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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ここに来て。



長野県の宗教団体施設が燃え、不審な遺体が多数発見された。
同じ頃、静岡県山中で見つかった老婆の遺体は、光を放つ虫の大群に覆われ、
流れ出す血液は黄に変色していた。
周囲には何故か讃美歌が響き、虫は列をなし銀河鉄道のように夜空へと…。
異様な事態に、警察は法医昆虫学者の御堂玲子に調査を依頼。
また、妹を虫に喰い殺された大学生の天崎悟は感染ルートを探る。
増える犠牲者。虫の正体は?治療方法は?
第19回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。

***

時折おっと思わせる描写はあるものの、全体的には荒削り。
序盤から虫に関する描写がグロいので、虫嫌いなひとは読まないほうが吉。
別に虫が苦手じゃない私ですら、読んでいて吐き気を催すシーンが
あったので。

そして人物の会話が下手。主人公のひとりである悟に伯母が
「甘えるな」と、久しぶりの再会な上に普段大して交流も無さそうなのに
いきなりきっつい叱責したりするし、
百万ドルの笑顔とか「ティーを淹れる」とかセンスを疑う文章も
ところどころに散見されて苦笑してしまったりもした。

あと最後までよくわからなかったのが、「虫が空にのぼっていく」という
表現。何? この虫飛ぶの? イモムシみたいな形態のはずだけど?
高い所へのぼっていくのが空へ向かって行進しているように見えるだけ?
表紙の絵とも相まって最後まで「?」でした。
私が大事なところ読み飛ばしてるだけなのか?

そして主人公の悟、のんきすぎ。恋人が明らかに病気の兆候を示しているのに
まあいいやという感じでのほほんとサークルの大会に遠距離まで
出かけていってしまう。
「いや、おまえ悟れよ!」と突っ込まずにはいられなかった。
名前が悟なのが皮肉に思えたほど。
悟の恋人・めぐみも、悟に愛してると言われたぐらいで
婚約者気取ったり子供は何人ほしいとか言い出したり避妊なしで悟と致したり。。。
悟まだ大学生だぞ? 現実にこんな女がいたら男に引かれること必至。

同じ虫ミステリなら貴志祐介氏の「天使の囀り」のほうがずっと面白かった。
構成力も遥かに上だし。まあ、あっちも恋愛描写は下手だったけど。。。

何より突っ込みたいのは、この著者、グルウ(虫の通称)を
結局どういう存在として読者に提示したかったのかということ。
驚異? 人間を超える、人間に倫理観や死生観を考えさせる存在?
はっきりしてほしかった。

というかこんな虫が現実にいたらもっと世界中大パニックになるだろうし
罹患したひとは発狂もんだと思うんだけど、収容された患者たちは
危機感皆無でのほほんとしてて大丈夫かこいつらと別の意味で心配になった。

刑事の安達がいい味出してたころがまあまあの救いかな。

悪い作品ではないんだけど、テーマが見えてこなかったのが残念。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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