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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「『本物』がどんなだか、あいつに見せてやろうよ」



僕に近づいてはいけない。 あなたを殺してしまうから。

週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。
この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、
“もう一人の僕”にならずにすむからだ。
昔、児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。
僕のような人間を、サイコパスと言うらしい。
ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、
平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――。

***

夜に「ちょっと読んで寝るかー」と読み始めたら面白過ぎて止まらず、
徹夜で読破してしまった。

道尾氏の著作は「スタフ」あたりからつまらなくて手に取っても
全部数十ページもいかないうちに放り出していたのですが、
久々に大好きだった初期のころを髣髴とさせる道尾節を堪能させてもらった。
道尾氏は変に純文学調の重厚な書き方をせず、こういうエンタメに徹したほうが
一番本領を発揮するなと改めて思った次第。

オチは読めず見事に騙され、でも最初から読み返してみると
至るところに伏線が散りばめられている。
主人公がやってたゲームとか、コンビニで買ったものとか。
こういう昔からミステリにある、手垢のついた「実は〇〇でした」トリックを
ここまで面白く読ませる実力はさすが道尾氏ならでは。

サイコパスが主人公の本作、前に友人に借りて読んだサイコパスについて書かれた
専門書に出てくるサイコパスと比べるとやや平凡に過ぎる印象はあるものの
(サイコパスは得てして周囲の人間を魅了する魅力を持っていることが多いので)、
まあ物語の主題はそこじゃないしそういう上辺の魅力を持つサイコパスものを
読みたいなら貴志祐介氏の「悪の教典」を読めばいいしな。

そういえば昔知人が「俺はサイコパスかも知れない。調べたらほとんど
自分に当てはまる」と何故か嬉しそうに言ってたけど、
ちょっとのことでヘタレてテンパる、人殺しする度胸なんかありそうにもない
そのひとは完全なサイコパスもどきで、でもその本性を知らない人間からは
やたらとモテてたのを思い出した。まあ彼にもその片鱗ぐらいはあったんでしょう。

ラストはちょっと綺麗に纏めすぎかなとは思ったけど、
全体に陰惨な物語なので唯一の救いのシーンであるのも確か。
私的には終始一貫どす黒くても一向に構わなかったのだけど、それだと
一般受けが悪いんだろうな。

徹夜で一冊本を読んだなんてものすごく久しぶりの体験だった。
非常におすすめです。
ちなみに本作が好きなひとは、前述の「悪の教典」と
辻村深月の「子どもたちは夜と遊ぶ」もおすすめ。
あと漫画の「MONSTER」も。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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