いつまでもいつまでも。
「医者をなめてるんじゃない? 自己満足で患者のそばにいるなんて、
信じられない偽善者よ」。
美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。
青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。
***
とかく丁寧に物語を紡ぐ作家さんだと思う。
派手ではないものの文章や物語構成、人物造形が流麗で非常に読みやすく、
読んでいてとても心地よい。
エンタメ作家は文章力が純文学なんかに比べて劣っていて
何だこの文章と読書中イラつく場合が多々あるのですが
本作の著者の夏川氏はそんな例から漏れる稀有な例。
物語以前にその文章を満喫出来る作家さんって貴重なので
彼とその著作に出会えたことには感謝したい気持ちでいっぱいです。
本作はシリーズの三作目にあたりますが、
三部作で終わらせるつもりなのかたくさんのことが動いて
物語に一応の決着が見られます。
もっと続いてほしい気もするから残念なのだけど、
まだ主人公・一止と妻のハルとの馴れ初めなんかも描かれていないし
(でも出会いのエピソードは本作にちょっとだけ出てくる)
舞台を新たに新章に突入するのかな。だったら嬉しいのですが。
非常におすすめです。
それにしても一止は周りの人間に恵まれているよなあ。。。
果報者です。羨ましい。
でも不思議と素直に応援出来る。
好きです、この主人公と、彼を取り巻くすべての人間が。
「医者をなめてるんじゃない? 自己満足で患者のそばにいるなんて、
信じられない偽善者よ」。
美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。
青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。
***
とかく丁寧に物語を紡ぐ作家さんだと思う。
派手ではないものの文章や物語構成、人物造形が流麗で非常に読みやすく、
読んでいてとても心地よい。
エンタメ作家は文章力が純文学なんかに比べて劣っていて
何だこの文章と読書中イラつく場合が多々あるのですが
本作の著者の夏川氏はそんな例から漏れる稀有な例。
物語以前にその文章を満喫出来る作家さんって貴重なので
彼とその著作に出会えたことには感謝したい気持ちでいっぱいです。
本作はシリーズの三作目にあたりますが、
三部作で終わらせるつもりなのかたくさんのことが動いて
物語に一応の決着が見られます。
もっと続いてほしい気もするから残念なのだけど、
まだ主人公・一止と妻のハルとの馴れ初めなんかも描かれていないし
(でも出会いのエピソードは本作にちょっとだけ出てくる)
舞台を新たに新章に突入するのかな。だったら嬉しいのですが。
非常におすすめです。
それにしても一止は周りの人間に恵まれているよなあ。。。
果報者です。羨ましい。
でも不思議と素直に応援出来る。
好きです、この主人公と、彼を取り巻くすべての人間が。
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あなたのこと、ずっと好きでした。
珍しい古書に関係する、特別な相談――
謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。
その家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。
それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。
そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。
美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが――。
★収録作品★
第一章 『孤島の鬼』
第二章 『少年探偵団』
第三章 『押絵と旅する男』
***
ラノベ、という括りに一応はなるのでしょうが、
そうとは思えないぐらい文章が上質で展開もしっかりミステリしていて
今回も十分に読み応えのある一冊になっています。
そして話が大きく動く。
栞子の○○○が登場したり、大輔が○○したり。。。
それだけ物語が大きく進展するということは、
あとがきで著者が述べているとおりもう本作がまとめの段階に入っている、
