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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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助けたい。



その若者には、見たくないものが視えた。他人の「死」が。「運命」が――。
本屋大賞受賞後初の長編小説、遂に刊行!
幼い頃に両親と妹を亡くした木山慎一郎には、友人も恋人もいない。
一日中働き夜寝るだけの日々。夢も自信も持てない孤独な人生だった。
その日までは――。
ミリオンセラーを連発する著者が、満を持して選んだテーマは
「愛」と「死」と「選択」を巡る、人間の「運命」の物語。
大切な人の「死」が見えたとき、あなたなら、どうしますか?

***

文章はシンプルでうまくリーダビリティもあるのでぐいぐい読める。
ただ、作品としては駄作。
同じようなことで悶々とする主人公。素朴で純情で好感は持てるのだけど、
その喜びを同じように喜んだり悲しみを共有したりするほどの
キャラクター性がない。
オチも簡単に読めてしまう。
クライマックスも、結局付き合っている女性と幸せになりたかったのか
死んだ妹のような子供を出したくなかったのかどっちつかずでぼんやりした印象。
付き合っている女性に至っては、男が考える理想の女性のステロタイプ
丸出しで「こんな女いねーよ」と心中で突っ込んでしまった。
妙に性に対して狡猾で積極的なのもリアリティがなかったし。
「あなたの寝室が見たーい」なんて下世話な女だなと思った。

以下ネタバレ含む

葵が本当に主人公を愛しているのなら、
列車事故は彼女が止めればよかったのでは?
これまで大して他人を救っていないようだし、一回ぐらい他人の死を
止めたぐらいで死にはしなかっただろ。
主人公も葵と付き合ってほんのちょっとだし、お互いがお互いを思う気持ちが
ほとんど伝わってこなかった。
しかも付き合って二日目に70万の指輪をプレゼントしようとするなんて。。。
モテない男丸出しでちょっと引く。まあそういうキャラ設定なんだけど。
主人公の同僚の金田も都合よくいいひとになりすぎ。

しかも疑問なのだけど、金田だけを救おうとした場合と
列車事故で死ぬ大勢の人間を助けようとした場合で
主人公の身体にくる負担はどれぐらい違ったんだろう。
前者だったら主人公死ななかったかもな。

百田尚樹は「永遠の0」以外面白くないけど、
あれもフィクションとは言い難いしなー。
100%虚構の世界を描かせたら百田氏はこんなものか。

それにしても、見るからに健康そうと描写されている葵は
ひとの死を救ったことが一度もないんだろうか。
だったらやっぱり列車事故は彼女が止めるべきだったな。
それだったらハッピーエンドになったのに。

あまりおすすめしません。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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