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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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私は浸り、溺れ、そしてたぶん、狂った。



編集者の主人公に、大学の後輩から郵便が届いた。
「読んでください。夜中に、一人で」という手紙とともに、
その中にはある地方都市での奇怪な事件を題材にした
小説の原稿がおさめられていて……
珠玉のホラー短編集。

★収録作品★

 再生
 呼子池の怪魚
 特別料理
 バースデー・プレゼント
 鉄橋
 人形
 眼球奇譚

***

ホラーと呼ばれるものの本質が
時代と共に移り変わっているのかも知れないけれど、
童話を読んでいる感じで本作に怖さは感じなかったな。
話の展開が抽象的過ぎてリアルに想像できないというのもあったし。
「呼子池の怪魚」は、ホラーというジャンルにも関わらず
何だか壮大な終わり方で気に入り一番印象に残った。
やっぱり私は綾辻氏の書くものなら
ホラーよりミステリのほうが好きだな。
「殺人鬼」とかはすごいと思ったけど、
単なる娯楽小説じゃなく「物語」としてのクオリティを求めるなら。
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その犯行には、人生よりも深い謎がある。



人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。
期待の若手が放つミステリの至芸!
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。
驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、
フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。
入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。
「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!

★収録作品★

 夜警
 死人宿
 柘榴
 万灯
 関守
 満願

***

偉そうにも、米澤氏成長したなーと思う。
もともと書ける作家さんだとは思っていたけど、
余分な文章やシーンが作を重ねるたびに削られていき、
それどころか洗練されていき、
本作でその集大成を見た気がした。

ミステリとは謎が提示されそれが解き明かされるのを楽しむもので、
結局は娯楽小説だから「あー面白かった」であとは忘れてしまうことが
多い。
でも本作に収録されている六篇のミステリは、
人間の深い部分まで描かれていて、読み終えたあとも心に残る。
大きなものを与えられた気持ちになる。
はっきり言ってしまえばミステリの真相自体はシンプルなのだけど、
それに絡めた人間ドラマがぞくりとくるほどうまい。
「柘榴」「夜警」「満願」では特にそれが顕著で、
いい意味でミステリを読んでいる感じがしなかった。
あまりにいい本を読んだ感動で知人に無理やり貸してしまったぐらい。
そもそも図書館で借りずに購入したのが私にしては珍しいことなのだけど
買って正解だったと思う。これはずっと手元に置いておきたい。

この著者が直木賞を受賞する日は決して遠くないと思う。
直木賞を受賞するとミステリを書かなくなってしまうミステリ作家が
多いからそれは勘弁願いたいけど、このひとなら大丈夫だと思うから。

いま一番応援したい作家さんです。

非常ーーーにおすすめ。是非。
そこには紛れもなく、一つの〝祈り〟が見えた。



或る晩秋、信州の山深き地で猛吹雪に遭遇した8人の前に
突如出現した洋館「霧越邸」。
助かった…安堵の声も束の間、外界との連絡が途絶えた邸で、
彼らの身にデコラティブな死が次々と訪れる。
密室と化したアール・ヌーヴォー調の豪奢な洋館。謎めたい住人たち。
ひとり、またひとり――不可思議極まりない状況で起こる連続殺人の犯人は。
驚愕の結末が絶賛を浴びた超話題作。

***

合理的に考えるとあり得ないことばかりなのだけど、
細かいツッコミはなしにして読むと非常に楽しい
クローズド・サークルもの。
ミステリを読みすぎていて真犯人にはすぐに気づけてしまいましたが
それでも十分に面白かった。
特に犯人の動機に非常に共感できた。
私事で恐縮ですが、私は昔恋愛に変な癖があって、
片思いの相手との間に嬉しいことがあると
奮起してもっとうまくいくようにがんばればいいものを
「いまこの瞬間を抱えて生きていこう」と
その嬉しい瞬間を心の中で真空パックして保存してしまい
そこで満足してしまっていつも付き合うところまでいかない、
ということを繰り返していたのですが、
本作を読んでその当時のことを思い出した。

人間は時間という動きの中で生きているからこそ
価値があるし美しい。だからよりいい瞬間のために生きていきたいな、と
思いを新たにしました。
真空パックしたい瞬間はいくつもあるけど、そこで終わりにしたら
おしまいだから。