要するに終わりに差し掛かっているということで
そう思うと大変に寂しいものがありますが、
だらだらと続けられるよりはこのハイクオリティなレベルのまま
きっちりと幕を引いてくれるだろうことを願って
続きを楽しみにしようと思います。
おすすめ。
珍しい古書に関係する、特別な相談――
謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。
その家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。
それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。
そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。
美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが――。
★収録作品★
第一章 『孤島の鬼』
第二章 『少年探偵団』
第三章 『押絵と旅する男』
***
ラノベ、という括りに一応はなるのでしょうが、
そうとは思えないぐらい文章が上質で展開もしっかりミステリしていて
今回も十分に読み応えのある一冊になっています。
そして話が大きく動く。
栞子の○○○が登場したり、大輔が○○したり。。。
それだけ物語が大きく進展するということは、
あとがきで著者が述べているとおりもう本作がまとめの段階に入っている、
要するに終わりに差し掛かっているということで
そう思うと大変に寂しいものがありますが、
だらだらと続けられるよりはこのハイクオリティなレベルのまま
きっちりと幕を引いてくれるだろうことを願って
続きを楽しみにしようと思います。
おすすめ。
それが私を噛んだのだ。
このこぢんまりとした酒場に入ったのは、偶々のことだ。
そこで初対面の男に話しかけられたのも、偶然のなせるわざ。
そして、異様な“賭け”を持ちかけられたのも――。
あまりにも意外な結末が待ち受ける、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、
極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」など、
本格の気鋭が腕を揮ったバラエティ豊かな短編ミステリの饗宴。
第六十四回日本推理作家協会賞受賞作を含む、五つの謎物語。
★収録作品★
人間の尊厳と八〇〇メートル
北欧二題
特別警戒態勢
完全犯罪あるいは善人の見えない牙
蜜月旅行 LUNE DE MIEL
***
作中〝人間の尊厳と八〇〇メートル〟〝特別警戒態勢〟
〝完全犯罪あるいは善人の見えない牙〟は
ミステリとしてそれなりの出来。
〝北欧二題〟はあまりの素朴さ(悪く言えば地味さ)に
「これ実話なんじゃ。。。」と思っていたら最後の解説を読んだら案の定そうで、
実話だと思えば「へえ、こんなこともあるんだ」とにやりとは出来るけど
フィクション小説集の本作でわざわざ読みたくはなかったというのが
正直なところ。
最終話の〝蜜月旅行〟に至っては、
「〝ミステリ〟をテーマに書いたエッセイ」ででもない限り
本作に収録するのが許せないほどつまらない。
いつ面白くなるんだろういつ面白くなるんだろうと思いながら読み進め
けれどいつまで経ってもだらだらとどうでもいい夫婦の
どうでもいい新婚旅行の描写が続くばかりでいっかな盛り上がらず、
結局最後までオチらしきオチもないまま終わる。
友人のホームビデオでも延々見せられている気になった。
著者は本編を「私にとっては人間というものが最大のミステリなので
こういうのもありだと思って書いた」とか言ってるけど、
繰り返すけどエッセイでもない限り
こんなつまらない話を(しかもフィクションを)読もうなんて思いません。
しかも腹立たしいことにこの最終話が一番長いし。
新婚夫婦の嫁のほうかなり自己中で性格悪いのに
旦那のほうが「彼女は素晴らしい、自分が悪い」とか思ってるのも
著者の女性に対する眼の濁りっぷりが窺えていらっとするし。
。。。と久々毒舌レビューになってしまいましたが
あまりのつまらなさに耐えながら読む、という体験も久々にしたので
(つまるつまらない以前に、いい加減しつこいですが小説ですらない)
思わずこんな書き方になってしまいました。
玉石混淆とはまさに本作のためにある言葉だな。
あまりおすすめしません。
