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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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この瞬間こそが永遠なのだと。



ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、
スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。
MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。
その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。
持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、
ヒントとして謎の古書を手渡した。好
敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間――。
ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。

***

原田マハさんには正直最初いい印象を抱いていなくて、
「どうせ身内が有名な作家だから新人賞も受賞したんだろう」などと
思っていたのですが、
まったくの誤解だということがわかった。原田マハさん今までごめんなさい。

筆力も構成力もキャラクター造形も非常に卓越していて魅力的で
文句のつけどころがないぐらいハイクオリティだった。
本作には作中作が出てくるのですが、
作中作というものはよっぽど気を付けて書かないと全体を間延びさせ
読者を退屈させるものになりがちなのに、
その前後に作中作を読みたくさせるようなエピソードが差し挟まれているので
苦もなく読める。
気付けば本作の主人公ティム・ブラウンと早川織絵のように
その作中作を真剣に眼で追っている自分がいた。

そして今まで名前ぐらいしか知らなかったルソーという画家とその作品に
ここまで深い解釈を与えられる著者を心からすごいと思った。
一枚の絵には作者の様々な想いや意図が籠められている、
そのことを初めて本当の意味で知ることが出来たと思う。
いつか絵画展に行くことがあれば、そこに封じ込められた画家の意思を
決して逃さないようにしなければなと思った。

普通のエンタメ好きなひとはもちろん、
ミステリが好きなひとにもおすすめです。
面白かった。
〝ダ・ヴィンチ〟に紹介されていただけはあるな。

ちなみに本作が面白かったひとは、
漫画ですが〝ギャラリーフェイク〟もおすすめ。
こちらも著者が綿密に勉強した上で描いている秀逸な美術漫画です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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