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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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思いは濃度を増していく。



昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある
首都・東京。
この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、
警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が
当局に届けられた! しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。
警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。
「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、
エンタテインメント巨編。

***

娯楽小説としては非常に面白く一気に読めてしまいましたが、
巷で評判になっているほどにはクオリティは高いとは思えず。
白夜行〟のように、まず事件が起こり、後の章でその裏側が明らかになる、
この構成は興味をそそるのですが、警察サイドも主人公(犯人)サイドも行動に穴が多すぎて、
(悪い意味で)次にどう出るかがわからないのでどうにも緊迫感がなく読んでいてハラハラしない。

「どうして警察に張られてるのにトレードマークの帽子かぶり続けてんの?」とか
「これだけの大物犯罪者を追うのに立ち〇ョンしてたり全員が揃いも揃って水ガバガバ飲んでたり、
刑事や探偵が張り込みのときに尿意を催さないように水分補給を最低限にするのは基本だろ」とか
「何で真っ黒に日焼けしてるのにコスプレごときで人の眼を欺けるの?」とか(まああの格好は
露出少ないけど)
突っ込みどころ満載でミステリとしては不満が残った。

特にこういう、実際にあった歴史的イベントを背景にした物語は
臨場感があってリアルさを感じられる反面、オチがある程度読めちゃうってデメリットも
あるんだよな。。。

それにしても、現代でも格差社会の貧困層は(昔ほどでないにせよ)
金銭的にも社会的にも苦しい思いをしているわけだけど、
上層の人間たちもストレスによって病を得たり急な倒産に見舞われたりと
その階級ならではの苦しみを抱いている。
主人公が今の時代に生まれてたら、一体どうしてたんだろうな。
それが唯一知りたいことだ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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