このこぢんまりとした酒場に入ったのは、偶々のことだ。
そこで初対面の男に話しかけられたのも、偶然のなせるわざ。
そして、異様な“賭け”を持ちかけられたのも――。
あまりにも意外な結末が待ち受ける、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、
極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」など、
本格の気鋭が腕を揮ったバラエティ豊かな短編ミステリの饗宴。
第六十四回日本推理作家協会賞受賞作を含む、五つの謎物語。
★収録作品★
人間の尊厳と八〇〇メートル
北欧二題
特別警戒態勢
完全犯罪あるいは善人の見えない牙
蜜月旅行 LUNE DE MIEL
***
作中〝人間の尊厳と八〇〇メートル〟〝特別警戒態勢〟
〝完全犯罪あるいは善人の見えない牙〟は
ミステリとしてそれなりの出来。
〝北欧二題〟はあまりの素朴さ(悪く言えば地味さ)に
「これ実話なんじゃ。。。」と思っていたら最後の解説を読んだら案の定そうで、
実話だと思えば「へえ、こんなこともあるんだ」とにやりとは出来るけど
フィクション小説集の本作でわざわざ読みたくはなかったというのが
正直なところ。
最終話の〝蜜月旅行〟に至っては、
「〝ミステリ〟をテーマに書いたエッセイ」ででもない限り
本作に収録するのが許せないほどつまらない。
いつ面白くなるんだろういつ面白くなるんだろうと思いながら読み進め
けれどいつまで経ってもだらだらとどうでもいい夫婦の
どうでもいい新婚旅行の描写が続くばかりでいっかな盛り上がらず、
結局最後までオチらしきオチもないまま終わる。
友人のホームビデオでも延々見せられている気になった。
著者は本編を「私にとっては人間というものが最大のミステリなので
こういうのもありだと思って書いた」とか言ってるけど、
繰り返すけどエッセイでもない限り
こんなつまらない話を(しかもフィクションを)読もうなんて思いません。
しかも腹立たしいことにこの最終話が一番長いし。
新婚夫婦の嫁のほうかなり自己中で性格悪いのに
旦那のほうが「彼女は素晴らしい、自分が悪い」とか思ってるのも
著者の女性に対する眼の濁りっぷりが窺えていらっとするし。
。。。と久々毒舌レビューになってしまいましたが
あまりのつまらなさに耐えながら読む、という体験も久々にしたので
(つまるつまらない以前に、いい加減しつこいですが小説ですらない)
思わずこんな書き方になってしまいました。
玉石混淆とはまさに本作のためにある言葉だな。
あまりおすすめしません。
「みんな、道化師か」
経営していた会社も家族も失い、川辺の空き地に住みついた家具職人・東口。
仲間と肩を寄せ合い、日銭を嫁ぐ生活。そこへ飛び込んでくる、謎の女・奈々恵。
川底の哀しい人影。そして、奇妙な修理依頼と、迫りくる危険―!
たくらみとエールに満ちた、エンターテインメント長篇。
***
〝片眼の猿〟をちょっとトーンダウンさせたような、
人間社会の世知辛さを描きつつもポップに仕上がった物語。
ただ上述のとおりあくまで〝トーンダウン〟した内容なので、
〝片眼の猿〟の突き抜け感を期待していると軽く肩透かしを食います。
道尾作品はすべて読んできているけれど、
その中でも本作はあまり上位に食い込むレベルではなかった、というのが
正直な感想。
やはり道尾氏はミステリを書いてこそ本領が発揮されると思うのは、
私がミステリフリークだからという理由だけでは決してないはず。
本作のような、文体にちょっとしたイタズラを仕掛けて読者をどきっとさせる
手口ではなく、
本格じゃなくていいからもっと徹底的に読み手を騙す物語を
そろそろ書いてほしいなと思う。
本当は真備シリーズを執筆してほしいというのが一番の願いなのだけど。
ここ最近(というほどでもないけど)の道尾作品で
一番琴線に触れたのは、アンソロジー〝Story Seller〟に収録されている
〝光の箱〟。
こういう独特であったかいミステリを是非次回は書いてほしいと思う。
本作はそこまで楽しめなかったけれど、
道尾氏はとても好きな作家さんなのでこれからも応援します。
次回作にも期待。
経営していた会社も家族も失い、川辺の空き地に住みついた家具職人・東口。
仲間と肩を寄せ合い、日銭を嫁ぐ生活。そこへ飛び込んでくる、謎の女・奈々恵。
川底の哀しい人影。そして、奇妙な修理依頼と、迫りくる危険―!
