忍者ブログ
読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
[606]  [610]  [597]  [604]  [595]  [602]  [605]  [591]  [592]  [577]  [585
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

きっと人は狂う。



作家の横田卓郎は妻の三沙子を亡くし、娘の千秋と二人で暮らしていた。
千秋は三沙子の死後、奇妙な絵を描くようになる――人ではない、異形のものを。
千秋には、普通の人間には見えないものが見えていた。
ある日をきっかけに、千秋は「青い顔の女」ばかりを描くようになった。千秋はその絵の中の顔を
「ママ」と呼び、その絵を描くことに異常に執着する。そしてもう一つ執着すること。それは、
夜の散歩だった。
そんな中、佐久間美樹が卓郎の新しい担当として家にやってくる。
千秋は「青い顔の女」を使って美樹を拒んだ。
千秋にとって不必要な人間が次々と死んでいく。まるで死神が味方をしているように――。

***

やたら文章がうまいと思ったら、やっぱりまるっきりの素人じゃないんだな(プロフィール参照)。
基本的にホラーと名のつくものは映画でも小説でもゲームでもちっとも怖くない私でも
結構怖かった。たぶんそれは本作が、外的なものじゃなく人の心にじわじわと進入してくる
〝内的な恐怖〟を描いているからこそなのでしょうが。
幽霊や化け物は逃げれば済むけど自分の精神からは逃げられないしな。
(そういう意味では篠田節子〝イビス〟がめちゃくちゃ怖いですが)

前半はホラー、後半はミステリと、物語が(悪い意味で)きれいに二分してしまっているのが
気になった。
主人公が娘の奇行に関してあまりにのん気すぎることも(普通すぐ病院に連れていく。
あと、細かいけど〝アスペルガー症候群〟は厳密には心の病気じゃないのでは?
あくまで先天的なもので、脳の器質障害と定義したほうがまだ近い気がする。
あの描写では精神疾患である、と誤解を招く恐れがある)。
真相も唐突でちょっと面食らってしまった(そしてちょっと貴志祐介氏のこの作品に似てる)。

ラストも、きれいにまとまってはいるけど〝あの二人〟が何を目的にそういうことをしてるのか
わからないままで尻切れトンボ。
ていうか三沙子、そんなに旦那のことが好きならいっそあのとき助けないで
自分と同じ世界に引き込んじゃえばよかったんじゃ?

いろいろ腑に落ちない点はありますが結構楽しく読めました。
ちなみに(どうでもいいけど)最後の選評の岩井志麻子さんテンション高すぎ。
彼女のキャラは知ってるけど(そして好きだけど)、ある意味あのテンションは
本編より怖かった笑
PR
この記事へのコメント
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※チェックを入れると管理者へのみの表示となります。)
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
Copyright © 【イタクカシカムイ -言霊- 】 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
忍者ブログ [PR]