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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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しゃーない。



同情は美しい、それとも卑しい?
美人の親友のこと、本当に好き?
誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。
デビューから10年、綿矢りさが繰り広げる愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。

★収録作品★

 かわいそうだね?
 亜美ちゃんは美人

***

カテゴリは純文学に入るのだけど、
〝勝手にふるえてろ〟以降綿矢さんの小説は笑える小説化しているように感じる。
初期の純文学バリバリのテイストがないことが寂しくもあるけれど、
腹を抱えて笑える本作収録の二編はすかっとして読んでいて気持ちがよかった。
(特に〝亜美ちゃんは美人〟の亜美の恋人の喋りのセンスときたらもう。。。
小説を読んでこんなに爆笑したのは久しぶりだった)
個人的には表題作より〝亜美ちゃんは美人〟のほうが笑えるししんみり出来るし
私は「亜美ちゃん」みたいに超絶美人なわけでもなんでもないけど亜美ちゃんの
「自分を好きになるひとは好きになれない」という感覚はいたく共感できて思わず
「わかるわかる」と頷いてしまった。

傑作というほどではないけれどなかなかの佳作。おすすめです。
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光が去って、明日の朝また光がここを訪れるまで。



<真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、
わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。>
入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、
誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、
仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。
ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、
三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。

あまりにも純粋な言葉が、光とともに降り注ぐ。
いま、ここにしか存在しない恋愛の究極を問う衝撃作。

***

どうしても前作〝ヘヴン〟と比べてしまう。
あれに比べるとかなり見劣りのする作品だった。

登場人物はほぼ食べ物や飲み物を間に向かい合って、
会話とみせかけた独自の論を展開するだけでつまらない。
キャラは〝ヘヴン〟ほど立っていないし、
文体も〝わたくし率イン歯~〟や〝乳と卵〟とくらべてあまりに平凡。
ところどころに本作のテーマである〝光〟をさり気なく散りばめるセンスは
さすがだと思ったけれど、ただそれだけ。
読後何の印象も残ることはなかったし、尻切れトンボだとすら思った。
まあたぶん彼はラストで彼女のためにああしたんだろうとは思うけど、
そこに至るまでが唐突というか、もうちょっと丁寧に書き込んでほしかったとは思う。

主人公の職業は校閲者なのだけど、
あの、何度文章を読み返してもまだどこかに間違いがあるんじゃないかと落ち着かない感じ、
ノイローゼのように何度でも何度でも推敲を繰り返してしまうあの感じだけは
小説家を志す者としていたく共感できた。

おすすめも否定もしません。
やっぱり私の中では〝ヘヴン〟が最強。
この国には希望だけがない。



平世22年――すべての探偵行為が禁止された日本。
空閑(そらしず)純は、17歳。両親ともに有名な探偵だが、母の朱鷺子は4年前から行方不明。
父の誠は昨年、警察類似行為で逮捕され、収監されている。
純は叔父の住む大阪で独り暮らしをはじめる。母の行方の手がかりを探すなか、
父母に仕事を仲介していた押井照雅という人物と会える機会が訪れる。
1週間後、押井の別宅で水に満たされた木箱に入った溺死体が発見された。
被害者は元探偵で“金魚”と呼ばれていた男だった。
容疑者リストに入った純は、自ら「水の棺」の謎を解くために調査をはじめる。
純は探偵としての一歩を踏み出せるのか。

***

空閑純シリーズ第二作目ということを知らず、
こちらを先に手にとって読んでしまった。
道理でわけのわからないところが多いわけだ。。。

でもだからといって、本シリーズの第一作目を読もうとはまったく思わない。
本作に惹きつけられるところが微塵もなかったからだ。

北海道が日本から独立した国家であるという設定も物語にうまく絡んでいる気がしないし、
登場人物の名前も覚えづらくストーリー展開は陳腐であくびが出る。
有栖川作品ということで期待していたミステリも、正直ゴミみたいな出来だったし。