とか言いつつも犯人の気持ちもどうしようもなくわかるのが
我ながら危ういけど。

おすすめです。
神様はいない。でも、信じたかった。



父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。
弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、
この町に実在することを知る――。
血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて
地方都市のミステリーに迫る。

***

開始数ページで面白いかそうじゃないかというのは
だいたいわかるつもりですが、
本作にはつまらない空気を感じた。
でも米澤氏の作品ということで、だらだらした冗長な描写に耐え
読み進めたというのに。。。
オチ地味伏線放りっぱで何もいいことがなかった。
やっぱり途中で読むのやめておけばよかった。

それにしても氏の最新短編集「満願」では
文章がかなりシャープになっていて
どの話も息をもつかせぬ展開で一気に読ませますが、
本作が出て一年で急に著者の筆力が上がったのか、
それとも著者は短編のほうが得意なのか。。。よくわからない
ところです。
でもやっぱりこの著者は短編のほうがいいものが多い印象。

本作はあまりおすすめしません。
繋げていきたい。受け継いでほしい。
僕がたくさんの人から伝えられてきた想いを。



中学サッカーの首都圏大会、県予選の準々決勝。
2点ビハインドから追いついて迎えたPK戦。
各チーム二人ずつ蹴り終え、0‐2でリードされた状況に、
キャプテンでゴールキーパーの潮崎隆弘は試合を諦めかけていた。
そんな絶望的な状況下で、点取り屋の阪堂隼人、司令塔の鈴木望、
マネージャーの広瀬はるならは、
自らの弱さ、葛藤と向き合っていく――。
繊細な中学生たちの揺れ動く心情とともに運命の試合が、いま決着する。

***

PK戦の合間あいまに、チームの一人ひとりのエピソードが
語られる、という趣旨の物語。
ただ個々のエピソードがあまり魅力的ではなく、
読み進めるスピードは遅かった。何度も途中で手が止まった。
これだったら朝井リョウ氏の「桐島、部活やめるってよ」のほうが
よっぽどよかった気がする。
クライマックスのちょっとした真相もすぐにわかったしな。
あとこの著者、ラストが「そして数年後~」みたいなパターンが多くて
それにもちょっと辟易。
そして当たり外れの多い作家さんなのですが、今回は後者だったように
思う。
白河氏の著作の中で、デビュー作「プールの底に沈む」を超す作品は
未だないです。あれは感動したし、すごい作家が出てきたなあと
期待したのに。
でも筆力はある作家さんだと思うので、今後も読み続けますが。

あ、本作、サッカー小説ではなくあくまで登場人物の描写を主軸とした
青春小説なので、それを期待して読まないほうが吉です。
お願い。死んで。

 

何者かに拉致された犬塚拓磨はワゴン車の中で目を覚ます。
車内には互いに見知らぬ5人。
放置されたタブレット型PCのモニターでは、仮面をつけた謎の人物
“夢鵺”が語り出す。解放される条件は定められたルートを走行し、
制限時間内に最終目的地へ辿り着くこと。
脱出不可能な死のロング・ドライブはやがて、殺戮の渦へと加速してゆく。
6人に秘められた意外な接点が明らかになる時、狂おしい情念が迸る
ノンストップ・スリラー。

***

電車の行き帰りとかで読むのには最適な
ライトなサスペンス。
映画「CUBE」みたいな、見知らぬ男女が一箇所に閉じ込められて
命の危険に晒されていく、という話が好きなひとにはうってつけ。
深く考えると穴だらけですがさらっと読むぶんにはそこそこ楽しめます。
まあただラスト、おいおいそんなとこで爆発させてどうすんだよ、と
激しく突っ込みましたが。

そして著者の黒田氏はもっと緻密なトリックとかが書ける
ミステリ作家さんなので、次はこういうB級ものじゃなく
がっつりしたミステリを書いてくれることに期待。
まあ彼にとっての本作は、たとえるなら貴志祐介氏にとっての
「雀蜂」みたいなものかな。
ちょっと肩の力を抜いて楽しんで書いてみました、みたいな。
お二方とも、次は肩に力を入れてほしいものです。
あなたの僕を殺した私を罰してください――。



