笑ってほしかった。
何者かによる動物虐待で愛犬・リクを失った中学一年生の向井光一は、
同級生の原村沙紗と犯人捜しをはじめる。
「ある証拠」から決定的な疑惑を入手した光一は、真相を確かめるため
司法浪人の久保敦に相談し、犯人を民事裁判で訴えることに。
被告はお父さん――母親を喪った光一にとっての、唯一の家族だった。
周囲の戸惑いと反対を押して父親を法廷に引き摺り出した光一だったが、
やがて裁判は驚くべき真実に突き当たる!
2012年第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
***
舞台は法廷であるにも関わらず
若い世代にも読みやすい丁寧な筆致で書かれているため
裁判のことをよく理解しながら読み進めることが出来る。
父親を訴える主人公の少年も、中学一年生なので
大人は斬新さを、若者は親しみを感じながら一気に読める小説に仕上がっている。
ラストのどんでん返しにはもうちょっと伏線がほしかったところだけど、
ミステリならではの驚きの展開に、おお、と思わずうなり声が出た。
ちょっと後味は悪い終わり方だけどそれでもさわやかに〆たほうなのではと。
おすすめだけど犬好きのひとはあまり読まないほうが吉かな。。。
何者かによる動物虐待で愛犬・リクを失った中学一年生の向井光一は、
同級生の原村沙紗と犯人捜しをはじめる。
「ある証拠」から決定的な疑惑を入手した光一は、真相を確かめるため
司法浪人の久保敦に相談し、犯人を民事裁判で訴えることに。
被告はお父さん――母親を喪った光一にとっての、唯一の家族だった。
周囲の戸惑いと反対を押して父親を法廷に引き摺り出した光一だったが、
やがて裁判は驚くべき真実に突き当たる!
2012年第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
***
舞台は法廷であるにも関わらず
若い世代にも読みやすい丁寧な筆致で書かれているため
裁判のことをよく理解しながら読み進めることが出来る。
父親を訴える主人公の少年も、中学一年生なので
大人は斬新さを、若者は親しみを感じながら一気に読める小説に仕上がっている。
ラストのどんでん返しにはもうちょっと伏線がほしかったところだけど、
ミステリならではの驚きの展開に、おお、と思わずうなり声が出た。
ちょっと後味は悪い終わり方だけどそれでもさわやかに〆たほうなのではと。
おすすめだけど犬好きのひとはあまり読まないほうが吉かな。。。
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悩みの相談お任せください。
夢をとるか、愛をとるか。
現実をとるか、理想をとるか。
人情をとるか、道理をとるか。
家族をとるか、将来をとるか。
野望をとるか、幸せをとるか。
あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は…。
物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。
***
ほっこり人情話なのかな、と思いきや、
各話が絶妙にリンクした、しっかりとした連作ミステリに仕上がっている。
東野氏の作品としては地味だけど、たまにはこういうのもいいなと思えた。
東野氏はかの手塚治虫氏と同じで、
本来ならクライマックスに持ってくるだろうエピソードを
贅沢にも序盤で出してくるので、読んでいて飽きが来ない。
読者を惹き付ける術に長けた稀有な作家さんだなと改めて思う。
売れている理由もわかる。
それにしてもこれの元ネタ、
やっぱり〝生協の白石さん〟なんだろうな。
プラス〝イルマーレ〟(映画)といったところ。
これらのうちどちらか、または両方好きな方にはおすすめの一作です。
夢をとるか、愛をとるか。
現実をとるか、理想をとるか。
人情をとるか、道理をとるか。
家族をとるか、将来をとるか。
野望をとるか、幸せをとるか。
あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は…。
物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。
***
ほっこり人情話なのかな、と思いきや、
各話が絶妙にリンクした、しっかりとした連作ミステリに仕上がっている。
東野氏の作品としては地味だけど、たまにはこういうのもいいなと思えた。
東野氏はかの手塚治虫氏と同じで、
本来ならクライマックスに持ってくるだろうエピソードを
贅沢にも序盤で出してくるので、読んでいて飽きが来ない。
読者を惹き付ける術に長けた稀有な作家さんだなと改めて思う。
売れている理由もわかる。
それにしてもこれの元ネタ、
やっぱり〝生協の白石さん〟なんだろうな。
プラス〝イルマーレ〟(映画)といったところ。
これらのうちどちらか、または両方好きな方にはおすすめの一作です。
さあ、ゲームの始まりだ。
偽札造り――それは究極の騙しのゲーム。
「そのお札を使ったところで、誰が被害者になるわけでもないんだ。
おれの手を放れた紙幣は、また次の誰かの手へと伝わっていく。誰
