なぜなら僕にはあなたにはない闇があるから。
このページをめくれば、
あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。
一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。
それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。
***
「このページをめくれば、
あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない」
帯にもそう書かれた本作。
大袈裟なのでは、本当にそこまでのものが描かれているのか、と
ほんの少し訝りながら読み始めましたが。。。。。。
納得しました。
そういうことか、と。
重度の鬱病の女性を愛した精神科医の物語。
彼はどうにか彼女を救おうとするが。。。というのがあらすじ。
こう書くとすごくありがちに思えるかもしれませんが、
人間心理がこれでもかと細かく描かれていて、
「著者の中村氏、ここまで物事を細かく見れて人間の本質を見抜けちゃうなら
生きづらいだろうなあ。。。」
とまで思った。
純文学作家さんだけど元々がミステリの要素を取り入れた物語を書くひとで
最近は特にミステリづいて来ているので、
純文ファンもミステリファンもどちらでも読める。
出だしから何が始まるのかとドキドキさせられ、
宮崎勤などの著者の考察も興味深く、
ラストシーンでは切なくてやるせなくて胸が締め付けられるようだった。
あっという間に物語は終わった。
ほんのわずかな希望だけ残して。
初期の中村作品が私は特に好きなのですが、
中村氏が公私共に充実している(いや、実際は知りませんが)せいか
最近は孤独が描かれず妙に明るくなってしまったなとちょっと残念に
思っていたのですが、中村節は健在だった、
いやむしろパワーアップしていると非常に喜ばしく思った。
非常におすすめです。
中村氏の抱える闇にやっぱり私は惹かれてならない。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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