忍者ブログ
読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
[1740]  [1747]  [1736]  [1732]  [1735]  [1724]  [1720]  [1701]  [1719]  [1723]  [1711
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

くるくると一緒に回りたい。



ねぇ、銀杏。わたしたちは確かに友達だったよね?
わたしが観覧車の幽霊になって随分時間が経ちました。
この観覧車には変わった人がいっぱい乗ってきます。
盗聴魔、超能力を持つ占い師、自信喪失した女記者、
ゴンドラでお見合いをする美人医師…みんな必死にくるくる生きてる。
だから今、わたしは人を思う力を信じてる。
そうしたらいつかもう一度、あなたに逢えるかな?
これはすれ違う人々の人生と運命を乗せて、回り続ける観覧車の物語――。

***

一人ひとりの登場人物も彼ら各自のエピソードもよく描かれているのですが、
そして思わぬ人物同士が繋がり相互作用し合って
「銀杏」と「千穂」ふたりのヒロインの運命を変えていく描写はとてもいい感じなのですが、
肝心の銀杏と千穂が何故互いをそんなにも大切に想うのかが描かれていないので
千穂がどうして銀杏を好きになり彼女のことを待ち続けているのかもよくわからず
銀杏がどうしてラストで大事なものを犠牲にしてまで千穂のために
あんな行動をとったのかも不明で
彼女たちふたりの絆を描きたいはずだった本作が理解不能の薄っぺらいものに
なってしまっている感じがした。
あと最近気付いたんだけど私はこの著者が作中にちょいちょい入れてくるエロスが
どうも苦手だ。直接的な性描写はなくても、たとえば何かの少女漫画で
よく見ると登場人物全員にわざわざ腋毛が描き込まれているのを発見したような、
もしくは各々のプロフィールに無駄に初体験の年齢が書かれているのを発見したような、
生理的な不快感を感じる。
本作でも「乳首事件」とか出てくるしな。

著者の白河さんは最近乙一氏の称号である「切なさの魔術師」を
奪い取る勢いだと言われているそうだけど、
好き嫌いはあるにせよ私から見ればまだまだ乙一氏には及ばないと思うので
周りが勝手に言っていることとはいえその称号を与えるのはやめにしてほしい。

〝プールの底に眠る〟〝私を知らないで〟はとてもよかったけど
〝角のない消しゴムは嘘を消せない〟と本作はあまりおすすめではないかな。
当たり外れのでかい作家さんだと思う。
PR
この記事へのコメント
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※チェックを入れると管理者へのみの表示となります。)
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
Copyright © 【イタクカシカムイ -言霊- 】 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
忍者ブログ [PR]