雪中酒を熟成する雪室から西洋柩に入った老人の刺殺体が見つかった。
長野県警の城取警部補は心臓を正確にひと突きした手口にこそ、
何かの意図があると感じる。
捜査本部は酒造会社に執拗なクレームをつけていた人物を突き止めたが―。
一方、一九八七年―。予備校生の仁科はクリスマスイブに
密かに恋心を抱いていた瑶子と親しくなる。
だが、彼女は講義中に体調を崩して以降、姿を見せなくなった。
大学に合格した仁科が瑶子の元を訪ねると、彼女は白血病だと聞かされ…。

***

冒頭の心臓ひと突き殺人からどんどん話が逸れていき、
キリスト教やら見立て殺人やら臓器移植やら詰め込みまくりで
最早何が一番のテーマなのかわからない展開を見せ、
(しかも見立て殺人に使われた曲「てるてる坊主」なんて
てるてるぼうずーてるぼうずー、あーしたてんきにしておくれー
までしか知らなかったから馴染みもなく)
どこに主眼を置いたらいいのかわからないまま、
読者を置いてけぼりにしたまま話は勝手にどんどん進み、
「マークスの山」をめちゃくちゃ劣化させたようなラストにたどり着いた。
しかもやたら耳慣れない単語を連発するので読みにくいことこの上ない。
(マジックミラーって書けばいいのに透視鏡、とか、
昏睡レベルって書けばいいのにジャパン・コーマ・スケールとか、
挙げ句は親指と人差し指が拇指と示指と表記されていたときには呆れた)

この著者の作品はデビュー作「プリズン・トリック」のときから
つまらないと思っていたけど、今回はあらすじに惹かれて読んだのですが、
やっぱり肌に合わないようです。
もうこの著者の作品を手に取ることはないだろうな。

おすすめしません。
「この世界に必要なのは、君じゃなくて、僕なんだ」

 

タクシー運転手の野上雄貴は、GCS幼児教育センターから
入社要請を受け、不審を抱く。
GCSが発明した「金のゆりかご」と呼ばれる機械で育てられ、
一時は天才少年ともてはやされたが、能力の限界を露呈し
見捨てられた自分。
真意を探るうち、子供が次々と精神に錯乱をきたした事件が浮かび上がる。
やがて、ある母親が失踪、殺人が…。
先端科学に切り込む新感覚ミステリー。

***

面白い。
手放しに面白いです。
実は十数年前の発売当時に本作は買ってはいたのですが、
いまいち入り込めず、
でもなぜか今更気になって読んでみたら。。。ページを繰る手が
進む進む。
オチはまったく読めないし、作中の天才に関する薀蓄は興味深いし、
この著者は天才というものを抜群に表現出来ていると思う。
何より私の中で天才といって真っ先に浮かぶものは「名探偵」なので、
クライマックスの話の持って行き方には喝采を叫びたくなるほど
ぞくぞくした。
黒い子供を題材にした物語って、成功するとこの上なく面白いんだよな。
天才天才と持て囃されていても人間的にはまだ幼い子供に過ぎないとわかる
少年たちの描写もいい。
特にエピローグの物悲しさは秀逸です。
ここ最近読んだ中で一番のヒット。
何故買った当初は途中で読むのをやめてしまったのかわからない。
本作は出版されて十年ぐらい経ってからベストセラーになったという
変わり種なのですが、私の中でもその波が今になってきたということかな。

めちゃくちゃおすすめです。
帰りたい。



最愛の娘が誘拐された。
サラリーマンの岡田に要求された身代金は二千万。
息子の心臓移植、妻の謎めいた失踪……絶体絶命の父親に迫るカウントダウン。
何度も最終候補に残りながら受賞を逃してきた著者の渾身の受賞作!

***
 
実力のある作家さんだとは思う。
構成力もすごいし、時々視点の混乱はあるけど
文章も素人離れしてうまいし。
ただ、自分が家庭を持っていないせいか、彼の書く家族ドラマに
いまいち引き込まれなかった。
「絶対助けてみせるぞ!」と息巻く主人公を、
「ああ、熱いねえ。。。」とどこか客観的に見ている自分がいた。
感情移入出来る登場人物がひとりもいない。
もうちょっと主人公家族の個性を描いてくれればよかったのにと思う。
オチは読めなかった。ミステリとしてはなかなかの出来だと思う。
ご都合主義な部分が目立つけどこの手の物語じゃそれは仕方ないし。
二時間ドラマとかにしたらそれなりの視聴率をとるんじゃないかな。
映画化するほどではないけれど。
と、そんな印象の物語でした。