たくらみとエールに満ちた、エンターテインメント長篇。
***
〝片眼の猿〟をちょっとトーンダウンさせたような、
人間社会の世知辛さを描きつつもポップに仕上がった物語。
ただ上述のとおりあくまで〝トーンダウン〟した内容なので、
〝片眼の猿〟の突き抜け感を期待していると軽く肩透かしを食います。
道尾作品はすべて読んできているけれど、
その中でも本作はあまり上位に食い込むレベルではなかった、というのが
正直な感想。
やはり道尾氏はミステリを書いてこそ本領が発揮されると思うのは、
私がミステリフリークだからという理由だけでは決してないはず。
本作のような、文体にちょっとしたイタズラを仕掛けて読者をどきっとさせる
手口ではなく、
本格じゃなくていいからもっと徹底的に読み手を騙す物語を
そろそろ書いてほしいなと思う。
本当は真備シリーズを執筆してほしいというのが一番の願いなのだけど。
ここ最近(というほどでもないけど)の道尾作品で
一番琴線に触れたのは、アンソロジー〝Story Seller〟に収録されている
〝光の箱〟。
こういう独特であったかいミステリを是非次回は書いてほしいと思う。
本作はそこまで楽しめなかったけれど、
道尾氏はとても好きな作家さんなのでこれからも応援します。
次回作にも期待。
「ねえ……助けて」
いつか僕はきみを助け出す。そしてずっと守ってやるんだ――。
三井は、10年前たった一度だけ会話を交わしたことのある、
憧れの的だった千尋のことを、ある日突然鮮明に思い出す。
彼女の自宅を調べ、近所に引越し、
双眼鏡で千尋の生活を覗き見するようになるが……。
***
タイトルのまんま、〝君のベッドの下で〟です。
一途なストーカーの物語です。
ごくごく淡々と進む話。
ただそこに主人公の切ないぐらいのひたむきさと
時にほどよい変態性も垣間見えて、
相手がストーカーなのにも関わらず知らず感情移入してしまっている自分に気付いた。
特に主人公が恋する千尋の娘が「なおちょ、なおちょ」と
主人公・直人に懐く描写は秀逸。
子供は本当に大切なものだけを見ることが出来るのだな、と
妙な感動を覚えたり。
見返りを求めない無償の愛の集大成がここにあると言っても過言じゃない。
おすすめです。
いつか僕はきみを助け出す。そしてずっと守ってやるんだ――。
三井は、10年前たった一度だけ会話を交わしたことのある、
憧れの的だった千尋のことを、ある日突然鮮明に思い出す。
彼女の自宅を調べ、近所に引越し、
双眼鏡で千尋の生活を覗き見するようになるが……。
***
タイトルのまんま、〝君のベッドの下で〟です。
一途なストーカーの物語です。
ごくごく淡々と進む話。
ただそこに主人公の切ないぐらいのひたむきさと
時にほどよい変態性も垣間見えて、
相手がストーカーなのにも関わらず知らず感情移入してしまっている自分に気付いた。
特に主人公が恋する千尋の娘が「なおちょ、なおちょ」と
主人公・直人に懐く描写は秀逸。
子供は本当に大切なものだけを見ることが出来るのだな、と
妙な感動を覚えたり。
見返りを求めない無償の愛の集大成がここにあると言っても過言じゃない。
おすすめです。
グラデーションの中にいる。
とある高校の男子バスケ部員椎名康は、屋上から落下した少女に出くわす。
しかし、その少女は目の前から…消えた!?
***
久しぶりに当たりの作品に出会えた。
ミステリとして読むと突っ込みポイントはやや散見されるものの、
文章は一見ライトなようでいてリズム感があって独特で読んでいて楽しく、
台詞回しにもセンスがあり、登場人物たちも思春期特有の危うさを孕んでいて
魅力的で、とても面白かった。
密室トリックが物語の核を占めるけれど、本格ものとして読まなければ
ミステリ的にも十分妥協点だし。
ほんと、久々にものを書く上で影響を受け得る作品になった。
この著者の著作を読むのは初めてだけど、ファンになった。
ほかの作品も読んでみよっと。
とてもおすすめです。
青春ミステリが好きな方には特におすすめ。
腐女子にもちょっとだけおすすめ。
とある高校の男子バスケ部員椎名康は、屋上から落下した少女に出くわす。
しかし、その少女は目の前から…消えた!?
***
久しぶりに当たりの作品に出会えた。
ミステリとして読むと突っ込みポイントはやや散見されるものの、
文章は一見ライトなようでいてリズム感があって独特で読んでいて楽しく、
台詞回しにもセンスがあり、登場人物たちも思春期特有の危うさを孕んでいて
魅力的で、とても面白かった。
密室トリックが物語の核を占めるけれど、本格ものとして読まなければ
ミステリ的にも十分妥協点だし。
ほんと、久々にものを書く上で影響を受け得る作品になった。
この著者の著作を読むのは初めてだけど、ファンになった。
ほかの作品も読んでみよっと。
とてもおすすめです。
青春ミステリが好きな方には特におすすめ。
腐女子にもちょっとだけおすすめ。
次元を超える旅を。
映像制作会社に勤める安藤孝則は、ネット上に公開された
ある動画の解析を依頼される。それは、中年男が自身の首つり自殺の模様を中継した、
衝撃的ながらもどこか不可解な映像だった。
孝則は真偽を確かめるため解析を始めるが、やがてその動画の中の男が、
画面の中で少しずつ不気味に変化していることに気付く。
同じころ、フィアンセで高校教師の丸山茜は、孝則の家で、
何かに導かれるようにその動画を見てしまうのだった…!?
