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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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人生の終章も自らの手で綴りたい。



テーマはDead or Alive「生死の危機」。
2013年9月7日12:00に主要人物が帝国ホテルにいる短編ミステリーを執筆せよ。
乱歩賞作家七人が描く「天国と地獄」。

★収録作品★

 不惑/薬丸岳
 イーストウッドに助けはこない/竹吉優輔
 悪魔的暗示/高野史緒
 クイズ&ドリーム/横関大
 平和への祈り/遠藤武文
 墓石の呼ぶ声/翔田寛
 終章~タイムオーバー~/鏑木蓮

***

◆不惑◆

犯人の心情が映画「ムーンライト・マイル」を思い出させた。
心の機微はよく書けていると思うけどそこまで面白いとは思わず。
それにしても薬丸氏は最近こういう
「犯罪者にも心はあるんです」系の話を書くな。

 ◆イーストウッドに助けはこない◆

最初ダメダメに見えた主人公の叔父が最後にかっこいい。
これまた映画「インデペンデンス・デイ」を思わせる。
著者が若いひとだけあって文章がかなり若書きで、
同世代の私でもちょっと「もうちょいかっちりした文章書いてくれよ」
と思った。
めちゃくちゃ筆力のあるひとがわざと崩して軽い文体にすると
魅力的になるんだけど、この著者はまだその域には及ばず。
まあこないだデビューしたばっかりだし
いいものを持っているひとだとは思うので今後に期待。

◆悪魔的暗示◆

アナスタシアを扱ったミステリなら
既に島田荘司氏が大作を書いてるからなー。
特にぴんとこなかった。
読んですぐ内容忘れてここに書くこともあまりないぐらいだし。
文章はうまいと思った。でもそれだけ。

◆クイズ&ドリーム◆

ちょっとファンタジックな話。
シンプルでとても読みやすい。
未来から過去へ来て過去をいじくったら未来は変わってそうするとつまり。。。
とか考えると頭がこんがらがるので深くは考えません。
いかにも短編といった話だったけれど面白かった。

◆平和への祈り◆

遠藤氏本人が登場するせいか、何だかノンフィクションのテイスト。
って中身はけっこうファンタジーなんだけどね。
というか遠藤氏本人が主人公として出てくる時点で
バッドエンドはないんだろうなーとわかってしまうのが残念。
それにしてもいくら夢とはいえ大天使ミカエルが出てくるとか
何かセンス疑うんだけど。。。
このひとの世界観は、前から思ってはいたけど私には合わない。
面白くなかったです。

◆墓石の呼ぶ声◆

さすがベテランだけあって安定の筆力。
伏線も綺麗に回収されていて、オチも「もしかして!?」と思わせる
なかなか興味深いもの。ラスト一行も秀逸だし。
ただ、以前から思っていたのですが翔田氏の作品って地味で華がない。
この筆力にそれが加われば怖いものなしなだと思うんだけどなー。
本編もなかなか盛り上がらなくて途中までだるかった。
本アンソロジーの中では一番文章力や構成力があるとは思うけど。

◆終章~タイムオーバー~◆
 
医療の知識のない一般人があんな方法をとれるのか、
ということはさておき、「デッド・オア・アライヴ」というテーマに
しっかり沿っていて簡潔で面白かった。
エリザベス・キューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」をモチーフにしているのも
凛子の死に向かう恐怖を具体的に想像出来て臨場感があっていい。
鏑木氏はデビュー作があまり面白くなかったので偏見があったけど
ちょっと(偉そうに言えば)見直してしまいました。
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「籠?」
「ああ。光の籠さ」
 
 

この海には、人を喰う怪物がいる――
瀬戸内の小島・興居島に漂着するいくつもの死体と、
いにしえからの港町・鞆に拡がる不穏な団体の影――。
怪事件の続く「時計仕掛けの海」に、御手洗潔が挑む!