まあまあおすすめです。
殺したくない。殺したくない。殺したくない。



日本ミステリー界を牽引してきた8人の作家の豪華競演。
御手洗潔、江神など、人気のおなじみの主人公から、
気鋭の新たな代表作まで、謎も読み口も全く異なる八篇を収録。
すべて読み切り、どの事件から解くのもよし。
極上のトリックに酔いしれる、ミステリーファンに捧ぐ、
文庫史上もっとも豪華なアンソロジー。
著作リストつきでガイドとしても最適。

★収録作品★

 進々堂世界一周 戻り橋と悲願花/島田荘司
 四分間では短すぎる/有栖川有栖
 夏に消えた少女/我孫子武丸
 柘榴/米澤穂信
 恐い映像/竹本健治
 確かなつながり/北川歩実
 杜の囚人/長江俊和
 失くした御守/麻耶雄嵩

***

◆進々堂世界一周 戻り橋と悲願花◆

御手洗潔シリーズ。
最近の御手洗シリーズ全部に言えることなんだけど、
冒頭とラストだけ御手洗が登場して
あとはほとんど御手洗が語る形で長々と御手洗と関係ない
挿入話になるんだよなー。
「数字錠」とかみたいに、御手洗が最初っから最後まで
出っぱなしな短編がもう一度読んでみたいものです。
物語自体は壮大で感動的だったけども。
あと前から思っていたけど、熱心に語ってる登場人物に対する
聞き手の相槌の打ち方が「ふうん」「へえ」「はい」とか
おまぬけで気になる。
 
◆四分間では短すぎる◆

偶然耳にした他人のほんのひと言から、
それがどんな意味を持つのか、その人物は何者で何が目的で
そんな台詞を口にしたのかを推論していく、という内容。
かの名作「9マイルは遠すぎる」へのオマージュです。
結論への過程が少々強引なような気もするけど、まあ楽しんで
読めました。
学生アリスシリーズが好きなひとにも是非。
 
◆夏に消えた少女◆

シンプルながら騙されました。
そう来るとは。
我孫子氏はこういうの書かせたらうまいなー。
ラストに現実にありそうなリアルなホラー性が垣間見えます。
男の子の子供がいるひとに、読んでほしいような、ほしくないような。
 
◆柘榴◆

面白かったー!
内容もさることながら筆力がすごい。
本アンソロジー中一番夢中で読めた。
シンプルな話なんだけど読み終えたあとも頭から離れない。
「柘榴を食べた」って一文がもう頭から離れない。
米澤穂信さんやっぱり好きです。
まあジャンル的にはイヤミスに入るのですが。
 
◆恐い映像◆

サブリミナルオチだったら許さん、と思っていたのですが
それはなくて安心。
出てくるナオという女性がちょっと古臭い気がしたけどそれは
著者の年齢上仕方ないことなのか。
内容はあまり面白くなかった。
日本四大奇書を書いたひとの世界観ってこんなもの?と肩透かし。
 
◆確かなつながり◆

独創性には舌を巻いたけど、シリアスなはずのクライマックスで
なぜかちょっと笑ってしまった。
ホラーって一歩間違うとギャグになるよな。
オープニングから監禁された少女が出てきて
息をもつかせぬ展開に読みやすい文章で一気に読めます。
でもこの話が実現する世の中になったら
この世には結婚にあぶれる独身女性がもっと増えるんだろうなあと
複雑な気分。
 
◆杜の囚人◆

物語だけじゃなく文章を楽しむのも小説の醍醐味なのに、
この作品の文章はまるで脚本のト書き。
著者の経歴を見て納得がいきましたが、読んでいて非常に
味気なかった。
オチはすぐ読めるし。
あまり面白くありませんでした。
 
◆失くした御守◆

期待していた麻耶雄嵩。
真相自体はそこまででもなく、
主人公の少年が執拗に失くした御守りを探していることにも
何か突拍子もない伏線があるのかと思いきやそうでもなく、
麻耶氏にしては(短編のせいもあるのだろうけど)地味な話だとは
思うけど、真相を知っておきながら何事もなく帰っていく、
主人公のあの頓着のなさこそが麻耶節なのだなと思って
そこは小気味良く感じた。
実際にこんなことあったら一発で警察に捕まるけどな、と
無粋なツッコミを読み終えてしてしまいましたが。
プロフィール
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kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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