“リング”シリーズ、新たな恐怖――存在してはならない奴が…追ってくる。
***
たぶん本作を読んだひとのほとんどが思うことだろうけど、
〝リング〟〝らせん〟〝ループ〟の続編と銘打たれてはいるものの
あの三作の足元にも及ばないです。
著者が編集部に唆されてリングシリーズファンを徒に煽るためだけに書いたような
完全なる乗っかり作品。
〝らせん〟〝ループ〟だけでも蛇足だと思ったのに
本作は本気で要らない。読んだことを後悔した。
続編を書くことで読者の想像で補えるはずの部分をぶち壊して
台無しにする物語というのは小説でも映画でも往々にして存在するけど、
その最たるものを目の当たりにしたような気がした。
〝リング〟はほんと〝リング〟だけでよかった。
シリーズ化する必要はなかった。
本作も単なるサイドストーリー以外の何物でもなく
アバウトな恐怖心をこちらにぼんやりと与えるだけ与えて
あっけなく終わってしまって何らシリーズの核心に触れてはいないし。
そして鈴木光司氏の著作のキャラって、
こう言っちゃなんだけど好感を抱きにくい人物が多い。
何か読んでいてイライラする。
本作のメインキャラふたりも、どこか自己中で独り善がりで
接していてストレスを感じた。
まったくおすすめしません。
鈴木氏の著作は〝リング〟と〝仄暗い水の底から〟だけ読んでいれば
十分だと思う。
映像制作会社に勤める安藤孝則は、ネット上に公開された
ある動画の解析を依頼される。それは、中年男が自身の首つり自殺の模様を中継した、
衝撃的ながらもどこか不可解な映像だった。
孝則は真偽を確かめるため解析を始めるが、やがてその動画の中の男が、
画面の中で少しずつ不気味に変化していることに気付く。
同じころ、フィアンセで高校教師の丸山茜は、孝則の家で、
何かに導かれるようにその動画を見てしまうのだった…!?
“リング”シリーズ、新たな恐怖――存在してはならない奴が…追ってくる。
***
たぶん本作を読んだひとのほとんどが思うことだろうけど、
〝リング〟〝らせん〟〝ループ〟の続編と銘打たれてはいるものの
あの三作の足元にも及ばないです。
著者が編集部に唆されてリングシリーズファンを徒に煽るためだけに書いたような
完全なる乗っかり作品。
〝らせん〟〝ループ〟だけでも蛇足だと思ったのに
本作は本気で要らない。読んだことを後悔した。
続編を書くことで読者の想像で補えるはずの部分をぶち壊して
台無しにする物語というのは小説でも映画でも往々にして存在するけど、
その最たるものを目の当たりにしたような気がした。
〝リング〟はほんと〝リング〟だけでよかった。
シリーズ化する必要はなかった。
本作も単なるサイドストーリー以外の何物でもなく
アバウトな恐怖心をこちらにぼんやりと与えるだけ与えて
あっけなく終わってしまって何らシリーズの核心に触れてはいないし。
そして鈴木光司氏の著作のキャラって、
こう言っちゃなんだけど好感を抱きにくい人物が多い。
何か読んでいてイライラする。
本作のメインキャラふたりも、どこか自己中で独り善がりで
接していてストレスを感じた。
まったくおすすめしません。
鈴木氏の著作は〝リング〟と〝仄暗い水の底から〟だけ読んでいれば
十分だと思う。
明るい世界であることを。
東大農学部院生の奈海はバレンタインの朝、同じゼミに在籍し、
想いを寄せている本田の死体を発見する。
凶事に茫然自失する奈海の前に、突如“死神”を名乗る青年が姿を現わし、
「過去に戻って愛する者を救う機会を与える」と言う。
奈海は本田の死因を突き止め、彼を救うことを決意。
しかし、本田が密かに開発していた惚れ薬も絡み、事態は思わぬ方向へ――
果たしてふたりの運命やいかに。
***
タイトルや、死神めいた青年が登場するというSF的展開のために
かるーいラブストーリーを想像される方も多いでしょうが、
この喜多喜久さんという作家さん、実はかなりの実力者です。
キャラクターには魅力があるし、伏線の回収を含めた全体の構成も見事。
