彼は、神様どうかぼくにしあわせをくださいと祈った。
いじめに遭っている中学2年の太刀川照音は、その苦しみ、両親への不満を
「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねていた。そんな彼はある日、
校庭で人間の頭部大の石を見つけて持ち帰り、それを自分にとっての“神”だと信じた。
神の名はオイネプギプト。
エスカレートするいじめに耐えきれず、彼は自らの血をもって祈りを捧げ、
いじめグループ中心人物の殺人を神に依頼した。
「オイネプギプト様、是永雄一郎を殺してください」――。
はたして是永はあっけなく死んだ。しかし、いじめはなお収まらない。
照音は次々に名前を日記帳に書きつけ神に祈り、そして級友は死んでいった。
不審に思った警察は両親と照音本人を取り調べるが、さらに殺人は続く――。
***
〝葉桜の季節に君を想うということ〟のトリックに速攻気がつき
「噂の割りに大したことないじゃん。。。」と(偉そうにも)がっかりしたので
本作も舐めた感じで「どうせこうこうこういうオチなんだろ」などと思いながら読んでいたら。。。
歌野先生ごめんなさい。ミステリ読みとしての自分の至らなさを嫌というほど思い知りました。
というわけでいやー面白かったー!
「まさかそう来るとは!」の連続に次ぐ連続、そしてラスト一行のあのインパクト。
ミスリードにはことごとく引っかかり、でもそれがむしろ爽快で、
あの突拍子もないオチも氏の筆力のためか説得力があって、
「こういうことって案外あるかも」と考えさせられてしまった。
現実世界にデスノートがあるとしたらこの〝絶望ノート〟だろうな(まあ、実際にはここまでうまく
いかないだろうけど)。
本作でやや納得がいかなかった点は、どうして妹尾先輩はあそこまで
主人公に絡んだのかということ。別に来宮先生がホモだなんて噂が立ってるわけでもないのに。
あと主人公の周りの人間があまりにも主人公の言い分を信じなさすぎ。皆が皆先入観に縛られて
主人公の主張をまったく聞き入れようとしない、これはちょっと不自然に感じた。
それにしても、人に隠し事をしないほうが、案外物事は円滑に進むものなのかもな。。。
そう思わせられた一作でもあった。
非常におすすめ。
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