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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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偲ぶと云うよりももっと強力な感情だろう――。



オカルトスポット探険サークルの学生六人は、京都山間部の黒いレンガ屋敷〝ファイアフライ館〟に
肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。
そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。
そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。
嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。

***

二年ぶりの再読。私は本作の呪いにかかっているので、どうしても定期的に思い出しては
読みたくなってしまう(いっそ買えばいいんだけど)。

いやーしかし。。。ここまで「読者を(いい意味で)欺いてやろう」という気概の伝わってくる
ミステリはそうそうないです。
〝読者の驚きのツボ〟を全部おさえようとでもいうのか、
ありとあらゆるトリック&(ミステリにおける)騙しのテクニックがてんこもり。
なので若干複雑な作りになっておりミステリ初心者にはあまりおすすめしませんが、
ここまでいろんな要素を詰め込んでおいてくどくならないのが麻耶氏のすごいところ。
ただ惜しむらくは、作中の数多のトリック同士がぶつかり合ってその驚きを相殺している箇所が
少なからず見受けられた点。「このトリックさえなければあのトリックがもっと映えたのに」と
思わせられることしばしばだったので。

でも全体的に非常に好きです。
ある程度以上のミステリ読みには是非お薦めしたい一品。
本書を手にとる人に予めひとつだけ忠告しておくとするなら、
この麻耶雄嵩という作家、決して文章が下手なわけじゃないんですよ、決して。。。

余談だけどこの物語、映画化されたら意外といい感じのホラーミステリになるんじゃないかと思う。
観客の興味をそそるB級描写やユーモアもありつつ、壮大なクライマックスと予想外のラストは
深い感動&戦慄を観る者に抱かせること請け合い(探偵役がちょっとショボいからそこは
変えざるを得ないだろうけど。。。いや、私は好きなんですが、絵面的にね)。
映画会社さん、山田○介とかを映画化するぐらいならどうかこっちをお願いしますよ。いやマジで
そろそろその場限りじゃない、次世代にまで残る名作撮りたいと思わない?勧誘
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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