微妙に違うとはいえほとんど同じシーンを10回もループするという話なのに、
読んでいてまったく飽きが来ない。
良質のSF(すこし・ふしぎ)ミステリとして楽しんで最後まで一気に読むことが
出来ました。
著者の経歴からもわかるとおり、ほんわかした物語の随所に挟まれる
理系の知識も、独りよがりになることなくちゃんと読者にわかるように
易しく、かつ興味深く描写されていて内容にすんなり溶け込んでいる。
このミス出身の作家さんはこんな風に、コミカルな部分とシリアスな部分を
融合させて物語を紡ぐ才に秀でたひとが多いように思うので
物書き志望の身としては羨ましい限り。
それにしても。。。主人公・奈海のひとの良さというか、人間としての
出来っぷりには心底感嘆した。
普段恋愛小説を「けっ!」と思いながらしか読まない私が、
珍しく彼女の恋路だけは応援したいと心から思えた。
終盤からラストまでのオチは正直だいたい見当がついてしまいましたが、
そして登場人物たちが些かご都合主義にまとまりすぎという気もしましたが、
それでも満足して読むことが出来た。
喜多氏の小説は一貫して読みやすいのでおすすめ。
おすすめ順としては、ラブ・ケミストリー、本作、猫色ケミストリーの順かな。
是非一読を。
東大農学部院生の奈海はバレンタインの朝、同じゼミに在籍し、
想いを寄せている本田の死体を発見する。
凶事に茫然自失する奈海の前に、突如“死神”を名乗る青年が姿を現わし、
「過去に戻って愛する者を救う機会を与える」と言う。
奈海は本田の死因を突き止め、彼を救うことを決意。
しかし、本田が密かに開発していた惚れ薬も絡み、事態は思わぬ方向へ――
果たしてふたりの運命やいかに。
***
タイトルや、死神めいた青年が登場するというSF的展開のために
かるーいラブストーリーを想像される方も多いでしょうが、
この喜多喜久さんという作家さん、実はかなりの実力者です。
キャラクターには魅力があるし、伏線の回収を含めた全体の構成も見事。
微妙に違うとはいえほとんど同じシーンを10回もループするという話なのに、
読んでいてまったく飽きが来ない。
良質のSF(すこし・ふしぎ)ミステリとして楽しんで最後まで一気に読むことが
出来ました。
著者の経歴からもわかるとおり、ほんわかした物語の随所に挟まれる
理系の知識も、独りよがりになることなくちゃんと読者にわかるように
易しく、かつ興味深く描写されていて内容にすんなり溶け込んでいる。
このミス出身の作家さんはこんな風に、コミカルな部分とシリアスな部分を
融合させて物語を紡ぐ才に秀でたひとが多いように思うので
物書き志望の身としては羨ましい限り。
それにしても。。。主人公・奈海のひとの良さというか、人間としての
出来っぷりには心底感嘆した。
普段恋愛小説を「けっ!」と思いながらしか読まない私が、
珍しく彼女の恋路だけは応援したいと心から思えた。
終盤からラストまでのオチは正直だいたい見当がついてしまいましたが、
そして登場人物たちが些かご都合主義にまとまりすぎという気もしましたが、
それでも満足して読むことが出来た。
喜多氏の小説は一貫して読みやすいのでおすすめ。
おすすめ順としては、ラブ・ケミストリー、本作、猫色ケミストリーの順かな。
是非一読を。
パーティーは始められた。
楡井和樹は恩師・益子の仇である江藤を殺した。
しかし、まだ終わっていない。
裏切り者であるかつての親友・設楽宏一にこの事実を突きつけなければ、
復讐は完結しないのだ。
設楽邸に向かった楡井は、設楽の妻、妹、秘書という三人の美女に迎えられる。
息子の誕生パーティーだというのに、設楽は急な仕事で書斎にいるという。
歓待される楡井だが、肝心の設楽はいつまで経っても姿を見せない。
書斎で何が起こっているのか――。
石持浅海が放つ、静かなる本格。
***
失礼な話、この著者の著作は半分ネタとして読んでいるところがある。
心理ゲームを主体に物語を展開させるのが石持氏の作風なのですが、
その肝心の心理描写がとにかく変で違和感ありまくりなので。
