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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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きっと伝わる。



十八年間音信不通だった姉が、意識不明で救急病院に搬送された。
重傷の火傷、頭部の銃創。それは婚姻届を出した翌日の出来事だった。
しかも、姉が選んだ最愛の夫は、かつて人を殺めた男だという……。
姉の不審な預金通帳、噛み合わない事実。逃げる男と追う男。
「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ……」
慟哭の恋愛長編。

***

ミステリにも関わらず、下手な抽象画を見ているような終始薄らぼんやりとした印象の話だった。
姉が拳銃で撃たれた理由を必死で探し回る主人公の弟。長く音信不通だった姉の
空白の期間を知る人物を訪ね歩き、姉が事件に巻き込まれた経緯を解き明かしていく。。。というと
一見面白そうですが、その解き明かされた事実というのがすべて弟の憶測なので
「え? 本当にそうなの? あんたの勘違いじゃないの?」と今ひとつ話に入り込めない。しかも
極度の姉フェチである弟のシスコンフィルターを通してなので、なおさらその〝真実〟に
信憑性が感じられない。

しかもこの男、ことあるごとに「姉はなんて素晴らしいんだ」「姉はなんて強いんだ」と
自分の姉ちゃんを盲目的にベタボメするので(しかもその評価が完全に独り善がりなので)
だんだんイラついてくる。
あんたの姉は〝強い〟んじゃなく単に〝図太い〟だけなんだよ、と
本作に入り込んで怒鳴りつけてやりたい衝動に何度も駆られた。

さらに、著者はこの主人公を〝冴えないヘタレ男〟という設定にしているけど、だったら
彼の職業が医者なのは正直選択ミスなのでは? 正直主人公=医者、という先入観が、
著者の書きたい主人公像と読み手の解釈の間にズレを生じさせているので。

姉が銃撃されるに至った真相も到底納得いくものではないし(思わず「はぁ?」と声に出して
しまった)。納得いかないといえばもはや姉の行動・心理、すべてが納得いかないことづくめ。
何であの程度の男に、あんなつまらない理由でホレる?
何でそこまで無謀極まりないやり方で幸せを掴もうとする?
これが十代だというならまだしも、もう三十半ばのいい歳した女性の行動とはとても思えない。
挙げ句、アホか。。。と放心する読者を置いてけぼりにして、最後まで相も変わらず
「姉はすごい」と絶賛する弟のバカっぷり。ひどすぎて眼も当てられない。
主人公が姉と疎遠になった理由も、「まさか××じゃあるまいな。。。」と危惧していたことが
まんま正解で脱力したし。
登場人物も誰ひとりとして魅力ないし。
ラストはありがちもいいとこだし。
読むのに費やした時間と体力返せ。

ある一人の女性が生前何を思っていたのか、その身に何が起こったのか、
それを突き詰めていくというテーマの物語なら、こっち↓のほうがよっぽど面白い(マンガだけど)。



〝最愛〟というより〝最悪〟だった。
まじでおすすめしません。地雷小説。くれぐれも注意。

でも何となく、本作の内容と(タイトルも)合っているのでこの曲でも貼り付けておこう。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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