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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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さあ、引き金を引こうか。



妹が首を吊った、とイカレた母親からの電話。愉快そうな侵入者は、妹の陵辱ビデオを見せたうえ、
レイプ魔たちの愛娘がどこにいるか教えてくれる。僕はスタンガンを手に捕獲を開始。でも街には
77人の少女を餌食にした“突き刺しジャック”も徘徊していた――。
世界を容赦なく切り裂くメフィスト賞受賞作。

***

【flicker】…揺らぐ光。点滅。ちらつき。

純文学寄りになってからの著作しか読んでなかったので、
佐藤氏のデビュー作である本作を読んで「うおーこんなん書いてたのかー!」と
違和感ありまくり、でもかなり楽しかった。

って、「楽しい」なんてうかつに言っちゃいけない内容ではあるんですが。。。
そもそもどうして本作だけ未読だったかというと、図書館に唯一これだけが置いてなかったからで、
何でデビュー作なのにこれだけないんだよ、続編は普通にあるのにこれは一体どういうことだよ、と
常々思っていたんですが本作を読み終えて納得。
一応ラノベのカテゴリーに入る、子供がすぐ手にとれちゃうこれを、
図書館に置いておいたら確かにまずいわ。
あらすじを読んでもらえばその意味はだいたいわかると思うけど、
読む子によっちゃ潜在意識下のやばいスイッチがONになっちゃう可能性がなきにしもあらず。
今さらそういうものにアイデンティティを揺るがされる心配もない私としては
非常に面白く読めましたが。

突き刺しジャックの殺人の動機なんか斬新でインパクト強くてしかもかなり切ないし。
主人公が傷ついた犬と自分をクロスオーバーさせるクライマックスには
現在の佐藤氏の純文学性が垣間見えた気がしておっと思わせられたし。
ラスト一行なんて最早どうリアクションしていいかわからないし(読み終えた本に対する
リアクションに困ったことなんて初めてかも)。

佐藤氏と同じメフィスト作家である辻村深月さんの某作品を先に読んでしまっていたせいで
後半のある〝真相〟にはあまり驚けませんでしたが、
「あーメフィスト作家って考えつくネタまでかぶるんだなー」と妙な感動をしてしまったりもした。
(上のふたりと同じネタ使ってたメフィスト作家が実はあと一人いたりする)

読者にすり寄ってこず、どこまでも突き放して「ついてきたけりゃついてくれば?」的な
スタンスを常に崩さないメフィスト作家の著作はもう本当に心底好きです。

人を選ぶかもですがおすすめ。



余談:
ていうかなんか本作にすごいFFⅩと似てる部分あるんだけど(パクリとかそういうことじゃなく
作中で連発されるある台詞がかぶってる)、
発売したの同時期だしたぶん偶然なんだろうなあ。。。でもすごいな。

kudan.jpg







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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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