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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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裏稼業として人の記憶を取引する「店」で働く銀行員の良平と漫画家志望の健太。
神出鬼没のシンガーソングライター・星名の素性を追うことになった悪友二人組は、
彼女の過去を暴く過程で医者一家焼死事件との関わりと、星名のために命を絶った
ある男の存在を知る。調査を進めるごとに浮かび上がる幾多の謎。
代表曲「スターダスト・ナイト」の歌詞に秘められた願い、
「店」で記憶移植が禁じられた理由、そして脅迫者の影…。
謎が謎を呼び、それぞれの想いと記憶が交錯し絡み合うなか辿り着いた、
美しくも残酷な真実とは?
大胆な発想と圧倒的な完成度が選考会で話題を呼んだ、
第5回「新潮ミステリー大賞」受賞作!

***

新潮ミステリー大賞受賞作は、伊坂幸太郎氏、道尾秀介氏、貴志祐介氏という
大好きな作家さんたちが選考委員を務めているということもあって
全作読んできましたが、すべての作品に期待を裏切られてきたというのが本音。
「サナキの森」はラノベに毛が生えたような婦女子系本格もどき。
「レプリカたちの夜」は文章力と独特の世界観はすごいけれど
まったくミステリではなく単純に面白くないシュールSF。
「夏をなくした少年たち」は登場人物たちの心理描写は卓越しているけれど
ミステリとしてははっきり言ってゴミ。

というわけで本作もさして期待せずに手に取ったのですが。。。

面白かった。
文章が読みやすいのでサクサク読める。
登場人物は皆どこかで見たようなキャラばかりで個性がないけれど
彼らの会話に時折センスが感じられる。
何よりもちゃんとミステリしていて、新潮「ミステリー」大賞受賞作として
納得のいく内容だった。

伏線は一見何気なく張られているけれどそれが後にどう物語に繋がっていくかは
読めてしまうし、「実は〇〇でした」という展開になったときも
正直「うん、知ってた」と思えてしまうところが多かったし、
本作最大の謎も見当がついてしまったのでミステリとしての「そうだったのか!!」
という驚きはなかったけれど、それでも著者の緻密に物語を組み立てる構成力は
素直にすごいと思ったし最後まで楽しく読むことが出来た。
歴代受賞作の中で一番面白く、受賞したことに納得がいく作品だった。

長い黒髪に麦わら帽子に白いワンピースの少女、というのが出てきたときは
テンプレ過ぎるだろとちょっと鼻白んだけど。
あとこの著者、昔の漫画「マインドアサシン」読んだことありそう、と思った。

記憶を扱ったミステリだと、本作が肌に合うひとは織守きょうやさんの
「記憶屋」も楽しめると思います。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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