も気づかず、どこにも被害者はいない。札を造り上げた者だけが勝利者となる。
……おれは決めたぞ、雅人。この先何年かかるか分からない。
けど、必ずこのゲームに勝利してやる!」
第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞長編部門受賞。
***
よくもまあここまで徹底して調べたなという圧巻の偽札造りに対する知識量。
あまりのリアルさに「これ本当にこの本のとおりにしたら
偽札作れるんじゃね?」と信じそうになってしまった。
この小説のとおりにやれば本当に出来るんじゃ、と思ったのは
貴志祐介氏の〝青の炎〟を読んで以来。
おそらくは想像で描かれているのだろう裏社会のあれこれについても、
この著者過去にそういう世界に身を置いていたことがあるんじゃないか、と
いい意味で(?)疑念を持ってしまうぐらいだった。
偽札造りの詳細なシーンが三回出てくるところは
全体の構成のパターンがマンネリしてしまっていてちょっと退屈に感じたりも
したけど、
常に臨場感を持ってテンション上げながら読むことが出来た。
ちなみに著者の真保先生には一度お会いしたことがあるのですが、
本作をして「僕は余計なものを詰め込み過ぎて書いてしまうところがあるので
本作も書いているうちにどんどん膨らんでしまった」
と仰っていて、
でもその自由な想像力こそがこの物語に魅力を与えているのだなあと
プロ作家の力量を改めて痛感する思いでした。
おすすめです。
偽札造り――それは究極の騙しのゲーム。
「そのお札を使ったところで、誰が被害者になるわけでもないんだ。
おれの手を放れた紙幣は、また次の誰かの手へと伝わっていく。誰
も気づかず、どこにも被害者はいない。札を造り上げた者だけが勝利者となる。
……おれは決めたぞ、雅人。この先何年かかるか分からない。
けど、必ずこのゲームに勝利してやる!」
第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞長編部門受賞。
***
よくもまあここまで徹底して調べたなという圧巻の偽札造りに対する知識量。
あまりのリアルさに「これ本当にこの本のとおりにしたら
偽札作れるんじゃね?」と信じそうになってしまった。
この小説のとおりにやれば本当に出来るんじゃ、と思ったのは
貴志祐介氏の〝青の炎〟を読んで以来。
おそらくは想像で描かれているのだろう裏社会のあれこれについても、
この著者過去にそういう世界に身を置いていたことがあるんじゃないか、と
いい意味で(?)疑念を持ってしまうぐらいだった。
偽札造りの詳細なシーンが三回出てくるところは
全体の構成のパターンがマンネリしてしまっていてちょっと退屈に感じたりも
したけど、
常に臨場感を持ってテンション上げながら読むことが出来た。
ちなみに著者の真保先生には一度お会いしたことがあるのですが、
本作をして「僕は余計なものを詰め込み過ぎて書いてしまうところがあるので
本作も書いているうちにどんどん膨らんでしまった」
と仰っていて、
でもその自由な想像力こそがこの物語に魅力を与えているのだなあと
プロ作家の力量を改めて痛感する思いでした。
おすすめです。
僕は僕のままで永遠を生きると。
昭和三十二年――
夜叉との再会を果たした閻魔は、奈津が沖縄にいることを知らされる。
アメリカ統治下の沖縄に渡るも、そこに奈津の姿はなかった。
同じ頃、己の寿命を悟った夜叉は不死者を追う皆藤浩一郎に追い詰められる。
時を越えて求め合う三つの運命が交錯したそのとき、百年の愛が動きだす……。
『裏閻魔』感動の最終巻! !
***
裏閻魔シリーズ三作目にして完結巻。
最後だけあってもっと激烈な展開になることを予想していたのだけれど
意外に物語は淡々と進み、淡々と終わった印象。
盛り上がるところはもうちょっと盛り上がってもいいんじゃないかと思ったけど、
変に大げさにすると本作の元々の設定上ラノベ風になってしまいかねないので
これでもよかったかな、という気はする。
宝生夜叉のキャラが今までに比べて変わりすぎな気がしたのと、
閻魔が奈津の行方をあまりにあっけなく突き止めすぎな気はしたけど
(まあそれが運命といえば運命なのかも知れないけど)
裏閻魔シリーズをずっと読んできた身としてはそれでもやっぱり
「よかった。。。」と思ったしその後を読者に委ねる終わり方も
まあありだったんじゃないかと思う(閻魔の台詞はちょっとあざとい気がしたけど)。
でもやっぱり本作は変に続かず第一巻で終わっていたほうが
傑作足り得たんじゃないかと。
どうせ続きを読者の想像に委ねるのなら
そのほうがよかったんじゃないかな、という気が。
エンタメ小説としては存分に楽しませてもらいましたが。
裏閻魔シリーズを終えた中村ふみさんが
今後どんな物語を書くのか、
筆力と発想の素晴らしさを持つ作家さんだけに
非常に楽しみでもあります。
昭和三十二年――
夜叉との再会を果たした閻魔は、奈津が沖縄にいることを知らされる。
アメリカ統治下の沖縄に渡るも、そこに奈津の姿はなかった。
同じ頃、己の寿命を悟った夜叉は不死者を追う皆藤浩一郎に追い詰められる。
時を越えて求め合う三つの運命が交錯したそのとき、百年の愛が動きだす……。
『裏閻魔』感動の最終巻! !
