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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ぼくは世界の終わりを夢想する。



北の街に、名もなき者たちの慟哭が響く――
憎しみ、哀しみ、愚かさ、やるせなさ…先の見えない日々を送る名もなき人々。
それぞれの鬱屈は、やがて…。
北海道を舞台に、生きることの暗部を描き切る、馳ワールドの新しい幕開けを告げる短編集。 

★収録作品★

 ちりちりと……
 みゃあ、みゃあ、みゃあ
 世界の終わり
 雪は降る
 青柳町こそかなしけれ

***

北海道出身の著者だけあって(ちなみにどうでもいいですが、私も北海道札幌出身です)
暖かくなり始めた今の季節に読んでもぞっと冷気を感じるような過酷な北の冬の描写はさすが。
しかしそれぞれの短編からはどれもテーマらしきテーマが見えて来ず(〝人の世の無常〟
という点は共通してるのですが、こんなベテラン作家がそんな陳腐なものをテーマにするとは
思いたくない)、
どれもありがちといえばありがちな話で深みがなく、物語の終わり方も似通っている。
〝ちりちりと……〟は唯一心揺さぶられましたが、それ以外は物語の雰囲気に適当に酔いつつ
ほぼ感情に変動のないまま最後まで淡々と流し読み。正直惹き付けられるものがなかった
(〝世界の終わり〟は、あんな平凡な終わり方でさえなければ
かなり好きな作品になったんだけどな*
本書の表紙のイメージもたぶんこの話なんだろうし、表題作と銘打つにふさわしいクオリティにまで
物語を仕上げてほしかった。と、偉そうだけどほんとそう思う)。
老人介護も少年犯罪も近親相姦もDVも、同じテーマでもそれぞれもっと上をいく物語を
書ける作家ならいくらでもいるし、そういう人たちの作品を知ったあとで本作を読んでも
物足りなさを感じてしまう。

失礼な話ですが、個人的に一番感動したのは中身じゃなくタイトルと表紙の写真だった。
決して駄作じゃないんだけど。可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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