ていうかよくこんな出来で続編が出たなと驚いてしまった。

今まで読んだ有栖川作品の中で一番つまらなかった。
次回作に期待。
私たちは響き合っている。



「…殺してしまった」という父の呟き。疑いもしなかった、母の人生。
そこに、父がいた。父は眠っていた。私の記憶にある父の顔ではなかった。
痩せ細り、肌はかさついている。髪は乱雑に刈られ、髭もまばらに剃られていた。
口をわずかに開き、寝息を立てていた。
職業柄、見慣れている姿のはずだった。毎日同じような老人を何人も相手にし、
世話をしているのだから。なのに今、私はひどく動揺していた――。
父危篤の急報を受け、二十数年ぶりに実家に戻った阿南は、
予想もしなかった両親の謎に直面することになる。
十三年ぶりに描かれた阿南シリーズの新作にして、現時点における著者の最高傑作。

***

以前同著者の〝月読〟を読んだときと同じ。
シリーズの途中からいきなり読んだということを差し引いても、心に響いてくるものがなかった。
ストーリーパートも地味でぱっとしないし(もちろん派手ならいいってものでもないけれど、
小説はどんな静かな物語だろうと最低限の華を持たせるべきだと思う)、
ミステリパートも真相は「あ、そうだったんですか」レベル。
つまり読み物として面白くないのだ。

ほかの阿南シリーズは面白いんだろうか?
読んでみたい気もするけれど、これ以上地雷踏みたくない気もする。
太田氏の作風が単に自分に合わないだけだろうか? 
それにしてもつまらなすぎると思うけど。

あまりおすすめしません。
タイトルの〝無伴奏〟の意味もフタを開けば陳腐だし。
(そもそもがタイトルに惹かれて読んだのでとんだ肩すかしだった)

やっぱり太田氏の最高傑作は〝ショートショートの広場1〟に掲載されている
掌編(つまりはデビュー作)だと思う。
世界が、今、音を立てて壊れていく――。



「道子さんを殺したのは、私なのよ――」
認知症が進んでから母はよく喋るようになった。
しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。
施設を見舞うたびに進行していく症状。子どもの頃に父が家出して以来、
女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。
久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、むかし大のお気に入りだった人形を見つける。
40年ぶりに手にした懐かしい人形。だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……
(「母の記憶」より)。
サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な18話の物語、そのすべての最後の1行が
衝撃的な台詞になっているという凝った構成。
『永遠の0』『ボックス!』『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。
星新一、阿刀田高、筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!

***

ショートショートとしては抜群の出来。
ただ、ラスト一行ですべてが覆る仕様であることがわかっているせいか、
ほとんどの話のオチが途中で読める。
そんな前知識がなかったら純粋に楽しめたのにな。
本作の一編一編を、変な心構えなしで連載されていた雑誌で偶然読んだひとが羨ましい。

ラストの表題作だけが、最後までオチが読めず、やるせないなりに切なくてよかった。

おすすめです。
崩壊の予感がする。



妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。連続レイプ犯。
水曜の夜ごと、川辺は暗い衝動に突き動かされる。
救命救急医と浮気する妻に対する、嫉妬。
邪悪な心が、無関心に付け込む時――。

***

若い女の部屋に侵入しレイプを繰り返す主人公。
当然最後は破滅するわけなのだけれど、そこに至るまでの経緯がやや陳腐。
これだけの重犯罪を犯しているにも関わらず、ばれないようにするための詰めが甘すぎるのだ。
それで結局バレて御用。
その点はもうちょっと主人公の狡猾な面を見たかった。
まあもっとも、主人公はちょっと倒錯した人物として描かれているので、
元来持つ性格の狂いが保身を考えさせなかった、という言い訳も立つといえば立つのだけれど。

あと、登場人物たちそれぞれの持つ人生の描写が少なかったことも物足りなかった。
300P弱のストーリーで一人ひとりのエピソードを突き詰めていくのには無理があるとしても、
それにしてもどれもが中途半端でその点も少し残念。

本作は主人公の社会的破滅を描いているのに、
〝身近な人間に下種な本性がばれ軽蔑されるとはどういうことか〟という
誰にでも想像可能な身近な破滅を描いているような感じがあって
そこに異様にリアリティがあるのはよかった。

何だかんだ言っておすすめです。
仮面舞踏会を楽しむために。



待望の新ヒーロー誕生! 極上の長編ミステリ。
都内で起きた不可解な連続殺人事件。
次の犯行現場は、超一流ホテル・コルテシア東京らしい。
殺人を阻止するため、警察は潜入捜査を開始し…。
1行たりとも読み飛ばせない、東野ミステリの最高峰。

