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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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永遠に解読されない記号。



妻はそれきり11年、口を利かなかった――。
30を過ぎて結婚した男女の遠く隔たったままの歳月。
ガルシア=マルケスを思わせる感覚で、日常の細部に宿る不可思議をあくまでリアルに描きだす。
過ぎ去った時間の侵しがたい磐石さ。その恵み。人生とは、流れてゆく時間そのものなのだ――。
小説にしかできない方法でこの世界をあるがままに肯定する、日本発の世界文学! 
第141回芥川賞受賞作。

★収録作品★

 終の住処
 ペナント

***

芥川賞受賞作はいつもチェックしているけど、これが芥川賞受賞作?というのが率直な感想。
今まで読んだ中では一番微妙かも。

とにかく主人公の思考がトレースしづらい。
純文学の主人公というのは総じて精神病質なタイプが多いけど、本作の主人公は
躁&ノイローゼキャラで、精神病質というよりはほんまもんの精神病患者っぽい。
それを差し引いても、レストランに入ってガラス窓越しに泣いている女の子を見て急にキレて
席かわろうとしたりとどうにも思考回路が意味不明でついていけない。
そしてあらゆる物事にいちいち大袈裟なリアクション&考え方をするので、
読み進めるごとにうざくなってくる。

大袈裟といえば著者の磯崎氏の比喩・暗喩が総じて大袈裟&陳腐なので
その点も読んでいてつらかった(「夕日に人生の終わりを感じる」って今どき。。。失笑)。

互いに妥協して結婚した相手との夫婦生活、というのが物語の主軸なはずなのに
会社のいざこざやら何やらまで持ち出してきてしかもその描写が無駄に細かく、
主人公夫婦も単なる倦怠期の二人みたいで
〝妥協した結婚ならではのあれこれ〟がほとんど描かれてないので
結局最後まで著者が何を言いたかったのかわからずじまいだった。

よかったのはイグアナの挿話とラスト一行ぐらいかな。
ちなみに「恋をした大勢の人間の中に実は一人の人を見ていた」というのは
既にこの↓漫画家がやってます(そしてこっちのほうがよっぽどいいです)。



主人公が島耕作並みにモテるのも物語を進める上で必要あるのかないのかよくわからんし。
そもそもたとえモテるとしてもそのモテ方がおかしいし(あれじゃ女たちみんな変態だよ)。

何も心に残らなかった。
同じ夫婦のことを書いた芥川賞受賞作なら、伊藤たかみ氏の〝八月の路上に捨てる〟のほうが
断然いい。

あまりおすすめしません。
これが芥川賞を獲れて田中慎弥氏に獲れないのがあまりに納得いかない。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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