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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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おかえり。

 

ある快晴の日。人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。
猟奇的なファンによる、小説を模倣した大量殺人。
この事件を境に筆を折ったチヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。
闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた少女からの
百二十八通にも及ぶ手紙だった。
事件から十年――。売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活を
スタートさせたコーキ。しかし『スロウハイツ』の日々は、謎の少女・加々美莉々亜の出現により、
思わぬ方向へゆっくりと変化を始める…。

***

作中に地雷のように埋まっていた伏線が最後に大爆発して読者を驚かせるのが
一般にいうミステリなのでしょうが、
本作では伏線=毛糸で、それを編み上げて最後に姿を現すのが温かなセーター、
クサい表現だけどまさにそんな感じだった。
真相に驚くというよりは「あー、そうだったのかぁ。。。」と思わず泣き笑いしてしまうような。

ラブストーリーの要素なんてほとんどないのに、これはある意味紙上(敢えてこの字で)最高の
ラブストーリーじゃないかと思う。
〝彼〟と〝彼女〟の関係性が心の底から羨ましい。

私的な話になってしまうけど、私には〝ファン〟なんてものを通り越して
すごく大切な作家さんがいて、その人は私にとっては
「もし彼の著作に出会えていなければ今自分は生きていなかっただろう」と思えるほどの人で、
彼にはずっと救われてきたし彼にいつか追いつきたいという一念で今小説を書いている。
だからあるとき彼宛てに手紙を出してしばらくして返事をもらったときには、
その場で突っ伏して号泣するほど感動した。
返事をもらったことはもちろん、何よりその文面から
自分が少しでもその人の心を幸せにすることができたのが伝わってきて
それが何より嬉しかった。
だから本作の〝彼〟と〝彼女〟に、どうしても自分とその人と重ねずにいられない。

話は戻って、ラストはちょっと大団円すぎる気もしたけど、
チヨダ・コーキのキャラは正直惚れそうになるほどだし(マジで。ちょっと〝デスノート〟のL風かな?
物語自体もちょっとデスノートをモチーフに取り込んでるところがあるし)、
作家である著者の思考も物語越しに透けて見えて、視点を変えればエッセイ風に読むこともできる、
非常におすすめの一作です。

特に夏に読むには最適。



あなたにもあなただけの〝神様〟はちゃんといますか?
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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