***

どうしたんだろ島田氏。。。
私がミステリ界最大にときめく探偵・御手洗潔の
最新作、しかも彼の国内最後の事件ってことで
死ぬほど期待していたのに。。。

過去に使われていたという戦闘兵器「星籠」の正体にも
あっという間に気付けてしまうし、
これまでの御手洗シリーズのような壮大な歴史ロマンが
展開するのかと思いきや正直くだらない二時間ドラマみたいな真相が
下巻で展開して興ざめだし。
御手洗そんなに活躍しないし石岡のオトボケも全然発揮されてないし。
各登場人物たちのパートがあまり綺麗に絡み合ってないし
どれもインパクトに欠けて面白くない。
クライマックスの御手洗が仕掛けた罠も陳腐過ぎて名探偵の名が泣く。
何より島田氏ってこんなに文章下手だっけ?
同じ単語が頻発するし会話文はどこか間が抜けていて緊迫感がないし。
何だかいいとこなしの作品だった。
御手洗潔を敬愛する者としてはこの作品はなかったことにしたいぐらい。

おすすめしません。
「自明だ」
 


首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、
あなたはこの本を貪り読む。
胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた
「ネタ」の数々!
「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え
「合コン」では泣き笑い。
黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、
父は子のため「復讐者」になる。
技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。

★収録作品★

 首折り男の周辺
 濡れ衣の話
 僕の舟
 人間らしく
 月曜日から逃げろ
 相談役の話
 合コンの話
 
***

軽い筆致のように見えて、その実ひどく言葉選びにこだわって
物語を書く作家さんだと思う。
構成力もすごいし、斬新な試みにも挑戦してるし。
伊坂氏の書く話には、もし大人がやられたら苦笑しつつも爽快に
思ってしまうような「子供の悪戯」的発想の話が多い。
過去の名作「重力ピエロ」「アヒルと鴨のコインロッカー」にも、
もちろんそれ以外の作品にも、必ずといっていいほど
遊び心溢れた悪戯が登場する。
ものすごく文才のあるひとがそういった悪戯を物語にすると
こういう作品が出来上がる。
そう感じさせられるとても楽しい短編集だった。
単に涙する、とか感動する、とかいった単純なものではなく、
「そう来たか! やられた!」と思わず膝を打ってしまうような、
そんな感情を味わわせてくれるのは今のところ伊坂氏だけだな。
伊坂氏は私がミステリ作家を目指すきっかけになった
自分にとってとても特別な作家さんだけど、
彼みたいな、単にピンポンダッシュをして逃げるだけじゃなく
玄関のドアを開けたその家の住人が思わず声をあげて笑い出してしまうような
心地いいサプライズをそのドアの向こうに用意してくれている、
そんな小説を書きたいと思えるからこそ今でもミステリを
書き続けているのだと思う。
雑誌に掲載されていた「合コンの話」を初めて読んだときには
「足元にも及ばないにもほどがある」とけっこうヘコみましたが。

いつまでもこの短編集みたいな最高の物語を書く作家さんでいてほしいと思うし、
いてくれるだろうなとも確信している。

非常におすすめです。

私は裁かれている。



大好評アンソロジー「Story Seller」の姉妹編。
今回も、6名の超人気作家が豪華競演。オール読みきりで、
読み応え抜群の作品を詰め込みました。
あっと驚かされるミステリ、くすりと笑える話から、
思わず涙がこぼれる恋愛小説まで。
お気に入りが見つかったら次の本を探せる、作家別著作リストも完備。

★収録作品★

 暗がりの子供/道尾秀介
 トゥラーダ/近藤史恵
 R-18ー二次元規制についてとある出版関係者たちの雑談/有川浩
 万灯/米澤穂信
 ジョン・ファウルズを探して/恩田陸
 約束/湊かなえ

***

◆暗がりの子供◆

 既読につきこちらを参照。

◆トゥラーダ◆

タイトルは「闘牛」の意。
闘牛の残酷な描写から始まって眉をひそめていたのですが、
もちろんそれはその後に続くある人間を描くための伏線。
闘牛になぞらえてひとりの人間の苦しみを描き出す、
その表現力には唸らされた。
悲しみの残る作品ですがとても印象的にも思う。
信じてもらえなかった人間というのは救われないんですね、
いろんな意味で。