***
裏閻魔シリーズ三作目にして完結巻。
最後だけあってもっと激烈な展開になることを予想していたのだけれど
意外に物語は淡々と進み、淡々と終わった印象。
盛り上がるところはもうちょっと盛り上がってもいいんじゃないかと思ったけど、
変に大げさにすると本作の元々の設定上ラノベ風になってしまいかねないので
これでもよかったかな、という気はする。
宝生夜叉のキャラが今までに比べて変わりすぎな気がしたのと、
閻魔が奈津の行方をあまりにあっけなく突き止めすぎな気はしたけど
(まあそれが運命といえば運命なのかも知れないけど)
裏閻魔シリーズをずっと読んできた身としてはそれでもやっぱり
「よかった。。。」と思ったしその後を読者に委ねる終わり方も
まあありだったんじゃないかと思う(閻魔の台詞はちょっとあざとい気がしたけど)。
でもやっぱり本作は変に続かず第一巻で終わっていたほうが
傑作足り得たんじゃないかと。
どうせ続きを読者の想像に委ねるのなら
そのほうがよかったんじゃないかな、という気が。
エンタメ小説としては存分に楽しませてもらいましたが。
裏閻魔シリーズを終えた中村ふみさんが
今後どんな物語を書くのか、
筆力と発想の素晴らしさを持つ作家さんだけに
非常に楽しみでもあります。
自由の中へ。
あのころ、わたしたちは包まれていた。まぶしくて、涙が出る――。
都会から少し離れた山間の町。
小学四年生の利一は、仲間たちとともに、わくわくするような謎や、
逃げ出したくなる恐怖、わすれがたい奇跡を体験する。
さらなる進境を示す、道尾秀介、充実の最新作!
***
やはりこの作家さんに子供を書かせたら右に出るひとはいないと思う。
主人公たち一人ひとりの個性が小説的な誇張もなくリアルに浮かび上がってきて
実在する人間に触れているようだった。
ミステリ要素があるのは最初の一話だけで
あとはごく普通の物語であったことが
ミステリ作家としての道尾氏を敬愛する私としては物足りなかったけど、
大人になる前の人間が持つ心の自由さと輝きを思い出させてくれる内容は
とてもよかった。
道尾氏は決して文章がうまいわけではないけれど、
表現力が卓越していて
今までに見たこともないようなその斬新な言葉選びに
いちいち感心しながら読めた。
「上手い」「巧い」ではなく「旨い」ひとなのだなと思う。味がある。癖になる。
テーマはありがちだったけれど、
道尾氏の作風がそれを彼自身の色で彩っていて
読んでいて退屈になることはなかった。
全体に透明で、(いい意味で)真面目な物語なのに、
要所要所で笑える表現が出てくることにも
氏の温かで愉快な人柄を感じることが出来て、
「ああこの作家さんの人間性素敵だな、友人になれたら嬉しいかも」
と思わせてくれた。
今度はがっつりしたミステリを書いてほしいものだけれど
(もしくはホラー。彼の作風はその2ジャンルにこそ活かされると思うので)
本作もおすすめです。
子供のころの気持ちを思い出したい方は、是非。
あのころ、わたしたちは包まれていた。まぶしくて、涙が出る――。
都会から少し離れた山間の町。
小学四年生の利一は、仲間たちとともに、わくわくするような謎や、
逃げ出したくなる恐怖、わすれがたい奇跡を体験する。
さらなる進境を示す、道尾秀介、充実の最新作!