***

ここ最近出た東野小説の中で一番面白かった。

連続殺人事件の犯人を追う、というストーリーのはずなのに
内容はほぼホテルの従業員と客たちのヒューマンなやり取りがメイン。
それはそれで非常に面白いのだけど何だかミステリとしては物足りないな、と思っていたので
それが見事な目くらましだということに気付いたときの驚きといったら。
正直真相は後だしすぎてアンフェアな気がしなくもないけど(作中の情報だけで
真犯人を当てるのはおそらくほとんどの読者にとっては至難の業)、
それでも普通に「そうだったのかあ!」と驚けたし堪能することが出来た。

ドラマ化したら面白そう。
おすすめです。
皆も誇ろう。
孤立し、異端であることを。




悪いがこの本に粗筋なんてない。これは小説ではないからだ。
だから起承転結やサプライズ、気の利いた落ちを求められても、
きっとその期待には応えられない。
これは昔の話であり、過去の話であり、終わった話だ。
記憶もあやふやな10年前の話であり、どんな未来にも繋がっていない。
いずれにしても娯楽としてはお勧めできないわけだが、ただしそれでも、
ひとつだけ言えることがある。
僕はこの本を書くのに、10年かかった。
――西尾維新、原点回帰にして新境地の作品。

***

小説ではない、とのっけから言ってのけるだけあって、出だしは
私小説風味。
けれどやがてフィクションが入り混じるようになり、ラストでははっきりと
「これはフィクションです」と言い切ってしまっている。
でも、敢えてそう断言してしまうことで、読者に何か、本当にあった何かしらの出来事を
隠しているのではないか、と思ってしまうのは深読みのし過ぎだろうか。
これは最初に言ったとおりフィクションであってここに書かれたことだけがすべてなんですよ、
それ以外には何もなかったんですよ(でも実は。。。)、みたいな。

言葉遊びのない西尾氏の作品で面白いと思ったのはこれが初めて。
中盤はちょっと冗長ですが、終わり方がとても好きです。
おすすめ。
どこからきて、何を残したのかを、誰かに知ってほしい。



馬鹿にしたければ笑えばいい。あたしは、とっても「しあわせ」だった。
風呂は週に一度だけ。電気も、ない。酒に溺れる父の暴力による支配。
北海道、極貧の、愛のない家。
昭和26年。百合江は、奉公先から逃げ出して旅の一座に飛び込む。
「歌」が自分の人生を変えてくれると信じて。それが儚い夢であることを知りながら――。
他人の価値観では決して計れない、ひとりの女の「幸福な生」。
「愛」に裏切られ続けた百合江を支えたものは、何だったのか?
今年の小説界、最高の収穫。書き下ろし長編。

***

ひとに勧められて読んだのですが。。。
よかった。この物語が持つ世界観に、どっぷり漬かり込むことができた。

読み手の琴線に触れるシチュエーションが絶妙のバランスで作中にばら撒かれていて、
読んでいて飽きることがなかった。
直接的な表現はないのに、そのときどきで登場人物たちが何を思い、誰を想っていたのか、
痛いほどに伝わってくる。
ひとりの女性の生き様を、淡々とした、けれどひどく流麗な筆致で描き出している小説。
これは私もひとに勧めて回りたい作品だ。

おすすめです。
特に女性におすすめ。
ヘタな韓流よりずっと、純愛していてドキドキくる物語です。
その空は、宇宙へとつながっている。



佃航平は宇宙工学研究の道を諦め実家の町工場を継いでいたが、経営はまさに崖っプチ。
だが世界最先端の技術で特許出願をしていた佃製作所に、ロケット開発という思わぬ展開が…。

***

主人公の性格がどうにも好きになれず物語に感情移入ができず、
最後まで他人事として読んでしまった。
内容的にも〝空飛ぶタイヤ〟のほうがずっといいし。
というかこの著者、本作のラストもそうだけど、
仕事仲間たちの絆を書くのはうまいけど家族描写が妙にクサい。
そこにもややしらけてしまった。

直木賞を本作でとったことは著者にとってプラスになるのかどうか。。。
巷での評判はいいようですが、私は好きになれなかった。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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