◆R-18ー二次元規制についてとある出版関係者たちの雑談◆

エロ二次元作品が規制されていることについて
それはおかしいと独自の理論を展開する作家とそれを聞く編集者。
確かに、と納得出来る部分もあるにはあったけれど、
もし日本人が性衝動を日本人ならではの豊富な想像力で補うことによって
実際の社会で性犯罪を起こす衝動を抑えている、だから
二次元エロに傾倒しているからといってそれが現実の女性に
反映されることはない、という件は、
そんなに想像力が逞しいなら、むしろ現実の女の子を自分の好きな
エロ二次元キャラだと思い込む想像力も持ってそうなもので怖いけどな、と
思ってちょっと納得いかなかった。
エロ二次元キャラと現実の女性は見た目もリアクションも全然違うから
オタクたちの中で双方が重なることはない、と書いてはいたけれど、
それさえも凌駕する想像力を持っているのが人間ってものじゃないかと
思った。
下世話な話、頭の中に思い描いているのは完全な二次元キャラ、
でも感触だけは生身の女性、そういうことを欲するひともいるじゃないか、と。
まあそれなりに興味深くて面白かったですが。

◆万灯◆

本作中一番面白かった。
出だしは何かの裁判の被告が語ってでもいるのかと思いきや、
彼はもっと重いものに裁かれていることが徐々に明るみになる。
オチは読めてしまったけれど、それでも読者に結末を委ねる戦慄のラストには
ぞくっとした。
中盤までの舞台となる外国の描写もしっかりしていて魅力的で
臨場感たっぷりに読めた。
おすすめです。

 ◆ジョン・ファウルズを探して◆

ひとりの作家について書かれた、
小説ではなくエッセイ。
「小説じゃないの?」と最初は鼻白みましたが、
短いしねちねち悪い意味で掘り下げて書かれておらずさくっと読めるので
まあそれなりに楽しめた。
でも心に残るものは特になく。
これが小説じゃないから、というよりやはり
私には恩田陸作品はデビュー作「六番目の小夜子」以外
性に合わないんだなーと再確認。

◆約束◆

米澤穂信氏と同じ、外国を舞台にした物語。
ただ、近藤史恵さん、米澤氏の作品を先に読んでしまっていたせいか
そこまでその国の空気感が伝わって来ず。
けれど人間の心理の核心をさらっと、けれど読者の心のど真ん中を突くように
書いてみせる手腕は相変わらず。
ヒロインの恋人の人間的駄目さがかなりリアルなぶん、
ラストには心を動かされました。まあちょっと安直ではあるけれど。
しかも個人的な話、ヒロインと恋人の関係性が自分に似ていて
読んでいて苦笑いが浮かんでしまった。
それとも意外とこういう関係の男女って多いんだろうか。
人間って自分にとって都合よく立ち振舞ってくれる相手に好意を持つものな。
もちろん誰でもいいってわけじゃないんだけれど。

あれは誰にも触れられていない、たしかに自分自身の声だった。



いつも前を行く彼と、やっと対等になれるはずだったのに――。
待望の最新長篇小説。
「もしかして、別れようって言ってる?」
ごくふつうに恋愛をしていたはずなのに、和歌と仙太郎の関係は
どこかでねじ曲がった。
全力を注げる仕事を見つけ、ようやく彼に近づけたと思ったのに。
母の呪詛。恋人の抑圧。仕事の壁。祖母が求めた書くということ。
すべてに抗いもがきながら、自分の道を踏み出す彼女と私の物語。

