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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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いつか、やがて、海へとたどり着くだろう。



これは、あなたが読んだことのない重松清――
本当の救済がここにあります。

小説家であるセンセイに、ある少年から旅の詳細を記した手紙が届く。
それは、生き抜くために家出をした三人の少年少女の記録だった。
しかし現実の彼らはある事故に遭っていた――。
ナイフさん、エミちゃん。手紙にはセンセイの創作した人物まで登場する。
これは物語なのか、現実なのか。
全ての親へ捧げる、再生と救済の感動巨編。

***
 
死にたいほどつらいときも小説が助けてくれた。
大好きな作家の生み出したキャラクターと頭の中で会話することで
地獄のような精神状態を耐えてどうにか暮らせる今がある。
。。。という経験のある私ですが、そこまで大層なことじゃなくても、
単に小説のキャラに萌えて読んでいる間はいやなことを忘れられる、
生きる張り合いが出る、なんてひとにもおすすめの一冊。
誰しもが好きな作家に「自分のためだけのキャラを生み出してください」とか
「あなたの書く物語の中に自分を登場させてください」とか
一度はお願いしてみたいものだと思うけど、本作ではそれを重松清という
大御所作家が実践してくれているから。
これまでの重松作品の登場人物も普通に出てきて、彼らのその後が
描かれているのもファンには嬉しいサービス。もちろんそれらを未読のひとにも
普通に読めるようになっています。
テーマがいじめということもあって対象年齢を十代に絞っている印象を受ける
本作ですが、現実とフィクションが次第に融合してひとつになっていく
終盤の展開はどこか純文学的なテイストがあって大人でも割と読めます。
むしろ大人が読んだら青臭さに子供っぽい印象を受け、
子供が読んだらラストの抽象的な終わり方が理解出来ない、といった
困ったことにもなりそうな危惧を抱かせる作品ではありますが、
心地よい切なさと寂しさ、でも一抹の救いは物語から感じ取ることが出来ると思うので
読んで損はありません。
個人的には「疾走」の主人公・シュウジを出してほしかったなー。。。って
まあ無理な相談なんですが(意味は読めばわかります。重松氏の最高傑作です)。

長く子供を主人公にした物語を書いてきた重松氏。
苦しむ子供たちを自らの紡ぐ物語で救いたいという気概は
これまでの著作からもむんむん漂っていましたが、その集大成が本作なんだろうな。

ちなみに蛇足ですが私が一番会いたい小説の中のキャラクターは
 御手洗潔です。冗談抜きで惚れていて、彼の登場シーンでは
心臓がドキドキしまくって顔まで赤らんだほど。ええ。喪女ですとも。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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