「名探偵は『正しい』?」
推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野順が秘める謎解きの才能を見込んで、
仕事場の一角に探偵事務所を開いた。今日も白瀬は泣き言をいう音野をなだめつつ、
お弁当のおにぎりを持った名探偵を事件現場へ連れてゆく。
殺人現場に撒かれた大量のトランプと、凶器が貫くジョーカーが構成する驚愕の密室トリック、
令嬢の婿取りゆきだるまコンテストで起きた、雪の豪邸の不可能殺人など
五つの難事件を収録。
★収録作品★
踊るジョーカー
時間泥棒
見えないダイイング・メッセージ
毒入りバレンタイン・チョコ
雪だるまが殺しにやってくる
***
理系ミステリの名手である北山氏の連作短編集ですが、
ほんとこの人の考え出すトリックを見ていると
「でん○ろう先生もその気になれば完全犯罪やれるんじゃ」と思ってしまう(先生すいません)。
不謹慎な言い方だけど、〝やってみよう! 楽しくできるみんなの殺人〟的な、
遊び心溢れるミステリなんだよなー、この作家さんの書くものは。。。
こう言っちゃなんだけどそこが面白いのですが。
そして名探偵=変人で傲岸不遜で自信家、というお約束を(もちろん著者狙ってるでしょうが)
裏切る探偵・音野順の情けないキャラも可愛くていい感じ。
随所に盛り込まれた小ネタ(〝知的敗者〟発言、探偵が腰掛ける机の前の座布団に座る依頼人、
森博嗣やジェイムス・ティプトリー・ジュニア等の著書のタイトルの一部パクリ、)も楽しい。
非常におすすめの一冊なのですが、個人的に納得がいかなかった部分は、
◆毒入りバレンタイン・チョコ◆
普通、手作りチョコって市販の鋳型の紙に溶かしたチョコを流し込んで作るから
あんな外の紙とチョコが分離した状態のものを作るのは不自然だと思う。
しかもチョコを持ち歩いているときに振動で毒が付着してしまう危険性も大いにあるはず。
それに毒を付着させるのに協力磁石を使っているなら、机の下を音もなく、速やかに
動かすのは相当難しいのでは?
そして警察の机なんかスチール製が多そうだから誰も仕込まれた磁石に気づかないなんて
ありえないし(そもそも科捜研がすみずみまで調べるはず。。。って言ったら野暮?)、
ちょっとトリックに無理がある気がした。そういう点に眼をつぶれば面白かったけど。
◆雪だるまが殺しにやってくる◆
〝雪の結晶はあちこち尖ったミクロの刃〟って著者本人が書いているように、
雪だるまを風船で代用なんかしたりしたら吹雪&寒さによるゴムの劣化で
あっという間に割れるはず。このトリックは本作中一番実行不能な気がした。
しかも犯人、もし風船がさして遠くにいかないうちに割れてすぐそばに落ちたりしたら
どうやって誤魔化す気だったのか?
そして他の短編に比べてどうも間延びした感じがするのでどうしてだろうと思っていたら
本編だけ書き下ろしなんですね。やっぱり雑誌掲載のために書かれた原稿のほうが
ほどよく締まるものなのかも(ほかの作家さんの短編集にもそういうことが多いので)。
北山氏の著作は結構世紀末的な雰囲気の漂うものが多かったけど、
こういうのほほんとしたミステリもうまいんだな、と新境地を見せられた気分でした。
推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野順が秘める謎解きの才能を見込んで、
仕事場の一角に探偵事務所を開いた。今日も白瀬は泣き言をいう音野をなだめつつ、
お弁当のおにぎりを持った名探偵を事件現場へ連れてゆく。
殺人現場に撒かれた大量のトランプと、凶器が貫くジョーカーが構成する驚愕の密室トリック、
令嬢の婿取りゆきだるまコンテストで起きた、雪の豪邸の不可能殺人など
五つの難事件を収録。
★収録作品★
踊るジョーカー
時間泥棒
見えないダイイング・メッセージ
毒入りバレンタイン・チョコ
雪だるまが殺しにやってくる
***
理系ミステリの名手である北山氏の連作短編集ですが、
ほんとこの人の考え出すトリックを見ていると
「でん○ろう先生もその気になれば完全犯罪やれるんじゃ」と思ってしまう(先生すいません)。
不謹慎な言い方だけど、〝やってみよう! 楽しくできるみんなの殺人〟的な、
遊び心溢れるミステリなんだよなー、この作家さんの書くものは。。。
こう言っちゃなんだけどそこが面白いのですが。
そして名探偵=変人で傲岸不遜で自信家、というお約束を(もちろん著者狙ってるでしょうが)
裏切る探偵・音野順の情けないキャラも可愛くていい感じ。
随所に盛り込まれた小ネタ(〝知的敗者〟発言、探偵が腰掛ける机の前の座布団に座る依頼人、
森博嗣やジェイムス・ティプトリー・ジュニア等の著書のタイトルの一部パクリ、)も楽しい。
非常におすすめの一冊なのですが、個人的に納得がいかなかった部分は、
◆毒入りバレンタイン・チョコ◆
普通、手作りチョコって市販の鋳型の紙に溶かしたチョコを流し込んで作るから
あんな外の紙とチョコが分離した状態のものを作るのは不自然だと思う。
しかもチョコを持ち歩いているときに振動で毒が付着してしまう危険性も大いにあるはず。
それに毒を付着させるのに協力磁石を使っているなら、机の下を音もなく、速やかに
動かすのは相当難しいのでは?
そして警察の机なんかスチール製が多そうだから誰も仕込まれた磁石に気づかないなんて
ありえないし(そもそも科捜研がすみずみまで調べるはず。。。って言ったら野暮?)、
ちょっとトリックに無理がある気がした。そういう点に眼をつぶれば面白かったけど。
◆雪だるまが殺しにやってくる◆
〝雪の結晶はあちこち尖ったミクロの刃〟って著者本人が書いているように、
雪だるまを風船で代用なんかしたりしたら吹雪&寒さによるゴムの劣化で
あっという間に割れるはず。このトリックは本作中一番実行不能な気がした。
しかも犯人、もし風船がさして遠くにいかないうちに割れてすぐそばに落ちたりしたら
どうやって誤魔化す気だったのか?
そして他の短編に比べてどうも間延びした感じがするのでどうしてだろうと思っていたら
本編だけ書き下ろしなんですね。やっぱり雑誌掲載のために書かれた原稿のほうが
ほどよく締まるものなのかも(ほかの作家さんの短編集にもそういうことが多いので)。
北山氏の著作は結構世紀末的な雰囲気の漂うものが多かったけど、
こういうのほほんとしたミステリもうまいんだな、と新境地を見せられた気分でした。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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