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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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さようなら。



娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。
娘がプールで溺れた――。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。
過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

***

こんな物語を自分が書いていいのか?
今も悩み続けています。

と東野氏は言っていますが、なるほど扱うには慎重さが必要なテーマ。

個人的な話をすると、うちの母はだいぶ前に死んでしまった愛犬の遺骨を
まだ部屋に飾っていて、正直それをとても不自然なことと思っているので、
本作の主人公のひとりである薫子には嫌悪感しか覚えなかった。
薫子の母親としての哀切を要所要所に散りばめてくれればまだ
切ない気持ちになれたのかも知れないし応援もしたくなっただろうけど、
ただのワガママババアにしか思えなかった。
ラストで「私は狂っていたと思う」みたいなことを薫子は言うのだけど、
そこは一応感動的なシーンのつもりで東野氏は書いたのだろうけど、
ひねくれた私は「そんな台詞ごときで綺麗にまとめたつもりでいるなよ」
と不満しか残らなかった。
薫子の娘との別れも都合よすぎ。実際脳死で身体だけ生き続けている
子供を持っていて、その介護をしている親が読んだら怒るんじゃないかと
思う。
そしてエピローグは三文小説並みの陳腐さ。そんな偶然、
いくらフィクションでもあるか、と脱力。

以下はちょっとネタバレになりますが、
娘の葬儀に薫子が出席しないのもどうかと思った。
娘の魂と別れを交わしたとはいえ、三年間も面倒を見た肉体が
空へと上っていくのを見届けたいと思うのも母親の本能のはず。
とにかく薫子には反感しか抱かなかった。

東野氏にはミステリを期待しているのに今回はミステリじゃなかったことも
残念。
それでも本作が良作だったら不満はなかったのだろうけど、
読んでいる間中イライラしか感じなかった。
東野氏が狙う「切なさ」は微塵も感じなかった。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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