***
やはりこの作家さんに子供を書かせたら右に出るひとはいないと思う。
主人公たち一人ひとりの個性が小説的な誇張もなくリアルに浮かび上がってきて
実在する人間に触れているようだった。
ミステリ要素があるのは最初の一話だけで
あとはごく普通の物語であったことが
ミステリ作家としての道尾氏を敬愛する私としては物足りなかったけど、
大人になる前の人間が持つ心の自由さと輝きを思い出させてくれる内容は
とてもよかった。
道尾氏は決して文章がうまいわけではないけれど、
表現力が卓越していて
今までに見たこともないようなその斬新な言葉選びに
いちいち感心しながら読めた。
「上手い」「巧い」ではなく「旨い」ひとなのだなと思う。味がある。癖になる。
テーマはありがちだったけれど、
道尾氏の作風がそれを彼自身の色で彩っていて
読んでいて退屈になることはなかった。
全体に透明で、(いい意味で)真面目な物語なのに、
要所要所で笑える表現が出てくることにも
氏の温かで愉快な人柄を感じることが出来て、
「ああこの作家さんの人間性素敵だな、友人になれたら嬉しいかも」
と思わせてくれた。
今度はがっつりしたミステリを書いてほしいものだけれど
(もしくはホラー。彼の作風はその2ジャンルにこそ活かされると思うので)
本作もおすすめです。
子供のころの気持ちを思い出したい方は、是非。
おとうちゃん たっぷり 愛してくれて おおきに、ありがとう。
シャッターが目立つちょっと寂しげな北詰通商店街に店を構える「ラーメン味(み)よし」。
「味よし」とは名ばかりで、店主のゲンコが作るラーメンはえらく不味く、赤字続き。
ゲンコはしっかり者の一人娘・センコの目を盗んでは、店をほったらかして
ふらふら遊びに行ってしまう。センコは毎晩、帳簿とにらめっこしながら頭を抱えていた。
そんなある日、東京で就職した幼馴染のカメヤが突然帰ってきた。
だがコソコソしていてどこか様子がおかしい。さらにどういうわけかゲンコが、
街の問題児・スルメを家で預かると言い出し、そんな余裕はないと
激怒するセンコだったが……。
くせ者揃いの家族とお節介なご近所さんに囲まれて、
センコは自分を育む「街の息遣い」をいとおしく思い、
かけがえのないものに気が付いていくのだった――。
***
友人の坂井希久子さんの新作。
私は母方の実家が大阪なので
幼いころから関西弁や関西の文化に触れることが多かったのですが、
本作を読んでいる間中、正にその「関西の息遣い」を感じることが出来た。
「ああ、関西人はそういう言い方するわ」「そういう行動するわ」
とうんうん共感して読めた。
商店街の面子も皆個性的で、
登場人物を覚えるのが(ミステリ読みにも関わらず)苦手な私でも
すんなり馴染むことが出来た。
坂井さんのお父さんも主人公センコの父・ゲンコと同じで
190近くあると聞いたので、
きっと少なからず彼女は自分のお父さんをモデルにして書いたんだろうなあ、と
微笑ましくなった。
実際仲がいいみたいだし。
こういう父子って憧れるな。
こういう街に育ってもみたかった。
恋愛描写がちょっとうまく進みすぎかなとは思ったけど、
そのこと以外は総じて高評価。
坂井さん、素敵な物語をありがとうございました。
おすすめです。
シャッターが目立つちょっと寂しげな北詰通商店街に店を構える「ラーメン味(み)よし」。
「味よし」とは名ばかりで、店主のゲンコが作るラーメンはえらく不味く、赤字続き。
ゲンコはしっかり者の一人娘・センコの目を盗んでは、店をほったらかして
ふらふら遊びに行ってしまう。センコは毎晩、帳簿とにらめっこしながら頭を抱えていた。
そんなある日、東京で就職した幼馴染のカメヤが突然帰ってきた。
だがコソコソしていてどこか様子がおかしい。さらにどういうわけかゲンコが、
街の問題児・スルメを家で預かると言い出し、そんな余裕はないと
激怒するセンコだったが……。
くせ者揃いの家族とお節介なご近所さんに囲まれて、
センコは自分を育む「街の息遣い」をいとおしく思い、
かけがえのないものに気が付いていくのだった――。
***
友人の坂井希久子さんの新作。
私は母方の実家が大阪なので
幼いころから関西弁や関西の文化に触れることが多かったのですが、
本作を読んでいる間中、正にその「関西の息遣い」を感じることが出来た。
「ああ、関西人はそういう言い方するわ」「そういう行動するわ」
とうんうん共感して読めた。
商店街の面子も皆個性的で、
登場人物を覚えるのが(ミステリ読みにも関わらず)苦手な私でも
すんなり馴染むことが出来た。
坂井さんのお父さんも主人公センコの父・ゲンコと同じで
190近くあると聞いたので、
きっと少なからず彼女は自分のお父さんをモデルにして書いたんだろうなあ、と
微笑ましくなった。
実際仲がいいみたいだし。
こういう父子って憧れるな。
こういう街に育ってもみたかった。
恋愛描写がちょっとうまく進みすぎかなとは思ったけど、
そのこと以外は総じて高評価。
坂井さん、素敵な物語をありがとうございました。
おすすめです。
好きです。好きです。――好きなんです。
キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと
些細なきっかけから同居を始めた。
彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。
ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。
しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。
欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。
***
金原ひとみさんの初期の作品は
もうあらゆる感情が剥き出しになっていてとにかく読んでいて面白い。
「書いている」というより「吐き出している」ように感じるから。
「ああ、この文章強調したいんだろうな」って丸わかりな部分が多かったりと
若書きな部分は多く見られるのだけど、そんなことどうでもよくなってしまうぐらい
のめり込んで一気に読むことが出来た。
特に、ひとりの男が好きで好きで仕方ない、
相手が冷たいからよりはまり込んでしまう、
独りでいるのが退屈だから刺激を求めてしまう、寄る辺を探してしまうという描写は
非常に共感出来、読んでいてつらくなるほどだった。
ただ単純に嫌悪・拒絶されるよりも、一見受け入れてくれているけれど
その実まったく心を開いてくれていない、器用に当然のように
さらりと交わされてしまう、そのことがどれほどつらいことかっていうのが
リアルに書かれていて胸が痛かった。
二十歳過ぎの著者の書いた恋愛心理に感情移入してしまうなんて、
私も精神年齢まだまだ(悪い意味で)若いな。
それとも恋をすればひとは皆そうなるんだろうか。
自分をひとりの対等な人間として見てくれない、
そんな相手に不毛な恋愛感情・性欲を爆発させるヒロインと彼女の同居人のホクトは
ある意味同じ立場であるのかも知れないなと思った。
おすすめです。
それにしても、本作と〝マザーズ〟を書いたひとが同一人物だとはとても思えない。
読み比べても面白いかも。
キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと
些細なきっかけから同居を始めた。
彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。
ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。
しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。
欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。
***
金原ひとみさんの初期の作品は
もうあらゆる感情が剥き出しになっていてとにかく読んでいて面白い。
「書いている」というより「吐き出している」ように感じるから。
「ああ、この文章強調したいんだろうな」って丸わかりな部分が多かったりと
若書きな部分は多く見られるのだけど、そんなことどうでもよくなってしまうぐらい
のめり込んで一気に読むことが出来た。
特に、ひとりの男が好きで好きで仕方ない、
相手が冷たいからよりはまり込んでしまう、
独りでいるのが退屈だから刺激を求めてしまう、寄る辺を探してしまうという描写は
非常に共感出来、読んでいてつらくなるほどだった。
ただ単純に嫌悪・拒絶されるよりも、一見受け入れてくれているけれど
その実まったく心を開いてくれていない、器用に当然のように
さらりと交わされてしまう、そのことがどれほどつらいことかっていうのが
リアルに書かれていて胸が痛かった。
二十歳過ぎの著者の書いた恋愛心理に感情移入してしまうなんて、
私も精神年齢まだまだ(悪い意味で)若いな。
それとも恋をすればひとは皆そうなるんだろうか。
自分をひとりの対等な人間として見てくれない、
そんな相手に不毛な恋愛感情・性欲を爆発させるヒロインと彼女の同居人のホクトは
ある意味同じ立場であるのかも知れないなと思った。
おすすめです。
それにしても、本作と〝マザーズ〟を書いたひとが同一人物だとはとても思えない。
読み比べても面白いかも。
だーれだ?
狭苦しいトレーラーハウスに閉じこめられた卒業旅行の男女9人。
ドアも、窓も、開けられない。混乱のなか、1人が命を落とし、
悪意に満ちたメッセージが見つかる-――。
この罠を仕掛けたのは、いったい誰か?
果たして彼らは、ここから生きて出られるのか?
デビュー10周年の著者が、本格ミステリーの原点に立ち返った、新たな傑作!
***
登場人物たちの会話が論理的にちょっとズレていたり、
話の展開が無理やりだったりで
「そりゃ違うだろ」と突っ込みつつも新作が出るたびに読んでしまう
妙な魅力を持った作品を書く、
石持氏は私にとってそんな作家さん。
連続殺人ならぬ連続嫌がらせ、という発想は斬新で、
殺人に比べて迫力はないながらもそれなりに楽しく読ませてもらった。
ただ、氏の作品は〝探偵役〟〝ヒロイン〟のキャラが似ているので
本作にそのポジションのふたりが出てきたときは
「ああこのふたりは犯人じゃないな」とすぐに見当がついてしまい残念。
実際そのとおりだったし。
そして余談ですが氏の作品のキャラは驚いたときに必ず
「ひゅっ」と息を吸うのですが、本作もそれが頻繁に出てきたので
「たまには違う表現があってもいいのでは」と思っていたら
本当にそれを超す表現が出てきて「いいぞ」とちょっと笑ってしまった。
電車の中とかで時間を潰すにはちょうどいい読み物なのではないかと。
でもまた〝月の扉〟みたいな(あれも欠点は多々あるけれど)
壮大な話も書いてほしいものです。
何だかんだ言って石持氏にはこれからもずっとついていくんだろうなあ、私。
それにしても表紙の絵、見るたびに痛そうだなと顔を顰めてしまう。
狭苦しいトレーラーハウスに閉じこめられた卒業旅行の男女9人。
ドアも、窓も、開けられない。混乱のなか、1人が命を落とし、
悪意に満ちたメッセージが見つかる-――。
この罠を仕掛けたのは、いったい誰か?
果たして彼らは、ここから生きて出られるのか?
