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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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何時、どこで、誰が、何を、何故、どのように?
ミステリーの基本「5W1H」を手掛かりに魅惑的な謎を解く。
シリーズ第八弾の案内人はいま最も注目を集める作家・辻村深月。
自身の思い出も含めた書下ろしの解説とともに選んだ、
一九七七年、一九八七年、一九九七年の七つのベストミステリー。

★収録作品★

 音の密室/今邑彩
 神風の純愛/森村誠一
 猟奇小説家/我孫子武丸
 裁かれる女/連城三紀彦
 仰角の写真/日下圭介
 みぞれ河岸/都筑道夫
 背信の交点/法月綸太郎

***

◆音の密室◆

トリックはいたってシンプル、でも種明かしされるまでわからない、
まさに手品のような一篇。
これ現実世界でやったら一発でバレそうですがそれなりに面白かった。

◆神風の純愛◆

途中で消えた主人公の友人家族について驚きのどんでん返しがあるのかと
思いきや、まさかの〇〇オチ。
もうひと捻り欲しかった気が。
ラストのなぞらえはさすがベテランだけあってうまいと思いましたが。

◆猟奇小説家◆

単純にうまいと思った。
我孫子氏はこういう生理的に気色悪い話を書くのがうまいな。
文章もすらすら読めるしエンタメ性に溢れていて
先が気になってしまいページを繰る手が止まらないのは
氏の代表作「殺戮にいたる病」と同じ。
思わず図書館で氏の過去の作品を予約してしまいました。好き。

◆裁かれる女◆

会話文メインなので普段本を読まないひとでもすらすら読めます。
弁護士の主人公を訪ねてくる男の常識はずれっぷりが個人的にはツボ。
こういう、普通と違う価値観の登場人物が出てくる物語を
違和感なく読ませてしまえる筆力を持った作家さん(乙一さんとか)は大好き。
著者の早世が残念でなりません。もっと書いてほしかった。

◆仰角の写真◆

ちょっと違うかも知れませんが、昔男友達が彼女と撮ったプリが
普段見せない表情で写っていて、ああ、そばにいる人間によって
こんなにも写真で見せる表情が違うものなんだな、と思ったのですが
本編を読んでそのことを思い出した。
犯人はちょっとドジだし主人公の外見設定が微妙な気もするけど
先が気になって本作中一番の長編であるにも関わらずすいすい読めた。
唯一の欠点は、著者が意図しているのかそれとも地が出ているのか、
文章がちょっとひとを小馬鹿にしているように感じられた点でしょうか。

◆みぞれ河岸◆

5W1Hの中で一番扱う作家の少ない「WHY」=ワイダニット。
でも私はこれが一番好きだったりします。
とても短い物語ですがインパクト強かったなー。
改めて、男女の愛情って脆いんですね。
ワイダニットはうまく書けばほかの4W1Hと比較にならないぐらいの
傑作になりうるので、個人的にはいつか書いてみたいジャンルでもあります。
ちなみにワイダニットもので私が好きなのは、梓崎優氏の「叫びと祈り」
だったりします。

◆背信の交点◆

読み終えたあと、タイトルの秀逸さに脱帽。
さすがミステリ書き慣れているひとは違うなーと。
図解まで出てくるあたりいかにも新本格っぽいです。
まあ真相にはすぐ見当がついてしまうんですが、それでも面白かった。
苦手な鉄道ミステリ(西村京太郎さん、ごめんなさい)かと思いきや
そこから更に話が発展するのもよかった。
でも辻村深月さん、〝裁かれる女〟と同時にこの話を持ってくるのは
ミスセレクトでは。まあいいけどね。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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