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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「ホスト、やるやんな?」
就活に惨敗し、自暴自棄になる22歳の光太の前に現れた、関西弁のホスト・雫。
翌年のチャンスにかけ、就活浪人を決めた光太は、雫に誘われるままに
ホストクラブ「チュベローズ」の一員となる。
人並み外れた磁力を持つ雫、新入りなのに続々と指名をモノにしている
同僚の亜夢、ホストたちから「パパ」と呼ばれる異形のオーナー・水谷。
そして光太に深い関心を寄せるアラフォーの女性客・美津子。
ひとときも同じ形を留めない人間関係のうねりに翻弄される光太を、
思いがけない悲劇が襲う――。

***

同著者の著作はこれまでに二作読んだことがあるのですが、
「ピンクとグレー」では「友情」を、
「閃光スクランブル」では「喪失からの再生」を、
それぞれ描いていたのに対して、本作はテーマが何なのか
いまいち掴み切れなかった。

上巻の「AGE 22」は、主人公・光太のホストクラブでの描写が
だらだらと冗長に続き、物語に起伏が感じられず、読むのがしんどかった。
下巻の「AGE 32」からは多少展開が面白くなってくるものの、
上巻とあまりに雰囲気や内容が違うので違和感が。
本作は一応はミステリという括りに入るのだろうけど、それにしては
謎や真相にあまり魅力がない。いや、あるにはあるのだけど、
人物の書き込みが足りていないせいでミステリとしてはショボい印象を受けた。
著者が書こうと思っていたことが伝わってくるぶん、筆が追い付いていないのが
もったいなく感じた。
女子高生失踪事件とか正直要らないエピソードだと思ったし、
主人公が八千草の耳のアレを何ら疑問に思っていないのも謎だったし、
主人公たちがある犯罪を犯すシーンも、あんなもの絶対監視カメラに映ってる
だろうに警察が動く気配が一向にないのが不自然だったし、
何より著者が一番描きたかっただろうラストシーンも、主人公が
「彼女」を想う描写がこれまでほとんどなかったのでまったく感情移入出来ず。
下巻は2025年を舞台に描かれているけれど、科学が進歩している部分が
あったかと思いきや今とまったく変わらないところがあったりと、
世界観にも不安定さを感じた。

熱帯魚にスタンガンのシーンとか、表現の端々にとても光るものを感じる
著者であるだけに、その実力不足が残念。
もし著者が本作のテーマに掲げるものが「恋愛」であるのだとしたら、
失敗だと言わざるを得ない。先に書いたように、ミステリとしても。

風呂敷を広げ過ぎて畳み切れていない、そんな物語だった。
決して駄作ではないけれど、作家としての加藤シゲアキ氏には期待していたので
そのぶんがっかりしてしまった。

今後本作を読む方がいたら、最初に書かれている「人物相関図」は
見ないことをおすすめします。特に下巻。ある程度筋がわかってしまうので。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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