」ときょとんとしてしまった。
F1でたとえるなら、
「おー来たぞ来たぞものすごいスピードでこっちに来たぞ。。。ってあれ? 何か減速してね?
なんかトロトロこっちに向かってきてるんだけど。。。っておい今度は眼の前に来るなり
猛スピードで走り去っていったじゃんまったくマシン見えなかったよ何だったんだよ今のは」
みたいな感じというか。。。(非常にわかりにくいたとえですいません)
って結局文句言ってんじゃんて感じですが、そのキーパーソンの描写のバランスの悪さを
除けば、トリックも物語部分もしっかりしていて非常に面白く読めたのでおすすめです。
時おり挿入されるギャグも面白いし(「俺たちのデカ魂に……乾杯」は吹いた)。
オチはちょっと火サス&説教臭かったけどそのあたりは眼をつぶります。
ちなみに読後表紙を見ると「あっ、そういうことだったのか」とちょっと眼からウロコ落ちます。
。。。ああ、ずっと独りぼっちだった彼女は今もなお独り墓の中で眠ってるんだな。
〝独死塚〟、これが本当の最終章なのかもしれないな。
親子三代に亘って残酷な運命を強いられた女性たち、それが
彼女が自らの身を挺して抗ったことで断ち切られることを願って止まない。
ただ、利用はする。あたしなりのやり方で、暴力をコントロールする」
木を見て森を見ず――。細部に注意しすぎ、肝心の全体を見失うことのたとえで、
事件捜査において、最も避けなければならないことである。
この小説に登場する刑事は皆、これを徹底し犯人を逮捕していく。
だが、彼らは気づかなかった。その森が想像以上に大きく深いということに……。
5つの殺人事件。果たして刑事は真実を見たのか? 果たして女は幸せだったのか?
今、注目を浴びる著者の連作警察小説。
★収録作品★
闇一重(やみひとえ)
蛍蜘蛛(ほたるぐも)
腐屍蝶(ふしちょう)
罪時雨(つみしぐれ)
死舞盃(しまいさかずき)
独静加(ひとりしずか)
***
〝ソウルケイジ〟はいまいち入り込めず序盤で投げ出し、
〝月光〟はあまりのつまらなさに読後ぶん投げ、
けれど最低三作その作家の著作を読まない限りは容易に見限ってはいけない、という
自分なりのモットーに準じて手にとった誉田作品の三作目である本作。
。。。見限らなくてよかった。
面白かった。(失礼だけど)同じ作家が書いたものとは思えなかった。
本作に収録されている物語は、最終章を抜かしてそれぞれが
独立したミステリ短編になっているので普通に連作短編集として楽しむこともできますが、
そのどの話にもある一人の人物が関わっており、その人物の正体や背景が
物語と物語を繋ぎながら徐々に明らかになっていく過程は手に汗握るものがあり、
一粒で二度おいしい構成になっています。
ただ。。。その人物があまりに陰に隠れすぎているというか、
本作で一番のキーパーソンの割りにその存在を印象付けるエピソードがほぼ皆無なので
あまり入れ込むことができず、衝撃的な(はずの)ラストもあまりインパクトがなかった。
マンネリな二時間サスペンスドラマを観ているような気持ちで、「あらあらお気の毒に」
と感じただけ。
そもそも、一章&二章はいかにも「これから何かが始まるぞ」的な期待を抱かせるに十分な
クオリティなのに三章以降からそれも徐々に失速し、最終章に至ってはあまりに話が
突飛な方向にすっ飛んでいってしまったので(というかそこに至るまでの過程がはしょられすぎ)、
「え? 何だったの?」ときょとんとしてしまった。
F1でたとえるなら、
「おー来たぞ来たぞものすごいスピードでこっちに来たぞ。。。ってあれ? 何か減速してね?
なんかトロトロこっちに向かってきてるんだけど。。。っておい今度は眼の前に来るなり
猛スピードで走り去っていったじゃんまったくマシン見えなかったよ何だったんだよ今のは」
みたいな感じというか。。。(非常にわかりにくいたとえですいません)
って結局文句言ってんじゃんて感じですが、そのキーパーソンの描写のバランスの悪さを
除けば、トリックも物語部分もしっかりしていて非常に面白く読めたのでおすすめです。
時おり挿入されるギャグも面白いし(「俺たちのデカ魂に……乾杯」は吹いた)。
オチはちょっと火サス&説教臭かったけどそのあたりは眼をつぶります。
ちなみに読後表紙を見ると「あっ、そういうことだったのか」とちょっと眼からウロコ落ちます。
。。。ああ、ずっと独りぼっちだった彼女は今もなお独り墓の中で眠ってるんだな。
〝独死塚〟、これが本当の最終章なのかもしれないな。
親子三代に亘って残酷な運命を強いられた女性たち、それが
彼女が自らの身を挺して抗ったことで断ち切られることを願って止まない。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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