「え、そこでその感情の動きはおかしいだろ」「どうしてそうなったからって
そういう考えに至るわけ?」
と突っ込みながら読むのが面白い。
今回も不自然な登場人物たちの挙動や心の動きに
ばんばん突っ込みを入れつつある意味楽しく読ませてもらった。
とはいえ決して嫌いな作家さんではなく、
むしろその発想力には一定の敬意を払っているつもりではあるのだけど。
氏の生み出す独特の物語はほかの小説家には類を見ないものだから。
これで心理描写がもっとスムーズだったらかなり敬愛する作家さんのひとりに
なるのにな。
本作はワンシチュエーションのミステリなので
小説よりも舞台化とかしたほうがひとを惹き付ける作品になるのではと思う。
オチは世にも奇妙な物語レベル。つまらなくはないけどまあありがち、というか。
それにしても石持作品は、主張が強い癖に妙に男に従順な女ばかり出てくるので
そのへんがご都合主義だなーとは思う。
200Pと短い作品なので、それなりにインパクトはありつつも軽いミステリを
さくっと読みたいひとにはおすすめ。
そして余談ですが、石持氏のお家芸「喉をひゅっと鳴らした」が
本作にも登場して個人的にはご満悦です。
楡井和樹は恩師・益子の仇である江藤を殺した。
しかし、まだ終わっていない。
裏切り者であるかつての親友・設楽宏一にこの事実を突きつけなければ、
復讐は完結しないのだ。
設楽邸に向かった楡井は、設楽の妻、妹、秘書という三人の美女に迎えられる。
息子の誕生パーティーだというのに、設楽は急な仕事で書斎にいるという。
歓待される楡井だが、肝心の設楽はいつまで経っても姿を見せない。
書斎で何が起こっているのか――。
石持浅海が放つ、静かなる本格。
***
失礼な話、この著者の著作は半分ネタとして読んでいるところがある。
心理ゲームを主体に物語を展開させるのが石持氏の作風なのですが、
その肝心の心理描写がとにかく変で違和感ありまくりなので。
「え、そこでその感情の動きはおかしいだろ」「どうしてそうなったからって
そういう考えに至るわけ?」
と突っ込みながら読むのが面白い。
今回も不自然な登場人物たちの挙動や心の動きに
ばんばん突っ込みを入れつつある意味楽しく読ませてもらった。
とはいえ決して嫌いな作家さんではなく、
むしろその発想力には一定の敬意を払っているつもりではあるのだけど。
氏の生み出す独特の物語はほかの小説家には類を見ないものだから。
これで心理描写がもっとスムーズだったらかなり敬愛する作家さんのひとりに
なるのにな。
本作はワンシチュエーションのミステリなので
小説よりも舞台化とかしたほうがひとを惹き付ける作品になるのではと思う。
オチは世にも奇妙な物語レベル。つまらなくはないけどまあありがち、というか。
それにしても石持作品は、主張が強い癖に妙に男に従順な女ばかり出てくるので
そのへんがご都合主義だなーとは思う。
200Pと短い作品なので、それなりにインパクトはありつつも軽いミステリを
さくっと読みたいひとにはおすすめ。
そして余談ですが、石持氏のお家芸「喉をひゅっと鳴らした」が
本作にも登場して個人的にはご満悦です。
それだけで十分だったのに。
主人公の私=雪子は中学2年生。以前通っていた女子校に馴染めず、
東京の中学校へ編入してきた。
そのクラスで出会った本好きの少女・七緒に誘われて美術部に入り、
予測のつかない彼女の言動に翻弄されながらも、きらめくような日々をともに過ごす。
しかし次第に七緒がクラスから浮いていること、
その言葉にウソが混じっているらしいことに気づき始める。
美術教師の突然の死やカウンセラーとの関わりの中で、
ふたりが共有した真実と嘘の間で揺れ動く私。
やがてある事件を経てふたりは疎遠になっていく・・・。
純粋さゆえに傷つけあう少女同士の関係、
友情の輝きと痛みが詩情あふれる筆致で描かれた珠玉作。
★収録作品★
七緒のために
水の花火
***
私は昔から一風変わった人間と親しくなることが多く、
中でも強烈だったのが中学時代、ずけずけ傷つくことを絶妙のタイミングで言う癖に
