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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ここには何もない。



僕はどこだが分からないここにいる―修人。
全ての欲望から解放された、いや、見放された―千鶴。
人生とは結局、自分自身では左右しようのないもの―エリナ。
きっと、私がここから別の道を歩む事はないだろう―朱里。
他者と自分、世界と自分。絡まり合う、四者の思い。
思いがけない事故や事件。その一瞬で、ねじ曲がる。
平穏な日常が、約束された未来が。
混沌、葛藤、虚無、絶望。
四年ぶりの傑作長編小説。

***

私の中の二大「結婚して出産したらそのことしか書けなくなったひと」
というのが辻村深月さんとこの金原ひとみさんなのですが、
本作もご多分に漏れずヨーロッパに移住した苦労(著者はパリ在住です)と
子供のことばかり書かれていた。
でも金原さんは純文学作家で、私小説みたいなものでも許されるので
辻村さんよりはましかな。

とはいえ今更東日本大震災をテーマに小説を書かれても
時代遅れ感が半端ない。
というかそのテーマだって、中途半端に本筋に絡められているだけで
メインではないし。
何だかなという印象。

やっぱりこの著者のピークは10代~20代前半の、
おそらくは著者自身を投影したのであろうあまりに精神が不安定で
歪に一途な主人公が多かったころの作品だな。
「AMEBIC」とか「ハイドラ」とかすごい好きだったしな。
今は30も過ぎてすっかり落ち着いてしまった印象。

でも、文章がうまくなるにつれて、今まで持っていた独自の文体が
なくなって著者名を伏せられたら誰が書いたかわからなくなってしまう
作家が多い中で、彼女の言葉選びのいい意味でのバイオレンスさと
彼女ならではのセンスは失われていなくてそれだけが読んでいて
心地よかった。

決して明るい話ではないけれど、読んでいて自分の中の何かが
浄化されていくような、そんなカタルシスは少しあった。

アラサーのひとに特におすすめです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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