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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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逃がすものか。



だれが見ても、あいつが犯人だった――幼女殺害事件に挑む新米刑事。
事件解決に傾ける情熱が、大きな疑惑に突き当たっていく。犯罪被害者の遺族として。
図地反転図形――図と地(背景)の間を知覚はさまよう。「ふたつの図」を同時に見ることはできない。
ひとたび反転してしまったら、もう「元の図」を見ることはできない。
乱歩賞作家の受賞第一作ミステリー。

***

犯人当てに重きを置いた物語ではないので、そういうものを期待して読むのは×。
自分も途中まで「こいつが犯人と見せかけて実はこいつか? いや、でも。。。」などと
本格推理を読んでいるばりに推理しながらページを繰り、最後で肩透かしを喰らったので。

とはいえ決してつまらないわけじゃないです。むしろかなり面白い。
あのデビュー作は一体何だったんだろうというほどの(失礼ですが)面白さ。
一気読みしてしまいました。

ただいかんせん、内容が地味かな。
せっかくの〝図地反転〟も、そこまで物語に活かし切れてないように思ったし、
オチも現実によくあることなので「何を今更」といった感もあった。
もうちょっとタイトルに絡めた壮大な仕掛けがあってもよかったのでは。
きっとそのほうが著者の伝えんとすることが
より大きなインパクトになって読み手に訴えたんじゃないかなと。

あとは、肉親を殺された遺族の悲しみがあまり伝わってこなかったことも
物語を地味にみせてしまっている一因だと思う。
客観的にしか読めないんだよな。登場人物の心理にまで入り込めない。
被害者がまだ生きていたころの家族との交流をもっと描写してくれていれば、
小説世界により深く入り込めていたのに、とちょっと残念。

でも一読の価値ありです。
ちなみにタイトルの読みは〝ずちはんてん〟じゃなく〝ずじはんてん〟。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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