デビュー10周年の著者が、本格ミステリーの原点に立ち返った、新たな傑作!
***
登場人物たちの会話が論理的にちょっとズレていたり、
話の展開が無理やりだったりで
「そりゃ違うだろ」と突っ込みつつも新作が出るたびに読んでしまう
妙な魅力を持った作品を書く、
石持氏は私にとってそんな作家さん。
連続殺人ならぬ連続嫌がらせ、という発想は斬新で、
殺人に比べて迫力はないながらもそれなりに楽しく読ませてもらった。
ただ、氏の作品は〝探偵役〟〝ヒロイン〟のキャラが似ているので
本作にそのポジションのふたりが出てきたときは
「ああこのふたりは犯人じゃないな」とすぐに見当がついてしまい残念。
実際そのとおりだったし。
そして余談ですが氏の作品のキャラは驚いたときに必ず
「ひゅっ」と息を吸うのですが、本作もそれが頻繁に出てきたので
「たまには違う表現があってもいいのでは」と思っていたら
本当にそれを超す表現が出てきて「いいぞ」とちょっと笑ってしまった。
電車の中とかで時間を潰すにはちょうどいい読み物なのではないかと。
でもまた〝月の扉〟みたいな(あれも欠点は多々あるけれど)
壮大な話も書いてほしいものです。
何だかんだ言って石持氏にはこれからもずっとついていくんだろうなあ、私。
それにしても表紙の絵、見るたびに痛そうだなと顔を顰めてしまう。
人間はみんな同じだよ。
優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気を描く「アウトサイド」、
ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い(「哀しみのウェイトトレーニー」)、
カーテンの膨らみから広がる妄想(「私は名前で呼んでる」)、
動物園の猿たちが起こす奇跡をユーモラスに綴る「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、
読んだ女性すべてが大爆笑&大共感の「Q&A」、
大衆の面前で起こった悲劇の一幕「亡霊病」…などなど、
めくるめく奇想ワールドが怒涛のように展開する、著者初にして超傑作短篇集。
★収録作品★
アウトサイド
私は名前で呼んでる
パプリカ次郎
人間袋とじ
哀しみのウェイトトレーニー
マゴッチギャオの夜、いつも通り
亡霊病
タイフーン
Q&A
彼女たち
How yo burden the girl
ダウンズ&アップス
いかにして私がピクニットシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか
***
本谷有希子さん待ってましたの新刊。
人の世の皮肉を動物だの病気だのシミュラクラ現象だのにたとえて
表現して見せる手腕はさすが。
文章も非常にうまく読みやすいので一気読み。
感動で背筋がゾクっとなったり笑ったり泣けたり呆れたりと
忙しない感情の変化を思う存分味わわせてもらいました。
それにしても〝亡霊病〟は怖かった。。。ある意味認知症と似てるんだけど
本当にこんな病気があったとしたら症状が悪化する前に自殺したい。。。が
身体が急速に動かなくなる病気なのでそれもままならない。。。というのが
恐ろしくて仕方なかった。
〝マゴッチギャオの夜、いつも通り〟は、
馬鹿にしてる相手が自分より秀でている場合もある、しかもそれを
まったく鼻にかけていないせいで凡人に見えたりするんだよ、ということを
改めて学ばされた気がして何だか身につまされる思いがした。
こんな突拍子もない、けれどすべてのひとの琴線に触れる話を書ける
本谷さんをやっぱり私は尊敬します。
ああ今から新作が待ち遠しい。
優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気を描く「アウトサイド」、
ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い(「哀しみのウェイトトレーニー」)、
カーテンの膨らみから広がる妄想(「私は名前で呼んでる」)、
動物園の猿たちが起こす奇跡をユーモラスに綴る「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、
読んだ女性すべてが大爆笑&大共感の「Q&A」、
大衆の面前で起こった悲劇の一幕「亡霊病」…などなど、
めくるめく奇想ワールドが怒涛のように展開する、著者初にして超傑作短篇集。
★収録作品★
アウトサイド
私は名前で呼んでる
パプリカ次郎
人間袋とじ
哀しみのウェイトトレーニー
マゴッチギャオの夜、いつも通り
亡霊病
タイフーン
Q&A
彼女たち
How yo burden the girl
ダウンズ&アップス
いかにして私がピクニットシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか
***
本谷有希子さん待ってましたの新刊。
人の世の皮肉を動物だの病気だのシミュラクラ現象だのにたとえて
表現して見せる手腕はさすが。
文章も非常にうまく読みやすいので一気読み。
感動で背筋がゾクっとなったり笑ったり泣けたり呆れたりと
忙しない感情の変化を思う存分味わわせてもらいました。
それにしても〝亡霊病〟は怖かった。。。ある意味認知症と似てるんだけど
本当にこんな病気があったとしたら症状が悪化する前に自殺したい。。。が
身体が急速に動かなくなる病気なのでそれもままならない。。。というのが
恐ろしくて仕方なかった。
〝マゴッチギャオの夜、いつも通り〟は、
馬鹿にしてる相手が自分より秀でている場合もある、しかもそれを
まったく鼻にかけていないせいで凡人に見えたりするんだよ、ということを
改めて学ばされた気がして何だか身につまされる思いがした。
こんな突拍子もない、けれどすべてのひとの琴線に触れる話を書ける
本谷さんをやっぱり私は尊敬します。
ああ今から新作が待ち遠しい。
謎解きオリンピック、開幕です!
