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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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パイロットじゃなくても飛べる。



不慮の事故でP免になった戦闘機パイロット空井大祐29歳が転勤した先は
防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室。
待ち受けるのは、ミーハー室長の鷺坂(またの名を詐欺師鷺坂)をはじめ、
尻を掻く紅一点のべらんめえ美人・柚木や、
鷺坂ファンクラブ1号で「風紀委員by柚木」の槙博己、
鷺坂ファンクラブ2号の気儘なオレ様・片山、ベテラン広報官で空井の指導役・比嘉など、
ひと癖もふた癖もある先輩たちだった……。
有川浩、渾身のドラマティック長篇小説。

***

こういう、所謂「編集部モノ」は数多の作家が出しているけれど、
本作はあくまでそれを下敷きに、航空自衛隊とはいかなるものか、ということを
読み手に知らしめるために書かれたものだ。

決して右翼がかることなく、
そして去年の3.11を描いているにも関わらず被災者を傷つける描写もなく、
自衛隊という組織の持つひととしての「力」と「魅力」を
見事に描き出している手腕はさすがのひと言。

私は友人にも自衛隊で働いている人間が何人かいるし
福井晴敏や五篠瑛ファンでもあるので自衛隊にはまったく反発心はないけれど、
「自衛隊なんていらないじゃないか」と思っているひとが読んだら
彼らに対する印象がいい方向へ変わるんじゃないかと
本作を読んで期待と喜びが湧いた。

彼らは社会的に国内では微妙な立ち位置に置かれているけれど、
ただ肩書きがそうであるだけで同じひとりの人間なんだよ。
著者のそんな言葉が聞こえてくるようだった。

普通ではないせいで周りから色眼鏡で見られてしまう、
そんな人間を魅力的に書ける作家さんといえば
私の中では伊坂幸太郎さんとこのひと。
読むたびにすごいなと思わされる。
有川さんの作品〝レインツリーの国〟を読んだときも同じぐらい感銘を受けたし。

ただ。。。彼女の書く色恋はちょっとこっぱずかしいので
元々ラブストーリーメインの作品ならともかく
こういう作品には必要なかったんじゃ、というのが個人的な考え。
でも「恋愛」は彼女にとってかなり大切なファクターみたいだから無理かな。。。

自衛隊に少しでも興味を持っている方はもちろん、
彼らに偏見を抱いているひとにも是非読んでもらいたい一作です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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