***

単に男性として見るだけじゃなく
「このひとに認められたい、対等になりたい」
と思って恋する女。
私も昔からそのタイプだったので、主人公の気持ちはとてもよくわかった。
でも何だか、このヒロイン好きになれない。
もちろんそれが著者の狙いなのかも知れないけれど、
女にもなりきれず物書きにもなりきれずどっちつかずで
読んでいて苛々するのです。
その人間臭さこそが著者の書きたいものだったのかも知れないけれど、
ほぼ魅力が皆無に感じられる点は失敗だったんじゃないかと思う。
まあ、どこかにいそうなリアリティ溢れる人間だからこそ、
ラストで彼女が言う「孤独」がひしひしと読者にも伝わってくるのかも知れないけど。
ただ、哲学的で自分に自信があってひとを見下したところがある男性というのは
私も付き合ったことがあるので、その相手の一言一句に傷つかないよう
構えてしまう、次に何を言われるのかと相手が口を開くたび、自分が何か言うたびに
びくついてしまう心理はとてもよくわかった。
実際ヒロインの恋人・仙太郎が彼女に向かって辛辣な言葉を発するとき、
いやそれが辛辣じゃなく何気ないひと言であっても、ぎくりとなって
ヒロインとシンクロするように傷ついてしまうという瞬間が何度もあったし、
そのあたりの描写はすごいと思う。

ただ、物書きの女性とその女性が恋する男性を描いた物語なら
貫井徳郎氏の〝新月譚〟のほうが遥かに深みもあって面白かった。

母が「物書き志望のあんたが読んだら面白そうだから」とすすめてくれたのですが、
私にはあまり楽しめませんでした。
決して駄作じゃないけどね。
愛よりも深いところにある。



静かにあたためてきた想い。
無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。
物思いに耽ることが増えた彼女はついにこう言うのであった。
必ず答えは出す、ただ今は待ってほしいと。
ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。
いわくつきのそれらに秘められていたのは、
過去と今、人と人、思わぬ繋がり。
脆いようで強固な人の想いに触れ、二人の気持ちは
次第に近づいているように見えた。だが、それを試すかのように、
彼女の母が現れる。
この邂逅は必然か? 彼女は母を待っていたのか?
すべての答えが出る時が迫っていた。

***

今まで「売れる本」というものは、
言ってしまえば普段本をまったく読まないようなひとでも
簡単に読めるような文章も中身も薄っぺらいもの、という
印象があったのですが、
「これは売れて如かるべきだ」と心から納得がいく本作が
そんな先入観を覆してくれたように思う。
ラノベに属するだけあって文章は非常に読みやすいけれど、
普通の小説を読むひとが手にとっても満足のいくレベルに
仕上がっているのでまさに万人に愛されるにふさわしい。
栞子と大輔にもようやく進歩が見られ、ミステリパートだけではなく
ストーリーパートも大きく動き出します。
もうすぐ終わりそうな気配もあるのがとても残念。
そんな風に思えるシリーズものに初めて出会えたように思う。

ブラック・ジャックについて書かれた一篇が、
この漫画の大ファンですべての話を読みたいと思い
微妙に内容の違う文庫本や古い単行本を買い分けていた私には
非常に興味深かった。

非常におすすめです。
次巻もとても楽しみ。
あの人を信じていたから許せなかった。

 

殺人事件から1年後の夏。
房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、
大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、
母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。
それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。
整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?
『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!

***

「自分の身近にいる人間、大切な人間を
信じられるかどうか」
という使い古されたテーマを、構成の妙で読者にまるで自分が実際
その立場に置かれたかのように読ませるという発想は新しいと思う。
でもそれだけ。物語としてはまったく面白くなかった。
冒頭に登場する猟奇殺人犯も、その残虐性や異常性が
まったくといっていいほど描写されていないからリアリティがないし、
その犯人が殺人現場に書き残したメッセージ「怒」も、
タイトルにまでなっているのに何に怒っていたのかよくわからない。
吉田修一氏はとても好きな作家さんですが、「悪人」以降
面白く読めるものがあまりないなというのが正直な印象。
発売前から楽しみにしていただけに残念です。
次回作に期待。
そうしたら、きっと幸せになれる。



悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。
極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。
夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、
数日後、遺体となって発見された。
数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが…。