★収録作品★
オンブタイ/長岡弘樹
白きを見れば/麻耶雄嵩
払ってください/青井夏海
雀の森の異常な夜/東川篤哉
密室劇場/貴志祐介
失楽園/柳宏司
不良品探偵/滝田務雄
死刑囚はなぜ殺される/鳥飼否宇
轢かれる/辻真先
***
◆オンブタイ◆
ミステリというよりは若干ホラー寄り。
ただこれぞ短編!という感じで非常にきれいにまとまっていて、
最後の一行を読んだときには「おおっ!」と自然と笑みが浮かんで
背中に戦慄が走った。
オンブタイという一見奇妙なタイトルも本作を引き立てるのに
一役買っていていい。
(ちなみに私は最初南国あたりの魚の名前かと思っていた)
◆白きを見れば◆
著者のデビュー作〝翼ある闇〟を読んだときは
そのあまりのトンデモっぷりに爆笑(いい意味で)したものですが、
今回も王道本格ミステリかと思えば最後の最後で
思いっきり道外してくれて(いい意味で)笑った。
この作家さんは本当に変な探偵書かせたら天下一品だな。
まああまりに変すぎて(これは悪い意味で)ついていけず
投げ出した本も一冊だけあるのですが。。。
本編も謎解きが爽快かと言われれば決して。。。なのですが、
でも何だかんだ言って好きだ、この作家さんは。
◆払ってください◆
女性作家に多いんだけど、ラノベでもないのに文体が異様に軽い。
そういうのが受け付けない身としてはちょっと。。。という感じだった。
ミステリとしても弱いし。
というか女性ってやっぱり妊婦ネタでミステリ書く作家さん
多いように思う。妊婦ネタもあんまり好きじゃない私としては
あまり楽しめなかった。
◆雀の森の異常な夜◆
〝謎解きはディナーのあとで〟の作家さん。
氏の作品は「読む漫画」と称されるだけあって
ユーモアに溢れていて非常に読みやすいのでさくさく読破。
ミステリパートもしっかりしていてなかなかにおすすめの一編。
まあちょっとあのトリックは。。。「無理だよなあ」と思ったけど
敢えて深く考えず単純に楽しむのが一番。
ていうか著者自身も仰ってますが、崖のシーンでのやり取りが
まんまダチョウ倶楽部で笑った(「押すなよ! 絶対押すなよ!
自分のタイミングでいくから!」の熱湯ネタ)。
◆密室劇場◆
本編が収録されている連作短編集〝鍵のかかった部屋〟を読んでいたので
再読になるのだけど、一回目は呆れ果てた話が
今回は普通に面白かった。この一年で私もツボが変わったんだろうか。。。
でもやっぱり貴志祐介氏は初期のほうが面白かったと今でも思う。
◆失楽園◆
〝ジョーカーゲーム〟シリーズは好きなのだけど
シリーズ三作目の〝パラダイス・ロスト〟はまだ未読で、だから
本アンソロジーに収録作である本編が入っていたのは嬉しかった。
ミステリ部分もひと捻りしてあって「そう来たか!」と驚かされたけど、でも
「こうもうまくいくかなあ。。。」と思ってしまうのはいただけないだろうか。
ある特定の人物への思考の誘導・洗脳というのは貴志祐介氏の〝青の炎〟にも
出てくるけど、あっちのほうが洗脳の過程としてはリアルだったような気がする。
すっきりした文体で楽しく読めましたが。
〝パラダイス・ロスト〟近々読まなくちゃな。
◆不良品探偵◆
氏のデビュー作は過去に読んでいて知っていたけれど、
文章が格段にうまくなっていて非常に読みやすく面白かった。
ただ、冒頭のアンパンマンのくだり。。。
わざわざアンパンマンの似顔絵を書かなくても、
携帯で画像検索した時点でアンパンマンに眉毛があるってわかるだろと思うのは
私だけ?
