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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「そういうことあっても……悔やんでても、ひきずってても、きれいに笑えるんだな。
そうでなきゃな……そういうとこ、なきゃな……」



凄惨な連続殺人が発生した。
独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。
被害者の一人が通っていたコンビニでの強盗事件を担当した女性刑事は、
現場に居合わせた不審な男を追うが、突然彼女の友人が行方不明に…。
孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が渦巻く戦慄のサイコホラー。
日本推理サスペンス大賞優秀作を新たな構想のもとに、全面改稿。 

***

〝サスペンス〟と銘打ってはいますが、
事件そのものよりもその事件を取り巻く人間たちの内面に主眼を置いたストーリーは
ある種〝純文学〟に近い。
(巻末の選考委員選評にも
〝登場人物がすぐ内省に入ってしまうので物語がなかなか展開しない〟
的なことを書かれていた気がするし←読んだのがだいぶ前なのでうろ覚えですが)

13年前の作品なので登場人物のルックス等に多少古めかしい点はあるものの
(主人公の青年が長髪をうしろで一つくくりにしていたりとか)
人の心に巣食う闇や孤独や汚さといった本質的な部分はそうそう変わるはずもなく、
そういったものを抱えるキャラたちのリアルな感情の動きに
十分共感しながら読み進めることができます。

〝サイコホラー〟の割に猟奇殺人犯の猟奇っぷりがあまり大したことがないので、
(単にサイコ・ミステリを楽しみたいのなら以下の二つを読んだほうがいい)

 

本作は〝人が人であるが故の葛藤&そこからの脱却〟を描いた作品として読むのが吉。
自分の汚さや過去に犯した罪に苦しんでいる人は、読むとほんの少し救われます。


注:
上記レビューは単行本のものです。
文庫版は多少内容が食い違っている可能性があるのであしからず。
(著者の天童荒太氏は著作が文庫化する際に大幅な加筆・修正を行う人として有名です)

おまけ:
今月11日WOWOWでドラマ版が放映されるようなので興味のある人はぜひ。
私も観てみようかなあ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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