14歳の女子中学生が、同級生を殺害した容疑で逮捕された。
少女は犯行を認めたけれど、動機は語らない。果たして真相は…。
メフィスト賞作家が描く、社会派青春ミステリ。
***
この著者のデビュー作「キョウカンカク」は
最初図書館で借りて読み、気に入って手元に置いておきたくなって
購入した過去がありますが、その当時は正直
「面白いけどラノベっぽいな。何だかなあ」と思っていました。
そしてかなり久しぶりに著作を読み。。。
ハマった。
警察の捜査本部の会議である刑事が「携帯の操作をミスったものと思われます」
とか発言したり(「ミスった」とか普通言わないので)、
比喩表現がやや陳腐だったり、同じ表現が何度も繰り返し出てきたりと
文章の稚拙さは少しだけ気になったものの、それを補って余りある筆力で
一気に読ませる。先が気になって徹夜で読んでしまいました。
デビュー作はワントリックで引っ張る感じだったけど、本作はミステリとしての
構成がしっかりしていて著者の安定した実力を感じさせる。
また、著者がこの物語を通して訴えたいことがしっかりと伝わってくるので、
単なる娯楽作品以上のものに仕上がっている。
トリックはちょっと手垢が付いたものも出てくるけれど、ラストである人物が
激高して放った台詞には、まるで自分が言われたかのようなショックを受けた。
それだけ物語世界に入り込んでいたんでしょう。
括りとしては「社会派ミステリ」に入るのかも知れないけれど、そのへんの
著者の主張が激しくて物語の進行を邪魔するようなものではなく、
エンタメとして非常に面白く書かれているので、テーマがすんなり心に入ってくる。
「深みのあるミステリ」としてとても楽しませてもらった。
ちなみに本作、某ミステリマニアさんがツイッターでオススメしていたので
興味がわいて読んでみたのですが、そのマニアさんに感謝したい。
非常にお勧めです。
絶望を描いた物語ではあるけれど、決してそれだけではないので。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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