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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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必ず来るその日のために。



私たちは何かを失っている。そんな喪失感が確かにある。
この日本という島国に…。
介護に追い詰められていく人々、正義にしがみつく偽善者、
社会の中でもがき苦しむ人々の絶望を抉り出す、魂を揺さぶるミステリー小説。

***

家族に負担をかけている要介護老人ばかりが
何者かに連続して殺されていく、という物語。
ミステリとしてはシンプルですが、丁寧に練られた内容に
どんな読者でも安心して読み進めていくことが出来ます。

ラストへの伏線のためというのが丸わかりな
主人公検事がクリスチャンという設定や、
シーンが変わるたびに「日付変わって何日後」と入る拙い文章、
更に細かいことを言えば「~している」という文章が「~してる」と度々表記されるのも
未熟さを感じてどうかと思いましたが(葉真中氏は本作がデビュー作)、
本作を書くにあたって念入りに調べ物をしたのが読んでいて伝わってくるので
その熱意で帳消しといったところです。

内容はひと言で言えば「デスノート」。
読めばわかりますが著者は間違いなくあの大ヒットマンガを読んでいると思う。
ので、あのマンガが好きなひとは読んでみると楽しめるかも。

よく「風が吹いて春の訪れを告げていた」とか
「つぼみが芽吹く気配を見せていた」
とかいった爽やかな自然描写でラストを締めくくる小説に出会うことがあり
私は個人的にはこれが大嫌いなのですが、
本作もそう来るのかと思いきやまさかのあのラスト三行。
ぞくりときました。うまい、と思わず拍手を送ってしまったほど。
「ロスト・ケア」というタイトルの意味がわかるクライマックスにも驚かされたし。

総じてよく出来た物語だと思います。
おすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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