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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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自分の世界へ戻るために。



類人猿の言語習得実験を行う霊長類研究センターを舞台に、
そこで働く研究者、実験をされるボノボを巡って引き起こされる人間ドラマを、
上質のミステリーとして描いた傑作。 

***

昔ボノボってお菓子があったような。。。とか思ってよく考えたらボノボじゃなくてナボナでした。
なんてどうでもいいことは置いといて。。。

ミステリと銘打ってはいますが、どちらかと言えば人間(&猿)ドラマ。
ある研究施設で人一人が死亡する事件が発生。自殺? 事故? 他殺? 
その真相を解き明かす鍵を握るのは、その人間の死の光景の唯一の目撃者である一匹のボノボ
(↓こんな動物です。かわいい)。

bonobo_NB07.jpg













2~3歳の人間並みの語彙力しかないボノボのバースディから、
いかにして事の真相を訊き出すか。
そんな展開は、映画〝サウンド・オブ・サイレンス〟を髣髴とさせるものがあります(これの場合は
対象は猿ではなく精神病の少女ですが)。

真相部分はミステリとしては弱いですが、近ごろ割と多い気がする、無茶な大仕掛けを
作中に施して失敗しもはやカオスと化しているようなトンデモミステリよりはよっぽど好感が持てる、
極めて良質な物語です。
オチはベタだけど少し泣いちゃったしな。

敢えて難を言うなら、ラストの主人公の台詞が少し不自然だったことかな。
著者の荻原氏がどうしてもそれを言わせたかったのは分かるけど、なんかそれまでの話の流れに
そぐわなくて違和感があった。「それって今言う台詞じゃないだろ」と無意識的にツッコんでいた。
あとは、本作が〝ボノボとの会話から事件の糸口を掴む〟というある種神秘的な設定なのに、
そこにありがちでつまらない人間の汚職問題が関わってくるのが興ざめ。せっかくの世界観が
台無し。

ライトなミステリ好きにはおすすめです。もしバリバリのミステリフリークでも、人情モノや動物モノが
好きなら○。

ちなみに蛇足ですが、〝意思の疎通が難しい相手からどうにか事件の真相を聞き出す〟というような
話が好きな人には、〝まるいち的風景〟というマンガもおすすめ。泣けます。



追記:
本作を読むなら、BGMに是非これをどうぞ。


ていうかほんとこの曲は聴くたびに泣けるな。。。(TT)
いろんな作家さんが著作の中に登場させるのもわかるわ。
ホリー・コールの歌い方は正直あんま好きじゃないけど(--;
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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