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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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真実の世界が姿を見せる。



小規模なテロが頻発するようになった日本。
ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、
実行犯たちは一様に、
自らの命をなげうって冷たい社会に抵抗する
《レジスタント》と称していた。
彼らはいわゆる貧困層に属しており、
職場や地域に居場所を見つけられないという
共通点が見出せるものの、実生活における接点はなく、
特定の組織が関与している形跡もなかった。
いつしか人々は、犯行の方法が稚拙で計画性もなく、
その規模も小さいことから、一連の事件を《小口テロ》と
呼びはじめる――。
テロに走る者、テロリストを追う者、実行犯を見下す者、
テロリストを憎悪する者……
彼らの心象と日常のドラマを精巧に描いた、
前人未到のエンターテインメント。

***

あらすじだけ読むとちょっと壮大ですが、
数年前にあった秋葉原襲撃事件みたいな事件が多発する、
所謂「通り魔殺人」の犯人たちが「自分をこんな貧しくした社会に
抗議する」という主張をこぞってしている、という世界観です。
というかあの秋葉原襲撃事件にヒントを得て書かれているんだろうなと
読んでいる間中思った。
物語は「○○の場合」と立場の違う一人ひとりの人間ごとに
章だてて展開されますが、オチが被っているものやオチが読めてしまうものが
多くてあまり新鮮味はなかった。ひどいものになると
ラストがちゃんとオチてない、曖昧なまま終わる章もあったし。
貫井氏は大好きな作家さんで、今回本作で直木賞候補に挙がったことも
喜ばしいことだけど、正直この作品で受賞してほしくなかったので
落選しても別に残念には思わなかった。
それにしても、めちゃくちゃ手垢のついた浅い「トベ」(作中の人物)の
ある言葉に「深いことを言うものだ」と感心するある章の主人公、
まさか貫井氏、本当に深いことを書いたつもりなんじゃないよね?
そんなつまらない言葉に感銘を受けてしまう主人公の浅はかさを
書きたかっただけだよね?と心配してしまうシーンもあったりして、
自分は貫井氏の感性を心から信頼してないんだなと思ってしまった。
なんせあの「ドミノ倒し」を書いちゃったひとだからね。。。

「慟哭」「乱反射」みたいな、ページを繰る手が止まらない傑作を
また読んでみたいものです。
次回作に期待。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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