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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ここにいたって、どこにも行けない。



植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。
二人の間に横たわる〝歪な真実〟とは?
毎日の繰り返しに倦んだ看護士、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、
注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。
交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、
目隠しをされた〝平成〟という時代の闇が露わになる。

今を生きる人すべてが向き合わざるを得ない、自滅と祈りの物語。

***

朝井氏は割と好きな作家さんですが、最近著作を読んでおらず、
けれど題名とあらすじに惹かれて手に取った本作。
読み進めていくにつれて、著者が物語に込めた「テーマ」が見えてくる。
作中に出てくる「帝国のルール」「海山伝説」にあまり魅力を感じなかったので
そこまでのめり込めはしなかったけれど、それなりに面白く読めた。

ただ。。。朝井氏ってこんな文章下手だったっけ?と。
中高生でも読めるシンプルな文章で書かれているにも拘らず、
言葉足らずでちょっと考えないと意味がわからない微妙な文章が頻発。
「これはどういうことだ?」と思った表現の説明が10行後とか、
ひどいときには数ページ後に出てきたりといったことが多く、
読んでいて軽くストレスが溜まった。
あと、登場人物の女の喋り方がほぼバカっぽいのも気になった。
私は仕事の関係上、小学生から大学院生まで若者と呼ばれる世代の
すべてと関わっているけど、こんな「いかにもイマドキの喋り方してますよー」
みたいな子はまずいない。
「~なんですけどマジで」みたいな台詞が連発したときは正直イラっとした。
内容のテーマからいっても、これはいい大人が読むものじゃないよなあと
思ってしまった。明らかに中高生向け。
「ジンパ」って言葉が出てきたときも三秒ぐらい「ジンパって何だ?」と
考えてしまったし、「バズる」も意味がわからなくてググってしまった。
500P近くかけて書くようなことか?というのも感じてしまったし。
ラストで「雄介が親友の見舞いに来てるのは実はこういう理由なんですよ」と
明かされたときも、いやそれもう半分ちょっと読んだあたりから
気付いてました、といった感じで驚きはなかった(本作はミステリじゃないけど)。

やりたいことが見付からなくて、でも自分を「ただの人」にはしたくなくて、
無理やり生きがいを作ってそれにしがみつく。
私は幸か不幸か「これがやりたい」というものを常に持って生きてこられたから
雄介の気持ちはわからないけど、今の若者ってそういう風に悩んでる子が
多いんだろうか。
雄介の「世の中には三種類の人間がいる」という言葉には「その通りだな」と
強く共感したけど。
その言葉以外にも、「ああ自分もこういうときあったな」「こういう考え方したな」と
頷ける部分が作中にいくつか出てきたのは嬉しかった。自分以外の人間も
こういう考え方してるんだなと思って。

ただ、初期の朝井氏はもっと感性が鋭くて胸に直接突き刺さるような表現を
書けていたように思うから、その当時の彼に本作を書いてほしかった気もする。
でも矛盾するようだけど、著者も今年で30代になるのだから、もうちょっと
幼い文章を大人向けにしてもいい気がする。

自分がこれから何を目標にして生きていけばいいかわからないっていう
10代の子にはオススメかな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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