***

ありがちといえばありがちな話。
決して目新しさはないのだけど、東野氏の筆致をもってすると
するする読めてなかなか楽しめた。
何といってもあの加賀恭一郎の母親が事件に関わってくるしね。
推理部分だけじゃなく人間の心理をしっかり描いてくれているのも
さすが東野氏といった感じで嬉しい。
というか本作で一番気になったのは、加賀、あの女性とくっつくの?
シリーズ全編読んでるわけじゃないからよくわからないのだけど。
加賀にはもっと個性があるというかキャラの立ったひとと
くっついてほしい気もするんだけどな。
それと、その彼女がラストであの手紙を読むのはなしでしょ。
奥さんでギリギリだと思う。
 近々2時間ドラマ化でもされそうな内容でした。
まあ2時間ドラマとしては良質なものになりそうだけど。
彼に何を願う?
 


―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?―
ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が、
児童連続殺傷事件に着想を得て、
凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!

***
 
バリバリのミステリを想像してたら
特にどんでん返しもない、どちらかといえばヒューマンドラマだった。
子供をふたり殺してその目玉をくり抜いた猟奇殺人犯が
社会に復帰後自分のそばにやって来たら。。。という、
今までありそうであまり書かれていない題材がモチーフ。
実際にあった事件だからこそ世間の反応が怖くて(というか面倒で?)
書かない作家さんが多いんでしょう。

オチは割と好きだけど、その殺人犯がなぜ子供ふたりを殺害するに至ったかとか
そういった動機をちょっとでもいいから書いてほしかった。
彼の過去が見えないからキャラが少し薄く見えてしまうんだよな。
(まあそれは実在の事件の犯人について書かれた過去を参照しろと
いうことなのかも知れないけど)
あとサブキャラの元AV女優のキャラが同性の視点からみて違和感があった。
いかにも作られたキャラというか。女は、特にこんな過去を持った女は
ここでこういう言動をしないだろ、と思うことしばしば。
主人公・益田の心理はよく書かれていたと思いますが。

そして文章があまりうまくない。
「~した」と書けばいいところを「~している」となぜか現在進行形で
書いている部分が頻発して鬱陶しかった。
気にならないひとは気にならないんだろうけど。

サカ〇バラが少年院を出たあと私の地元にいるという噂を
ネットで見たことがある身としては考えさせられる話でした。
でも読後温かい気持ちになった。まあ、そんな気持ちになっていいのかどうかも
改めて考えさせられる話ではあるのだけど。

まあおすすめかな。
薬丸さんにはもっとミステリミステリした話を書いては欲しいけど
たまにはこういうのもアリということで。
生きていれば、いつか会える。



毅志は、横浜の馬車道近くで、母親と共に
喫茶店「ペガサス」を営んでいる。
ある日、空室だった「ペガサス」の2階に、皆藤と山南という
ふたりの男が探偵事務所を開いた。
スマートで快活な彼らに憧れを抱いた毅志は、
探偵仕事を手伝わせてもらうことに。
しかし、付き合いを重ねるうちに、毅志は皆藤と山南に対して
ある疑問を抱きはじめる…。

***

貫井さんパワーなくなったなー、というのが第一の感想。
気さくで魅力的だけどどこか怪しいふたりの探偵、彼らの
本当の狙いは。。。というのがわかったときも
ありがちな展開に「ふーん」としか思わなかったし、
クライマックスも盛り上がりに欠ける。
そもそもふたりの探偵が守ろうとしているものの魅力が
描写の少なさもあってあまり伝わってこないので
(まあ彼らふたりが自分たちにとって大切なものを
全力で守ろうとする人間なんだ、っていうのは
ちゃんとわかるけれど)
「あー彼らはこれを守ろうとしてるんだ。。。」
と感銘を受けることも感動を覚えることもあまりなかった。
「慟哭」「乱反射」のときみたいな、
読み始めた瞬間から読者を惹きつけて離さないリーダビリティは
どこに行ってしまったんだろう、と残念に思う気持ちだけが
強く残った。
「ドミノ倒し」ほどはひどくなかったのが救いといえば救い。
一応小説の体は成していたと思うので。まあそれだけだけど。
次回作に期待します。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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