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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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好きです。好きです。――好きなんです。



キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと
些細なきっかけから同居を始めた。
彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。
ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。
しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。
欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。

***

金原ひとみさんの初期の作品は
もうあらゆる感情が剥き出しになっていてとにかく読んでいて面白い。
「書いている」というより「吐き出している」ように感じるから。
「ああ、この文章強調したいんだろうな」って丸わかりな部分が多かったりと
若書きな部分は多く見られるのだけど、そんなことどうでもよくなってしまうぐらい
のめり込んで一気に読むことが出来た。

特に、ひとりの男が好きで好きで仕方ない、
相手が冷たいからよりはまり込んでしまう、
独りでいるのが退屈だから刺激を求めてしまう、寄る辺を探してしまうという描写は
非常に共感出来、読んでいてつらくなるほどだった。
ただ単純に嫌悪・拒絶されるよりも、一見受け入れてくれているけれど
その実まったく心を開いてくれていない、器用に当然のように
さらりと交わされてしまう、そのことがどれほどつらいことかっていうのが
リアルに書かれていて胸が痛かった。
二十歳過ぎの著者の書いた恋愛心理に感情移入してしまうなんて、
私も精神年齢まだまだ(悪い意味で)若いな。
それとも恋をすればひとは皆そうなるんだろうか。

自分をひとりの対等な人間として見てくれない、
そんな相手に不毛な恋愛感情・性欲を爆発させるヒロインと彼女の同居人のホクトは
ある意味同じ立場であるのかも知れないなと思った。

おすすめです。

それにしても、本作と〝マザーズ〟を書いたひとが同一人物だとはとても思えない。
読み比べても面白いかも。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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