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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
When you have eliminated the impossible,whatever remains,
however improbable,must be the truth.


 
 
「謎はすべて解けました。これは――奇蹟です。」

かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。
その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、
青髪の探偵・上苙丞(うえおろじょう)と相棒のフーリンのもとを訪れる。

彼女の中に眠る、不可思議な記憶。
それは、ともに暮らした少年が首を切り落とされながらも、
少女の命を守るため、彼女を抱きかかえ運んだ、というものだった――。
首なし聖人の伝説を彷彿とさせる、その奇跡の正体とは……!?

探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、
すべてのトリックが不成立であることを立証する!!

***

読んでいてそれなりに面白かった。
単に探偵が推理するのではなく、トリックなど存在しない
「奇跡」を信じる彼に数多の人間が仕掛けてくる
「いや、トリックはある。これは人間の犯行だ」という数々の推理を、
探偵が「いや、それはあり得ない」と具体的な例を挙げて反証するという
スタイルはなかなかに斬新。

ただ、そのスタイルがどうしても同氏のデビュー作「恋と禁忌の術語論理」と
被る。あちらのほうがインパクトが強かったため、比べてみると
本作は霞んでしまう印象。

あと、文章の巧みさ、美しさにこだわる私としては、
著者の文章の拙さというかラノベ感がどうにも読んでいてつらかった。
語り手の中国人が、「中国人が喋る日本語」を使っているのも
ヘタな漫画感があって何だかなあという感じ。

著者のデビュー作にも登場する探偵・上苙の過去を知ることが出来たのは
「そんな過去があったのか」とちょっと嬉しかったけど。
けれど繰り返しになるけど、物語の作りがどうにもデビュー作と被るので、
「またこの手の小説か」と思ってしまったのも事実。
この作家さんの著作は本作を含めて二冊しか読んでいないので、
ほかの作品は違うのかも知れないけど、ワンパターン化してるな、と
思ってしまった。
だいたいこの上苙という探偵、デビュー作の主人公にその推理をあっけなく論破
されてるので、「大した探偵じゃない」という刷り込みがなされてしまっていて
キャラは好きだけどいまいちその凄さを感じられなかった。
「こんなすごい探偵の推理さえもデビュー作の主人公は論破してしまえたんだ」
と感嘆することも可能だったはずだけど、そこまで思うには至らず。
探偵役への語り手の恋心を仄めかす展開もやはりデビュー作と若干被るし。
クライマックスも、「何でこのイタリア人日本語わかるんだよ」と
無粋とは知りつつも突っ込みを入れてしまった。

。。。とマイナス要素ばかり書きましたが、最近のミステリは
薄っぺらくてつまらないものが多いので、その点ではかなり楽しむことが出来た。
上から目線でなんだけど、著者がもうちょっと筆力をつけてくれれば
もっと好きになれるのに、と思う。
止揚を使って纏めたミステリも初めて読んだ気がするので、その点は
単純に凄いと思ったし、かなり実力を秘めた作家さんだと思うので。

また近々別の著作も読んでみるかー。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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