お前はお前の大目標を、大往生を探せ。
五十人の老婆が、奇妙なコミュニティを形成する現在の姥捨て山「デンデラ」。
ある者は自分を捨てた村を恨み、ある者は生き永らえたことを喜び、ある者は穏やかな死を願う。
様々な感情が渦巻く隠れ里は、一匹の巨大羆の襲来により、修羅場と化した――。
***
出ん出らりゅうば 出て来るばってん
出ん出られんけん 出ーて来んけん
来ん来られんけん 来られられんけん
来ーん来ん
出ようとして出られるならば、出て行くけれど、
出ようとしても出られないから、出て行かないからね。
行こうとしても行けないから、行くことはできないから、
行かない、行かない。
。。。やっぱりこの歌がタイトルの元なんだろうか(え? 動画のインパクトが強すぎる?
気にしない!)
佐藤氏は文章が冗長なので少しメリハリに欠ける部分もあったけど、
ミステリの要素も入った本作は割りと楽しく読めました。
ただ、こういった作品を書くには、佐藤氏はまだ若すぎたように思える。
何でそう思うかって、ばあちゃんたちがやたらとたくましすぎるんだよな。
めちゃくちゃ寒い山中なのに妙に寝つきがいいし、
(慢性的に食料不足なのを差し引いても)食欲も旺盛。
ヘタな若者より感情表現豊かだし喜怒哀楽激しいし、
身体にガタがきてるはずなのに身体能力高い上に体力もある。
挙げ句熊に身体をえぐられてもなかなか死なない。違和感ありあり。
老人ならではの生への無頓着(もしくは過剰な執着)、身体や精神の衰え、
そういうものがほとんど描かれていないのは、おそらく著者がまだ二十代だから。
もうちょっと歳をとってからこのテーマに着手してほしかったというのが正直な感想。
人生の最後の最後に、極楽浄土に行く以上の〝大往生〟を見せてくれた彼女には
爽快な感動を覚えましたが。
あーそれにしても、ラストを読んでから表紙を見ると、
「ああこの表紙が。。。」と感慨深い気持ちになるなー。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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