◆死刑囚はなぜ殺される◆
トリックと犯人の動機は早い段階でわかってしまったけど、
設定の面白さもあって最後まで楽しんで読めた。
語り部のアランがこのあとどうなってしまったのかだけが気にかかるところ。
それにしても全世界の死刑囚が集まる監房。。。不謹慎だけど見学にいきたい。
◆轢かれる◆
首切り殺人モノの変形バージョン。
何故それは切り取られなければならなかったか?というお約束のお題目に
ちょっと今までの首切り殺人モノとは違う解釈が与えられていて面白い。
斬新というほどのことではないけど。
終わり方がちょっとクサかったのがたまにキズかな。
★収録作品★
オンブタイ/長岡弘樹
白きを見れば/麻耶雄嵩
払ってください/青井夏海
雀の森の異常な夜/東川篤哉
密室劇場/貴志祐介
失楽園/柳宏司
不良品探偵/滝田務雄
死刑囚はなぜ殺される/鳥飼否宇
轢かれる/辻真先
***
◆オンブタイ◆
ミステリというよりは若干ホラー寄り。
ただこれぞ短編!という感じで非常にきれいにまとまっていて、
最後の一行を読んだときには「おおっ!」と自然と笑みが浮かんで
背中に戦慄が走った。
オンブタイという一見奇妙なタイトルも本作を引き立てるのに
一役買っていていい。
(ちなみに私は最初南国あたりの魚の名前かと思っていた)
◆白きを見れば◆
著者のデビュー作〝翼ある闇〟を読んだときは
そのあまりのトンデモっぷりに爆笑(いい意味で)したものですが、
今回も王道本格ミステリかと思えば最後の最後で
思いっきり道外してくれて(いい意味で)笑った。
この作家さんは本当に変な探偵書かせたら天下一品だな。
まああまりに変すぎて(これは悪い意味で)ついていけず
投げ出した本も一冊だけあるのですが。。。
本編も謎解きが爽快かと言われれば決して。。。なのですが、
でも何だかんだ言って好きだ、この作家さんは。
◆払ってください◆
女性作家に多いんだけど、ラノベでもないのに文体が異様に軽い。
そういうのが受け付けない身としてはちょっと。。。という感じだった。
ミステリとしても弱いし。
というか女性ってやっぱり妊婦ネタでミステリ書く作家さん
多いように思う。妊婦ネタもあんまり好きじゃない私としては
あまり楽しめなかった。
◆雀の森の異常な夜◆
〝謎解きはディナーのあとで〟の作家さん。
氏の作品は「読む漫画」と称されるだけあって
ユーモアに溢れていて非常に読みやすいのでさくさく読破。
ミステリパートもしっかりしていてなかなかにおすすめの一編。
まあちょっとあのトリックは。。。「無理だよなあ」と思ったけど
敢えて深く考えず単純に楽しむのが一番。
ていうか著者自身も仰ってますが、崖のシーンでのやり取りが
まんまダチョウ倶楽部で笑った(「押すなよ! 絶対押すなよ!
自分のタイミングでいくから!」の熱湯ネタ)。
◆密室劇場◆
本編が収録されている連作短編集〝鍵のかかった部屋〟を読んでいたので
再読になるのだけど、一回目は呆れ果てた話が
今回は普通に面白かった。この一年で私もツボが変わったんだろうか。。。
でもやっぱり貴志祐介氏は初期のほうが面白かったと今でも思う。
◆失楽園◆
〝ジョーカーゲーム〟シリーズは好きなのだけど
シリーズ三作目の〝パラダイス・ロスト〟はまだ未読で、だから
本アンソロジーに収録作である本編が入っていたのは嬉しかった。
ミステリ部分もひと捻りしてあって「そう来たか!」と驚かされたけど、でも
「こうもうまくいくかなあ。。。」と思ってしまうのはいただけないだろうか。
ある特定の人物への思考の誘導・洗脳というのは貴志祐介氏の〝青の炎〟にも
出てくるけど、あっちのほうが洗脳の過程としてはリアルだったような気がする。
すっきりした文体で楽しく読めましたが。
〝パラダイス・ロスト〟近々読まなくちゃな。
◆不良品探偵◆
氏のデビュー作は過去に読んでいて知っていたけれど、
文章が格段にうまくなっていて非常に読みやすく面白かった。
ただ、冒頭のアンパンマンのくだり。。。
わざわざアンパンマンの似顔絵を書かなくても、
携帯で画像検索した時点でアンパンマンに眉毛があるってわかるだろと思うのは
私だけ?
◆死刑囚はなぜ殺される◆
トリックと犯人の動機は早い段階でわかってしまったけど、
設定の面白さもあって最後まで楽しんで読めた。
語り部のアランがこのあとどうなってしまったのかだけが気にかかるところ。
それにしても全世界の死刑囚が集まる監房。。。不謹慎だけど見学にいきたい。
◆轢かれる◆
首切り殺人モノの変形バージョン。
何故それは切り取られなければならなかったか?というお約束のお題目に
ちょっと今までの首切り殺人モノとは違う解釈が与えられていて面白い。
斬新というほどのことではないけど。
終わり方がちょっとクサかったのがたまにキズかな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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