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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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まだまだ見つけられる海がある。



ミステリ界注目の門井慶喜が描く学園小説!
「テレポーテーションが現実に可能であることを証明して下さい」。
生徒から新任教師に投げられた難問に答えはあるのか?
知的好奇心をくすぐるミステリ。

★収録作品★

 パラドックス実践 
 弁論大会始末 
 叔父さんが先生 
 職業には向かない女

***

文章にクセのある作家さんだけどさすがにもう慣れてきたな。
前回読んだ〝人形の部屋〟よりはずっと面白かった。何より〝弁論ミステリ〟というのが
斬新でいい(まあ、探偵vs犯人のやり取りなんて全部弁論みたいなものなんだけど)。

ただ、表題作〝パラドックス実践〟、これが日本推理作家協会賞ノミネート作品というのは
首を捻らざるを得ない。
生徒たちの
「テレポートは可能か」
「サンタはいるのか」
「海が山、山が海になることはあるか」
この問いに対して主人公の教師が出した答え、正直ただの屁理屈じゃん。
掴みが面白かっただけに裏切られた気分になった。
同じノミネート作品でも、道尾秀介氏の〝流れ星のつくり方〟、
米沢穂信氏の〝心あたりのある者は〟等は「何でこれが受賞しない?」とまで思えたほどの
秀作なのに。

〝弁論大会始末〟も、大会に出た女の子が「鮭を増やすのにこういう方法はどうでしょう」と
提案した方法が彼女が使用した参考文献に載ってなかったことよりも、
他人が考えた方法をあたかも自分が思いついたかのように語ってることのほうが問題なのに
どうして誰も突っ込まないの?と違和感を感じた。
問題解決の鍵になった〝川〟も、彼女は弁論大会においてはそこまではっきりとした言い方は
してないのに教師が妙に勘よすぎるし(というか思い込みが激しい?)。

〝叔父さんが先生〟は一番納得いく話だったかな。
主人公の姪が生意気すぎだけど。

〝職業には向かない女〟、これもまあ読めるんだけど、
著者本人が書いたんじゃない限り(相田みつをのように)、手書きの詩ってそれだけで
活字に比べて印象操作される気がするから主人公の考えには賛同しづらい。
そしてラスト、一見さわやかな終わり方だけどよくよく考えたら主人公微妙にストーカーチックで
怖い(彼女のルックスにもよるけど。。。)。
まあいいけどさ。
タイトルはうまい。好きです。

何だか読んでいる間、自分も弁論に参加してる気になってくる小説だったな。
割りとおすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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