自分のことに関しては嘘ばかり吐く、という同級生の友人で、
正直周囲には嫌われまくってましたが私は彼女の欠点も含めたその独特の個性に
惹かれるものがありけっこう長い間付き合っていました。
だから本作を読んで七緒と出会ったとき、真っ先に思い出したのはやっぱり
彼女のこと。
人間誰しも所謂「異形」的なものに惹かれてしまうことは往々にしてあるわけで、
私や本作の主人公の雪子のように、めんどくさい相手とわかっていても
受け入れようと必死になってしまう経験をしたひとは意外と多いんじゃないかと思う。
どんなに疲れても、いくら傷ついても、相手を求める衝動を何故か抑えることが出来ない。
本作の七緒の歪み方はひどくシンプルで、でもだからこそ
彼女のような人間にめぐり会ったことがあるすべてのひとの心に
抵抗なく滑り込んでくるんじゃないかと思えた。
結局そういう人間に惹かれるのは、自分にも似たところがあるせいなんだろうな。
共鳴してしまう。
だからどんなにうざったくても心底からは嫌いになれない。
ちなみに上記の私の友人は、しばらくして自然消滅したあと
リストカットを繰り返したり家中のものを破壊して親を泣かせたりした挙げ句
今は警察官の旦那さんと幸せにやっているそうです。
どこまでも強烈な子だった。
旦那さんも彼女にときどき疲れつつ、それでもあの強烈な魅力に
抗えずすべて受け止めてそばにいてくれるんだといいな。
主人公の私=雪子は中学2年生。以前通っていた女子校に馴染めず、
東京の中学校へ編入してきた。
そのクラスで出会った本好きの少女・七緒に誘われて美術部に入り、
予測のつかない彼女の言動に翻弄されながらも、きらめくような日々をともに過ごす。
しかし次第に七緒がクラスから浮いていること、
その言葉にウソが混じっているらしいことに気づき始める。
美術教師の突然の死やカウンセラーとの関わりの中で、
ふたりが共有した真実と嘘の間で揺れ動く私。
やがてある事件を経てふたりは疎遠になっていく・・・。
純粋さゆえに傷つけあう少女同士の関係、
友情の輝きと痛みが詩情あふれる筆致で描かれた珠玉作。
★収録作品★
七緒のために
水の花火
***
私は昔から一風変わった人間と親しくなることが多く、
中でも強烈だったのが中学時代、ずけずけ傷つくことを絶妙のタイミングで言う癖に
自分のことに関しては嘘ばかり吐く、という同級生の友人で、
正直周囲には嫌われまくってましたが私は彼女の欠点も含めたその独特の個性に
惹かれるものがありけっこう長い間付き合っていました。
だから本作を読んで七緒と出会ったとき、真っ先に思い出したのはやっぱり
彼女のこと。
人間誰しも所謂「異形」的なものに惹かれてしまうことは往々にしてあるわけで、
私や本作の主人公の雪子のように、めんどくさい相手とわかっていても
受け入れようと必死になってしまう経験をしたひとは意外と多いんじゃないかと思う。
どんなに疲れても、いくら傷ついても、相手を求める衝動を何故か抑えることが出来ない。
本作の七緒の歪み方はひどくシンプルで、でもだからこそ
彼女のような人間にめぐり会ったことがあるすべてのひとの心に
抵抗なく滑り込んでくるんじゃないかと思えた。
結局そういう人間に惹かれるのは、自分にも似たところがあるせいなんだろうな。
共鳴してしまう。
だからどんなにうざったくても心底からは嫌いになれない。
ちなみに上記の私の友人は、しばらくして自然消滅したあと
リストカットを繰り返したり家中のものを破壊して親を泣かせたりした挙げ句
今は警察官の旦那さんと幸せにやっているそうです。
どこまでも強烈な子だった。
旦那さんも彼女にときどき疲れつつ、それでもあの強烈な魅力に
抗えずすべて受け止めてそばにいてくれるんだといいな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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