自殺するはずのない男女が、必ず飛びおりて死に至る――。
行ってはいけない屋上とは?
強烈な謎と鮮烈な解決!これぞ本格ミステリー!
御手洗潔シリーズ50作目!
最新書き下ろし長編。
***
御手洗と石岡が馬車道にふたりで暮らしていたころの
最もよき時代が描かれている本作。
石岡の最初の独白、「ふたりで暮らしていたころのことはもう朧げだ」
には切なくなりましたが、このころの彼らを見ることが出来て嬉しかった。
が、そのふたりが出てくるまでがとにかく長い。
ある会社のビルの屋上から何故かひとが次々と落ちて死んでしまう、
その単調な描写に260P費やしたところで、やっと御手洗と石岡登場。
待ってました!を通り越して「やっと出てきたよ。。。」と
若干疲れてしまっていた。
挙げ句島田氏は会話文で「てにをは」を省略しまくるので、読んでいて不自然。
真面目な会話をしているときでさえ、聞き手が「ふうん」「へえ」と
間の抜けた相槌を打つことにも違和感。
唯一の救いは御手洗がその言葉遣いをほとんどしなかったことぐらい。
そして関西弁を喋る女性が出てくるのですが、「~だす」「~やさかい」
って。。。今時そんなコッテコテの関西弁喋る若者いないよ(舞台が
1991年だとしてもあまりにひどい)。
更に、重箱の隅をつつくようですが、91年に「イケメン」って言葉は
まだなかったんですが島田さん。。。
「読者への挑戦」が石岡らしく謙虚な書き方だったことには
好感を持ちましたが、なんせトリックがほとんど偶然で出来ているので
だいたい何が起きたかはわかっても完璧に推察するのは不可能。
それをあっさり解いてしまう御手洗は超能力者か?と思ってしまった。
その肝心のトリックさえ、脳内ではギャグ漫画の絵で再生された。
島田氏のトリックは奇抜なものが多いけど、これはあまりにも。。。と
苦笑を禁じ得なかった。
御手洗もそういうお笑い的な意味で「この事件はこれまでで1、2を争う
面白い事件だ」と言ったんだろうか。
御手洗のダンスと歌のシーンがあったことは「御手洗相変わらずだなあ」と
嬉しくなった。
が、屋上の植木鉢にまつわる怪談があまり本筋に活かされてなかったことと、
四人の人間が屋上から転落死する理由に無理があったことが残念。
いくらなんでも四人が四人、あの理由で死ぬことはないだろ。
タイトルの「屋上の道化たち」も、誰が道化なのか今ひとつよくわからなかったし。
ミステリとしてはいまいちですが、御手洗&石岡コンビの活躍と掛け合いが
見られただけでもよしとします。
「SIVAD SELIM」の直近の事件ということにも懐かしさを感じてよかった。
あの短編が大好きなので。
次の御手洗シリーズも馬車道のころの事件だといいな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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